デミタスカップは、鈴木康裕・登美子夫妻が40年にわたって蒐集されたコレクションです。
三井記念美術館で特別展が開催された2015年の後、鳥羽珈琲㈱の鳥羽会長が、ご夫妻の思いを継承する形で購入されたそうです。
それでは、「美術品を陳列するときのポイントは?」
ディスプレイの裏話(?)
体験をもとに、少し書き下ろしてみます^-^
このたびのような小さくて繊細な美術品の陳列にも、最低2人は必要。
右脳と左脳をバランスよく持っている2人が、右脳のみに集中するスタッフと、左脳のみに集中するスタッフに分かれ、連携して行うこと。つまり、緻密な建築的採寸と目分量によって、カップ&ソーサーを配置するアクリルスタンドの、位置と流れを決めていく作業をするスタッフと、プレートやカップの柄の向きや角度を、美的センスと直観力で決めていく作業をするスタッフ、に分かれます。
村田さんが右脳で、私が左脳を担当しました。最終工程は、2人で確認しながら、美術品を固定します。固定するのは、耐震を兼ねている大切な作業。何百年も経ている素地や装飾部分に、どれほどの負荷をかけられるか、経験で判断しながら、専用パテを使って、アクリルに押し付けていきます。薄くても強いもの、厚くても脆いもの、手の中の小さくて可憐な、生まれたての小動物を愛でるように。
どんなに頑張っても、集中力は3時間が限度。
もっぱらアンティーク好きで仕事をしている私たち2人は、「僕はこれがいいよね」「私はこれです」「これってさー、」「うん、なるほどですね」と、雑談をしながら息を抜く。そして、差し入れのオリジナルブレンドを頂きながら、再び集中。
設営するための細部を観察する視点と、愛でるための鑑賞する視点は別。前者は不備がないかを見る目(医者が患部を見るように)、後者はクオリティーや世界観を見る目(医者が患部以外のその人全体を見るように)です。
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和やかに、そして厳しく、優しく、楽しく。
同じ1階のスペースでは、コーヒーの味を極限まで極めるための試作が繰り返され、店内や商品の細部へのこだわりが吟味され、鳥羽会長をはじめ、各セクションのプロフェッショナルが、随時、話し合いを繰り返していました。和やかに、そして厳しく、優しく、楽しく。
スタッフの皆さまも、時折コレクションをご覧になって、息を抜く。「一番好きなのは、これですね。」「いや~細かいよね~。」そう、息抜きも大切。そして、再び集中。「最高のものに変化し続けます。それは、お客様やスタッフ、すべての人の笑顔のために。」と皆さんが高い美意識で一丸となっている。(「すごいカフェができるぞォ、自由ケ丘が変わる!オープンが楽しみだ。」と私は心の中で思いました。)
やりがいと充実感に満たされて、301点は無事、期限どおりにディスプレーすることができました。私のお手伝いはここまで。
手で触れることができ、観察し、鑑賞し、とてもよい状態の収蔵品と実感しています。アンティークの綺麗な絵付けが好きな方、必見です。(展示スペース:無料、営業時間内オープン)
その後、美術館学芸員の方の確認やカタログ作成など、オープンまでの最終段階に入っていきました。カタログは、1階コーヒー販売コーナーで購入可能。美術館で開催された図録は完売・入手困難。こちらの新刊を、是非お買い求めください。1冊2500円
その本を持って、2階のサロンでお茶を飲んでみませんか?
本の中の名品で、実際に珈琲を飲んでいる感覚を想像できそうですよ。
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銀座アンティークギャラリー:オーナー村田さん撮影
「陳列する人」というフィルターを通して書きましたが、このようなフィルターで、店内のデミタスカップを見直すと、きっと新しい、楽しい発見があると思います。
このブログを読んでから、カフェに初めて行ってみる方、もう行ってきたよ~という方、各国の名品を眺めながら、時空を超えて、いろいろな時代と街に想いを馳せてみませんか?
店内で美味しく寛いだ後に、それとも先に、また再び巡ってみるのもいいですね。ガイド役は、1階で販売している「カタログ」がおすすめ。そして、店内のスタッフさんとお話したり、鑑賞している方と会話しながら見学するのも楽しいですね。
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アートのある日常
ブログ後半②は、カフェ紹介ならぬ、美術館のような、ご案内となりましたが、ここが、自由ケ丘らしい名所として、これからずっと地域に、広く根差していくのだろうなあ~と感じています。
市民のための ”開かれた美術館、カフェミュージアム”
鳥羽会長やスタッフの皆さまに伺ったところ、行列が出来なように、ひっそりとオープンしたとのこと。まだ告知をあまりしていないそうです。確かに、情報が少ない。私も知らなかった。納得。
ここは、鳥羽珈琲が経営する、銀座「ロイヤルクリスタルカフェ」の自由が丘店です。銀座は私にとって「男性的な宮殿」のイメージ。落ち着きのあるゴージャスな印象。だから、ここは、「女性的な離宮」と感じる。ほっと一息。これからも、時々レポートしていきます^-^
年中無休ですので、自由が丘にお越しの際には、ぜひ一度お立ち寄りください!
〒152-0035東京都目黒区自由が丘2-16-3
TEL:03-5726-9268
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