ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Kite Runner (6) 14-18

2008-10-05 13:14:29 | 読書
The Kite RunnerThe Kite Runner
価格:¥ 1,694(税込)
発売日:2004-04


ようやく前半の感想を書いたので、後半に入ります。
この後は、ゆっくり書くとします。(^^)

2001年6月、Amirのもとに、今はパキスタンに住んでいるRahim Khanから電話が入ります。ちなみに、何故Amirの連絡先がわかったかって、Rahim Khan曰く、アメリカでの電話番号は簡単に調べられるのだそうです。あぶねー。(汗) 今はきっと、そんなシステムではないのでしょうね。それはともかく、Rahim Khanは今大変重い病気に罹っているというので、Amirはパキスタンに渡航する事にします。

Rahim Khanのアパートまで運転したタクシーの運ちゃん、Gholamというのだそうですが、どう見たってゴラムって読めるぞ。(笑)「アフガンのしと、今みんなまずしいよ。」だそうです。そして出てきたのは
Then, a thing made of skin and bones pretendeing to be Rahim Khan opened the door.
病気になった家族、友などに会っていかにびっくりしたか、皆いろいろ表現しますが、これはすさまじい表現。(滝汗)

Rahim Khanは、Amirに、意外な話をします。何と、つい最近まで、アフガンの故郷で、Hassanと暮らしていた、と。

Babaは亡命時に、Rahimに自分達の家を売って預けたのだそう。Rahimは、掃除などしようと試みますが、関節炎で思うに任せず、Babaの死後、Hassanを捜す事にします。で、ほどなく、バーミヤン近くで妻と暮らしていたHassanを発見。彼は成長してすっかり長身。しかしAliは地雷で亡くなったのだそう。

Hassan、最初はカブールに戻る事をためらいますが、Babaの死を知り、妻Farzanaと戻る事を決意。彼らは本宅に住む事を断り、かつてAliが住んだ小屋に住んで、家の為にかいがいしく働きます。するとある日、傷だらけの老婆が訪ねて来ました。なんとSanaubarでした。もちろん母の顔など知らないHassanでしたが、彼は1日家出をした後、母を受け入れます。夫婦は男の子を授かり、Sohrabと名付けます。Sanaubarは4才までSohrabをとてもかわいがってくれた後、他界。

時は既にタリバン政権下になっていました。Rahimは、サッカー場で騒いだと勘違いされ、目の上にヒドイ傷を負わされました。1998年、マザリシャリフでは、ハザラ人が大量虐殺されたという事件がありました。

2000年の暮れか2001年の初め、Rahimはパキスタンの医者に病気を診てもらう事にします。バーミヤン時代に字の読み書きを習っていたHassanは、Rahimに、Amirへの手紙を託します。内容は、妻が買い物しようとしてタリバンに女は喋るなと打たれた事、Sohrabは字を習い、すくすく成長している事、Rahimの病気が重くSohrabを市場に連れていけなくなり、パキスタンの病院に行こうとしている事、など、とりとめもなく、でも、しっかりとした文章で書かれていました。

Rahimがその手紙を持って家を出ようとした時の事でした。
タリバンの兵士がやってきて、Hassanに、何故ハザラがその家にいる、と、言いがかりをつけます。泥棒の容疑でした。Hassanは抵抗しますが、あっけなく、殺されてしまいます。それを見て、兵士に立ち向かったFarzanaも。。Rahim Khanは、一部始終を見ていましたが、何もできませんでした。

Hassanが死んだ。その事実をまだAmirが受け入れるより前に、Rahim Khanはとんでもないタスクを彼に出します。

「(カブールに取り残された)Sohrabをここに連れて来なさい。」

なにぃ~~~!!?? (2001年の6月だぞ)今アフガニスタンは非常に危険。そんな所に行けるかいっ!!!

