アマゾンわんわん日記 2018

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ちょっと腹が立った話

2011年04月24日 | ブラジル雑記
先日、こちらの地元紙で、「原発から避難 家族5人 涙の帰郷」という記事が、トップ記事で出ました。
日本の原発に脅かされる土地から、政府の援助で帰ってきた日系家族の記事です。

でも、この記事を読んだ私は「???」という気持ちに。
っていうか、はっきりと不快になりました。
まあ、受け取り方は人ぞれぞれですから、これから書くことは、あくまで私の考えですので...

まず、この家族が住んでいた地域というのが、「原発から70Km圏内」とのこと。
でもでも、地名を聞いたら「栃木県 大田原市」。
70Km圏内ですか?
確かにそう遠くはないけど。
うちの実家の近くだわよ。
なにそれ?
まあ、住んでいたのが山の中なのかもしれないけど。
山の中だったら、福島寄りだしね。
でも、70Km...?

で、彼ら、まず日本の外務省に接触をとり、そこからブラジル大使館に連絡を取って、そこの援助で帰国の途に就いたとのこと。
自力で帰る手立てはなかったのですか?
少なくても、津波の被害もなかったはずだし、財産への被害はなかったはずじゃない?
まして、地震発生から1カ月近くたっていたはずだし。
帰国のための飛行機の満杯状態も、幾分解消されたころではないのでしょうか。
地震直後、津波の被災地で暮らす何人かのブラジル人、日系人のインタビューを見ましたが、みんな「帰りたい、でも帰るわけにはいかない。帰れない。」という人ばかりでした。
あの人たちはみんなどうなったのか...
そのころよりは、少なくても落ち着いて、自力で帰ることもできたのではないでしょうか?

まあ、この家族、本当はこんな取材受けたくなかったのかもしれませんよね。
家族の知り合いに新聞社関係の人がいるとかで、無理やり記事にされたのかもしれないし。
ここでは、そうやってニュースを作ることがよくあります。
でも、避難所でがんばってくらしている、本当に原発近くの被災者の方々、また今日初めてテレビで見ましたが、ひどい環境の中でも復旧のために働いている原発作業員の人たちのことを考えると、この記事をトップに持ってきて「原発から逃げ出してきた」と喜ぶこちらの地元の人たち、いえ、地元の新聞の身勝手さに腹が立ちますし、悲しくなります。

また、自動車産業が生産を縮小しなければならない現状、仕事が少なくなり自宅待機や自力でブラジルに戻ってきている出稼ぎの人たちも多くいます。
実際私の知り合いの親戚の人たちで、そうなっている人たちもいます。
そういう人たちがこの記事を見てどう思うか。
帰ってきたくても、帰ってこられない状態のブラジル人日系人の方たちが、まだまだ日本にはたくさんいるはず。

ブラジルにいるこの家族の親族の人たちが心配し、今回帰国がなったことを泣いて喜ぶ気持ちはもちろんわかります。
でも、そうしたくてもそうできない人たちがいること(ブラジルの出稼ぎの人たちに限らず)、また今でも避難所暮らしを続け、自宅に帰りたくても帰れない人たちがいること、また津波の被害を受け、それこそすべてを失ってしまった人たちがいることを考え、そのことに配慮した記事にするべきではなかったでしょうか。
新聞という公的なメディアの扱い記事としては、とても自分本意な記事に思えてなりません。

まあ、新聞・ニュースは往々にして事実と異なる場合もありますし、もちろん言葉はひとによって受け取り方が千差万別ですから。
でも、空港で抱き合って涙を流すシーン、もちろん心配した家族が帰ってきたのですからあたりまえのことなのですが、「今週のニュース」にまで選ばれて、何だか空々しい感じでした。


コメント (2)
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