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先生の日 一考

2013年10月15日 | ブラジル雑記
今日は「先生の日」~。
学校がお休みになるところがあり、生徒たちがそれぞれ先生へのプレゼントを抱えて登校する学校あり、学校で先生に感謝するイベントを行うところあり、お祝いの仕方はさまざまです。

もともとは、1827年10月15日、帝政時代にドンペドロ1世が「国中の隅々まで教育が行き渡るように」との政令を発布したのが始まりだそうです。
実際にこの日を「教育の日(教師の日)」として世間に知られるようになったのは、この政令が発布されてから実に120年後のことだそうで、サンパウロで最初のお祝いが行われました。
実は私は今日はじめて知ったのですが、10月14日は学校のカレンダーとしては「祝日」として法律にも位置付けられているそうですね。
1963年に出された法令で定められているそうです。

さてさて、「先生の日」のお祝いに、抗議行動を行う教師達がブラジル各地で報告されています。
教師達は、一様に「給料の低さ」「待遇の悪さ」「教育現場の暴力」などの改善を訴えています。
「給料の低さ」「待遇の悪さ」は昔から語られていることです。
UNESCOの調査によると、ブラジルでは50%の教師が、ほぼ最低給料と同じ一ヶ月720レアイス(36000円)という給料しか受け取っていないそうです。
最近は義務教育(特に小学校)の教師になるにも大学を出なくてはならなくなりましたが、一昔前までは専門の学校を出ればよかったのよね。
なので、若い先生も多く、これが給料が低かったり、待遇が悪い原因にもなっていたようです。

現在一番問題になっているのが「教育現場の暴力」。
「言葉の暴力」もあるし「身体的な暴力」などもあります。
最近、携帯電話の普及により、校内での暴力の様子がよく録画され、公開されます。
その中には、机を壊す生徒、教室で取っ組み合いをする生徒達、子供のけんかに親が口を出し、殺人にまで発展するケースもあります。(中には残念ながら教師による暴力も撮影されている場合もありますが)
こうした中で教師が何をできるか...って言ったら...何もできないですよね。

改善策として、前述の調査をしたUNESCOは「ブラジルでは教師のステータスをもっと上げる必要がある」と発表したそうです。
そのためには、まず「お給料」ですよね。
そして、多くの生徒たちが「教師になりたい」と思うような社会になること。
そうしたら、教室内でも社会でも教師を見る目がもっと違ってくるはず。

もちろん、教師の中でも良いお給料をもらっている人もいます。
そういう教師が働いているのは、ほとんどが月謝が高い私立校。
逆の言い方をすれば、ブラジルではお金を出せば、程度の高い教育を受けることができるのです。
ただ、そういう学校に勤めている先生は、気が抜けないのよ~。
常に勉強して知識を新しくしていかなくては、すぐに保護者から批判を受けることになりますから。
以前、リオの進学校に子供さんを通わせていた知り合いの話ですが、「子供たちのポルトガル語の成績が急に下がった」ということで緊急の保護者会が持たれたそうです。
保護者達が調べたところ、その教科の担当の先生が「東北海岸部出身」で独特の「なまり」があり、そのために子供たちが理解しにくくなった(特に発音聞き取り面で)という結論に達しました。
その先生はその学年のポルトガル語担当をはずされたそうです。


また、娘が通っていたコレージオミリタールでは、ここ何年か大統領令により「教師の選抜試験」がストップしていました。
そのため、全国に12校あるコレージオミリタールでは、各校で独自に「契約教師」を雇用していました。
コレージオミリタールの教師の選抜試験は、国の公務員試験に準じて難しく、そのため、全国からその試験を受けるためにコレージオミリタールのある都市に優秀な先生が集まります。
もちろん、給料もそれに見合ったものになり、退職後の保障も公務員として扱われます。
そうした先生が集まらなくなってしまったため、学校の授業のレベルは低下。
これに不満を持った生徒たちが全国各校で「教師の選抜試験復活」の希望を出し、今年から再び選抜試験が行われることになりました。

お給料は低くても、生徒の暴力があっても、公立校で教えている教師達の多くが、本当に教えること、生徒とかかわることが楽しくて仕事をしているのだと思います。
でなきゃ、「低給料だ」「ステータスが低い」なんていわれながら勤めることはできないよね。
そんな中には、事件が起これば命がけで生徒達を守る先生もたくさんいるし。
でも、残念ながらそうした教師たちも、生活に追われて「自分を高める」ために、さらに勉強をするような状況にないひとがほとんど。

教師も新しい知識を得て、さらに勉強を重ねなくてはならないし、国や地方はそうした教師が安心して勉強できるだけの生活の基盤を保障しなくてはならない。
子供達のためにも、そういう社会的な基盤が一日も早く整うと良いと思います。



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