しかし、Rahimは、自分はこの夏の終わりまで持たない、と、悠然。
死期を悟った人間の強さだね。
すっかりキレまくりのAmirに、さらに畳みかけるよう衝撃の事実を伝えます。

「HassanはAliの子ではない。」
「じゃあ誰の子?」
「わかっているだろう?」

たまらずRahimのアパートを飛び出すAmirです。予兆は一杯ありましたね。BabaはHassanに必ず誕生日プレゼントをしてました。Hassanは外見はモンゴル系のハザラなのに、パシュトゥーンのような緑の目をしてました。Hassanが泥棒の疑いをかけられた時、Babaは泣いてAli親子を止めました。

最後の4ページで、いくじなしのAmir店じまいです。
度々、同世代のローリングを思い出すと言ってますが、ここ、ハリポタ7巻の、23章の最後のシーンが、正確に重なりましたよ。


The Kite Runner (5) 前半の感想その2

2008-10-05 11:40:17 | 読書
The Kite RunnerThe Kite Runner
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発売日:2004-04


Babaは判事だった父に似ず、商売で叩き上げ、強力なカリスマ性を持った男性だったそうです。また「クマと戦った事がある」のだそう。それでオコンクォを思い出したのね。もっともオコンクォが戦ったのは「ネコ(Amalinze the Cat)」でしたが。(笑)

AmirとHassanは仲良しです。Amirは弱虫で自分で自分を守る事もできない情けない奴ですが、HassanはAmirがちょっといじめられた時にも矢面に立つ勇敢な男の子でした。Babaはそれをこっそり窓から見ていて、いつも一緒にいるビジネスパートナーで親友のRahim Khanに"There is something missing in that boy."とぼやきます。これまた、長男のンウォイェが男らしくない事に苛立つオコンクォを思い出させるのでした。(汗)

AmirはBabaが自分をかわいがってくれないのは、母が死んだのが自分のせいだと思い込んでいました。それで、なんとか父に認めてもらおうと一生懸命です。これは普遍テーマですね。LOTRの、とある父子の関係を思い出します。

近所には、Assefという、ドイツ人を母親に持つ金髪の少年が住んでいました。彼はいつも2人の子分を連れ、子供たちをイジメていました。そうそう、このAssef、ドラコ・マルフォイと、ダッドリーを合わせたような奴です。(笑) 彼はアフガンはパシュトゥーンの国だと主張。ヒトラーに心酔していて、いつか第2次大戦前のドイツのようになる事を夢見てます。なので、彼はハザラのHassanはもちろん、ハザラに差別意識のないAmirも攻撃の対象と見ます。ホントにドラコですね。(苦笑)しかしHassanは主人Amirを守る為に、勇敢にも得意のパチンコでAssefの目を狙いながら脅し、追っ払います。

そして運命の凧揚げ競技会の日。アフガン式の凧揚げは、相手の蛸じゃない凧を切れば勝ちというルールですが、さらに、切られて落ちた凧を拾うのが、凧揚げで勝つ以上の名誉とされました。落ちた凧を追って走るのが、「Kite Runner」です。Hassanはその凧拾いの名人でした。その日、AmirとHassanが挙げた凧が丸1日かけて最後まで残って優勝。Babaも大喜び、ついにAmirを自慢の息子と認めてくれたようです。そこでHassanは、"For you, a thousand times over!"(これが邦題のタイトルロール)と言い残し、相手の凧を拾いに走ります。

Hassanを捜しに出たAmir、何と、Assef達がHassanをレイプしている現場を目撃。。。しかし、Assefが怖くて、立ち去ってしまいます。

。。と、そこまでは、実は私は、怒ってませんでした。
そりゃ、親友を助けてあげられないのは、決して関心できる事ではないかもしれません。Hassanは、一生消える事のない傷を負ってしまったんだもの。でも、相手は怖い人達です。自分の力が及ばないのなら仕方ない、その後をしっかりサポートすれば。。。

ところがっ。
いかんのは、その後のAmirの行動です。
Hassanは、おそらく、Amirが見て見ぬふりをしていた事に、気付いたのでしょうか。(もし気付いてなかったとすると、その後のAmirの態度は、さらにヒドイ。)でも、Amirと友達であろうとするんですね。きっと許してくれたんでしょうね。だから、素直になれよAmir。でも、あろう事か、コイツは、Hassanに果物を投げつけるわ、邪険に扱うわ、無視するわ、挙句、Hassanに泥棒の疑いをなすり付けます。Aliが察して、BabaとAmirの下を去ります。Babaは、盗む事が唯一の罪と言っていたのに、泥棒の疑いをかけられたHassanを許し、Aliを泣いて引き止めますが。。

