小学校5年生の時、林間学校で、奥三河にある鳳来寺へ行ったことがあります。
ずいぶん昔のことなので、記憶も定かでないのですが、
帰りにずいぶん長い石段を降りていったことだけは今でもおぼえています。
なにしろ、「膝が笑う」というものを初めて体験したのもこのときでした。
そして、思ったのは、「いつかかならずもう一回来る。そのときは登って、そして降りてみる。」とリベンジを誓ったのでした。
あれから、40年の歳月が過ぎ、ついに機は熟しました。
なんて、単に今まで忘れていただけですけどね。
鳳来寺は、愛知県新城市の鳳来寺山の山頂付近にある真言宗五智教団の寺院です。
アクセス方法は二通りあります。
ひとつは、鳳来寺パークウェイの山頂駐車場から10分ほど歩きます。
もうひとつは、表参道を登るルートですが、こちらは1,425段の石段を約90分かけて歩いて行きます。
小学校の時は、パークウェイ駐車場から歩いて行き、国民宿舎で泊まって、表参道を降りて帰ったと思われますが、今回は行きも帰りも1,425段の石段に挑戦することにしました。
独特の形をした一ノ門
この隣の駐車場にバイクをとめました。

バイクは100円です。
この看板を撮っていると「平日は無料なんですけど~」と係のおじさんが申し訳なさそうに話しかけてきました。

鳳来寺山は紅葉の名所でもあります。
訪れた11月6日は、もみじまつりが始まっていましたが、
まだまだ、見頃にはほど遠かったです。
表参道といっても細い坂道の両側に数軒の旅館と店が散在する静かなものです。
いよいよ石段の始まりです。
1,425段の最初の1段
目の前に立ちふさがる石段
まだまだ30段ぐらいしかありません。
種田山頭火の句碑
そして、松尾芭蕉の句碑
鮮やかな朱色の建物が見えてきました。

仁王門
1651(慶安4)年、江戸幕府3代将軍徳川家光の寄進によって建てられた入母屋造、銅板葺き(元は檜皮葺き)、天竺様式の朱塗りの重層楼門で、国の重要文化財に指定されています。
まだまだ序盤です。

傘杉
樹高60mの巨木、傘を広げたように四方八方に枝を広げているのでこの名が付いています。
周囲には他にも杉の木はありますが、さすがにこれは別格です。
徳川家康の生母・於大の方は鳳来寺に参籠し、家康を授けられたという伝説があります。このため、江戸時代に入ると幕府の庇護を受け、850石に増領され、多くの僧坊がつくられました。
現在では石垣と
石碑でのみ当時を忍ぶことができます。

ここは最近まで使われていたのでしょうか。

こんなところまで郵便を配達するのはたいへんでしたね。

たしかに危険ですね。
もっとも、欄干に触れなければ問題ないですが・・・
石段沿いには点在する石仏には心癒やされます。
きっと、ここには左右の石段をまたぐ門があったんじゃないかな?


ここらで7割ほど来たことになります。
残り道のりは長くはありませんが、
急坂です。
御大師様が見かけたら、ゴールは間近です。
本堂が見えてきました。
ついに本堂に到着です。
ご褒美の絶景です。
本堂から少し歩くと鳳来寺東照宮があります。

一の鳥居
1,425段の石段と比べればこのくらい何とも思いません。

二の鳥居と拝殿

拝殿に鎮座する寅童子
家康は「寅の年、寅の日、寅の刻」に生まれました。
すると、鳳来寺の薬師如来を護る十二神将像のうち、寅童子と呼ばれる神の像のみ忽然と消えてしまいました。
そして、家康が亡くなった年に元あった場所に戻っていたという伝説があります。
この寅童子は、七転八倒の苦難と努力により、天下を統一し戦乱の世を鎮めた家康の人生をよく表現したこの起上がり小法師です。
ふたたび、本堂に戻ってきました。

ここで小休止
五平餅をいただきます。

自販機もありました。
ここで缶コーヒー140円ならば良心的じゃないでしょうか。
この前行ったパチンコ店なんか150円だったもんね。
気持ちに余裕が出てきて、先ほどは気がつかなかった絶景を楽しむことができました。
帰りはふたたび1,425段の石段を降りていきます。
展望台に寄ってみることにしました。
しかし、少し進むとこんな看板を発見!
鳳来寺山へ登るためには登山に準じた服装にすべきです。
もちろん足下はトレッキングシューズ、少なくとも底の厚いスニーカーを履く必要があります。
でも、熊避けの鈴までは要らないだろうと思っていましたが誤算でした。
とりあえず今回は退散します。
下り道は、登りと比べ心肺的には楽なんですが、膝や脚は悲鳴を上げます。
もちろん、とっくに膝は笑っています。
ようやく、石段の出発点が見えてきました。
帰り道に博物館に寄ってみました。

鳳来寺山自然科学博物館
所在地: 愛知県新城市門谷字森脇6番地
開館時間: 9:00~17:00
休館日: 火曜日(休祝日の場合は翌日),年末年始(12/29日~1/3)
ただし、7/20~8/31、11月は無休開館
入館料: おとな 210円,こども 100円
鳳来寺山および奥三河の自然が生物的・地学的に解説・展示されています。
その中からブッポウソウの話を紹介します。
ここ鳳来寺の森には、「ブッポウソウ」と鳴く鳥がいます。
霊験あらたかなこの地で「仏・法・僧」と鳴くわけですから、それはそれはありがたい鳥なわけです。
そして、その鳴き声の主はこの美しい鳥
・・・だと思われていました。
ところが、1935(昭和10)年になって、前述の鳥ではなく、

フクロウのなかまであるコノハズクが「ブッポウソウ」と鳴いていることがわかりました。なんと、昭和になってからわかったのですよ。
以降、前者を「姿のブッポウソウ」、後者を「声のブッポウソウ」ともよばれています。ちなみに、コノハズクは愛知県の県の鳥でもあるのです。
鳳来寺のある新城市には、湯谷温泉があるので、帰りによって、汗と疲れを流すことにしました。

ゆ~ゆ~ありいな
所在地: 愛知県新城市能登瀬字壱輪23-1
営業時間: 10:00~21:30(受付終了20:30)
休館日: 毎週火曜(祝日の場合は翌日),12/29~1/1
入浴料: 大人 610円,子供 300円
玄関横に駐輪場があるのがステキです。
温泉のお陰で、翌日の筋肉痛もあまりひどくはありませんでした。
~おまけ~
近頃感じているのが、三河のフランクフルトのレベルの高さです。
足助のZiZi工房も、道の駅「つくで手作り村」や「筆柿の里・幸田」で食べた美河フランクも全国的に誇れるうまさだと思うのです。
共通して言えるのは、
・粗挽きであり、ソーセージという肉に近い食感
・あふれる肉汁
・強めの香辛料
ということです。
今回も、帰路、道の駅「もっくる新城」へ寄ってみました。
そこには段戸山石焼フランクが出店していました。

超粗挽きフランク(ハーフ)
おいしいです。前述の定義にすべてあてはまります。
油断して食べていたら、肉汁をズボンにたらしてしまいました。
三河のフランク恐るべし!