ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンのマスタークラスに行ってきました。
講師はレナ・シェレシェフスカヤさん。
そうです、カントロフの先生。
彼女を知ったのはドゥバルクの先生ということででした。
その後、レミ・ジェニエを偶然知り、彼もまたレナ門下。
そしてカントロフと続き、私には興味ある先生でした。
LFJに行く気もなく、なんとなく公演予定を見ていたら彼女の名前が・・
あら?
チケットが残っていたのが5/3の最終のマスタークラスだけでしたので、速攻で買いました。
本日の生徒さんは彼女の本当の生徒さんで、13歳から教えているそうです。
エコール・ノルマルの学生さんで、何かのコンクールで優勝しているらしいですが、聞き取れませんでした。
普段どんなレッスンをしているかを今回は見せたいと仰っていました。
最初に話されたのは、作曲家の時代背景を必ず理解して演奏するということでした。
最近入手した話で、知り合いがプロコフィエフの手紙を落札して買い、見せてもらった。
当時はプロコフィエフは政府の監視下に置かれ自由に発言できなかった。
それで、彼は手紙に文字ではなく5線を引きある音型を書いたと。それを見て鳥肌が立ったと。それは十字架の音型でSOSの意味。助けてと言っていると。それを文字にしては知られてしまうので、音符にして送ったと。
そこから今回は音型から音楽を読み解く話と音のバランスを細かにレッスンされました。
音型(フィグーラ)に関しては、杉浦日出夫さんの「バッハ インヴェンション こころの旅」にも書かれていますので、私には馴染みのある話でしたが、ベートヴェンのこの曲にも、ブラームスのこの曲にも、ショパンのこれも、と例をパパッと出され、新鮮でした。
バッハ以外の作曲家からそれを見つけ出すことも可能だと分かりました。
さすが、ロシア人です。グネーシンの子どもたちの勉強の仕方を動画で拝見すると、音程の感覚が研ぎ澄まされるのがわかります。
以前、彼女のマスタークラスの動画について自分で書いた記事で、彼女が弾くとハーモニーが輝くと自分で書いてありました。
今回レッスンを拝見して、音のバランス、和音のバランスに関してとても細かく聴いていらっしゃったので、そういうことかと納得。
カントロフの演奏を聴くと、いつも音を静かに聴いていて、あの聴き方はレナさんから教えられたものでもあるのかと思いました。
元々そうなのかもしれませんが、カントロフが耳を澄して演奏している姿が、彼女のレッスンを拝見していて思い出されました。
カントロフの演奏を聴きに行って、そのバランスできたかと驚かされたことがあったので、ただ美しいだけではない音のバランスをきっと普段から作り出しているのだろうと思います。
「価値あるものを相応しい音で」と仰っていたのが印象に残りました。
自分のことを考えると、演奏する資格がないな・・とちょっとグサリときました。
余談ですが、ロシア語ではプロコフィエフはプラコフィエフと言うのかと知りました。フランス語で話されていましたが、プロコの名前はそうおっしゃっていたので、ロシア語読みではそうなんだなと思いました。
アクセントのない〔o〕は〔a〕と読むと聞いたことがあるので、そうなんだと。
マメ知識を得ました。