旧ソ連の侵攻があり、BabaとAmirは、パキスタン経由でアメリカへ亡命。パキスタンへ逃げる途中、一緒のトラックに乗った赤ん坊を抱いた若妻がソ連兵に犯されそうになった時、Babaは勇敢に立ち向かいます。Amirは、そんなBabaを、自分が1人ぼっちになりたくないから、引き止めるんですね。ここもお呆れポイントです。幸い事なきを得ますが。

アメリカに引っ越してから、裕福ではなくなり言葉も不自由しているはずですが、Babaはアメリカ生活を満喫してます。彼は周り中敵ばかりの中で国家を建設したユダヤ人を結構尊敬しているそうです。たまにキレる事がありますが、それは人間関係をIDで計るアメリカ社会の冷たさに落胆した時と、ロシア系の人に会った時。

Amirはやがて、アフガンコミュニティのフリーマーケットで、Sorayaという女性と知り合います。この辺、ちょっと、中だるみ(笑)でしたが、ここでチェーンスモーカーBabaを突然肺ガンが襲い、またまた一挙に、次が心配でどんどん読み進める生活に。

多少は逞しくなったかと思ったら、父の病気宣告で、Amirここでまたまたアホなセリフを暴露。「ボクはどうするの?!」おいっ! 「それを言わせない教育をしてきたはずだろ!わからんのか!」とBaba。ったく。病院から家まで、きっちりタバコを吸いながら帰るBabaはある意味、「男」だね。

ともあれ、Sorayaとの結婚話は順調に進み、とにかくBabaの先がない(泣)という事で、婚約期間を設けずいきなり結婚。義父の世話をかいがいしくするSoraya。ホッセイニさん曰く、Babaの死のシーンは泣きながら描いた、のだそう。またまた、シリウスの死を泣きながら描いたローリング女史と重なります。Babaは生涯クマと戦い続けた、そうです。そうだ、こぐまのミーシャと戦ったね。(それが言いたくて、クマだったんだな(笑))合掌。

AmirとSorayaには長い事子供はできませんでした。


というのが、前半。
1970年代のアフガンが生き生きと描かれていて楽しかったです。Hassanの純真さも良く、Amirのアホっぷりに呆れ(笑)、アフガンの結婚の習慣を楽しみました。


The Kite Runner (4) 前半の感想その1

2008-10-05 10:18:46 | 読書
The Kite RunnerThe Kite Runner
価格:¥ 1,694(税込)
発売日:2004-04


とりあえず、前半の感想を書いてみます~。実在人物と本の登場人物の生まれ年が交錯しているので、注意しましょう。(笑)

著者のカーレド・ホッセイニは、1965年カブール生まれ。タジク系なのだそうです。父は外交官で、1970年代イランやフランスに住みますが、旧ソ連のアフガン侵攻により亡命を決意、1980年代からアメリカに住んでます。

J.K.ローリングと同世代ですね。以前やはり同世代(1つ上)のダン・ブラウンに、論理的でわかりやすいという共通点を見ましたが、カーレド・ホッセイニも同様の共通点を持っておりますね。またそれ以上に。。。。おいおい紹介して行きましょう。(^o^;) まずは箒少年物語と同様、前半のお話、ちょっとしたエピソードの多くが、後半の伏線となりますので、見逃してはいけません。

主人公のAmirは、1963年カブールの裕福なパシュトゥーンの家に生まれました。父であるBabaは、1930年アフガニスタン最後の国王ザーヒル・シャーの治世が始まった年の生まれだそうです。Babaの父は判事だったそうですが、彼が6才の時に強盗に殺されてしまいます。その事があってBabaのモットーは、「唯一の罪は『盗む』事、物を盗む事はもちろん、殺人は人の命を盗み、家族の権利を盗む、うそを付く事はうそに巻き込まれた人の権利を盗む」なのだそうです。

