デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



前回、紹介したポンパドゥール夫人とも大いに関わり、ロココ時代のイメージの中心的存在といえる、フランソワ・ブーシェ(1703-1770)の作品のセクションに来た。
ブーシェは若い頃に版画家の工房で下絵制作をしていた。先達のヴァトーの絵の版刻制作にも参加していたが、その後イタリア留学、1731年に帰国した後は、王侯貴族に愛されて売れた画家となった。
彼はポンパドゥール夫人の寵愛を受けて、夫人に絵を教え、ルイ15世の首席宮廷画家にもなった。尤も夫人としても、ルイ15世との愛妾の関係後でも影響力を保つために、ブーシェを関わらせることでルイ15世との良好な関係を維持したわけだから、持ちつ持たれつということだったのかもしれない。
周囲もブーシェを愛したが、ブーシェも周囲の人々をポジティブに愛した。絵にはその幸福感が本当によく出ている気がする。


ブーシェ「エウロペの掠奪」(1747)

「ヨーロッパ」の語源は一説に、牛の姿に身を変えたゼウスにさらわれたフェニキアの王妃エウロペにちなんでいるとか。美しいエウロペが花を摘んでいる姿に一目ぼれしたゼウスは、大人しそうに見える牛に姿を変えてエウロペ近づき、エウロペがゼウスに触れたか乗ったかした時にゼウス牛がいきなり走り出して、エウロペは連れ去られた。結局、エウロペは海を越えてクレタ島まで誘拐されたわけだが、連れ去られるときに今で言うヨーロッパ中を駆け回ったために、「エウロペ」→「ヨーロッパ」といわれるようになったとか。何かのオチかいな(笑
ただ、ブーシェの絵ではエウロペは誘拐されることを嫌がってはおらず、望んでいるかのようで、周囲もそれを祝福しているように飾られているのが面白い。絵の裏のテーマとして神とか偉大なものとか権威とかにさらわれたいという、秘めた願望を描ききっているのかもしれないと思ってしまった。


ブーシェ「オダリスク」(1740)

紹介する画像が少ないので短絡的かもしれないが、ブーシェの絵の多くは上流階級の婦人の寝室を飾るものだったそうで、誘惑的で感覚を刺激する特徴がある。尤も、↑の「オダリスク(トルコの後宮に仕える女)」は、あまりにもあからさまで後にディドロの厳しい批判を招いたのだが。
フランス革命前の悦楽と遊戯的な気分が表れた、時代を反映している絵を描いたブーシェも革命前に亡くなっている。

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