Babaは良家の美しいお嬢さんと結婚。彼女は国語の先生で、本をたくさん持っていましたが、Amirを生んだ時肥立ちが悪く亡くなってしまいます。

Babaの父は、生前家の前で殺されたハザラ人夫婦の子供を引き取り、Babaと一緒に育てて家の召使としました。それがAliです。BabaとAliは、兄弟のように一緒に育ちました。Aliはポリオの後遺症でまっすぐ歩くのも困難で、近所の人達にイジメられますが、Sanaubarという、いわゆるあばずれを嫁にもらいます。Sanaubarは、Amirが生まれた1年後にHassanを生みますが、その日に駆け落ちしてしまいます。

ここで、パシュトゥーンとかハザラとかタジクとか、いろいろ出てきたのでちょっとお勉強です。実はアフガニスタンは、他民族国家です。

42%を占めるパシュトゥーンは、アフガニスタン南部からパキスタンにかけて住む人達で、彫りが非常に深く、外見的にはおそらく日本人から最も遠い民族(笑)の1つ、通常アフガン人と言われて思い浮かべるのはこの人達ですね。Baba、Amir、Rahim Khan、いじめっ子Assef(ハーフだが)等がここに所属します。また、王家やカルザイ大統領等、偉い人の多くがこの民族です。言いたくありませんがタリバンもこの民族中心です。実は今回この本を読んでいて、非常にびっくらこいたのは、彼らは外見から白人に近いというのはわかりますが、目の色がアジア人標準の黒っぽい茶色ではなく、緑色の人がいるんですね。宗教的にはほとんどがスンニ派のイスラム教徒となります。(例外もいるそうですが)

で、次は先に第3位を占めるハザラ人行きます。ハザラ人はアフガニスタンでは人口の9%で、アフガニスタン中央部、及びイランに多く住む民族です。外見的にはパシュトゥーンとは全く違い、モンゴル系です。大変かわいらしい人が多いですね。(髭を生やした大人の男は例外っ(爆))この人達は、19世紀に戦争でパシュトゥーンに負け、以来(外見が違うからわかり易いというのもあるのでしょうが)差別を受けています。宗教はシーア派イスラム教徒です。実は、シーア派とスンニ派の違いを、こんなにわかり易く説明してもらったのは、この本が初めてでした。ハザラは裕福なパシュトゥーン人の召使として遣える人が多いですが、AliやHassanは、ハザラに差別意識を持ってない家のお坊ちゃん方と一緒に育ったのに、やはり決して同等には扱ってもらえません。このパシュトゥーンとハザラの関係、こう言うと怒られてしまうかもしれませんが、私は、ハリポタの世界の、屋敷しもべ妖精を思い出してしまいました。(ここがローリング女史を思い出した理由の1つであります)

次は、この本には直接関係しませんが、第2位を占めるタジク人について。タジク人はその名の通り、タジキスタンに多く住む民族ですが、アフガニスタンの人口の27%を占めます。派手な外見のパシュトゥーンに比べ、渋い大人の魅力系の人達ですね。パシュトゥーンとはまあまあ仲良くしていたので差別されたりはしなかったようです。彼らもほとんどスンニ派です。ホッセイニ氏はこの民族に所属しているそうです。またタジク系アフガニスタン人の有名人と言えば、9.11前夜に暗殺されたマスード氏。彼は旧ソ連の侵攻後、一旦リーダーとなりますが、タリバンに追い出されるように一線から退き、2001年9月、自爆テロの犠牲になります。私は全く偶然、2001年9月11日のアメリカの現地時間の朝(あの事件の直前)に放送されたNPRのニュースを録音していて、彼が攻撃された(彼の死は9.11以降に公表)事が小さく報じられていたのを知り、ちょっと興味を持ったのでした。もし彼が政権を取っていたら、今世界は全然違っていたのかなあ。。タリバンの○ホに勝てなかったのは、多数派のパシュトゥーンじゃなかったからなのかなあ。。と密かに思ったりします。。。(泣)


Run!Run!Run!