両親の庇護のもとで、オオアマな人生を送っていたオレは、大学進学の進路を取った。
それも、比較的都心に近い実家から1,000キロ近く離れた地方街のいわゆる駅弁大学だ。
ま、都会がキライだったということもあるし、誰も知らないヒトばかりの街で、たった一人から、自分がどんな人生を描くことができるのか、興味があった。
また、バイトと柔道と、ドツキ合いにシビれた高校生活だったので、女子大生とヤりまくる、バイク乗り放題のハッピーキャンパスライフを夢見ての選択だった。
そう、オレのそんな思惑は、両親には全くもってお見通しだったに違いない。
「学寮に入るコト」。ソレがスポンサーである両親の出した、唯一の条件だった。
学生運動の遺風が残る学寮の生活は概ね、皆さんのご想像の通り。
ハッピーなキャンパスライフは、硬派と、睡眠不足と、一升瓶3本空けるまで終わらない寮内コンパとにスリ換えられてしまった。
引き換えに多くのことを学んだし、得るモノも多かった。
寮内には、共感と言う概念をはるかに超えた苦楽を共にした仲間が、いた。
ま、ソレが意図されたものであったというのに気付いたのは、相応に後のことだが、その時は、それでも満足に足るものだったように、思う。
その同期生が、夢を見た、と言う。そして、その夢をオレに語った。
オレも、その夢を見てしまった。
そう、あなたも、その夢を見るかもしれない。
夢の中、逃げ場は、ないのだ。
精神的なキケンを感じる方、性的描写を拒絶するお方は、どうぞ、ヨソのページへ。
カネのない、心身健康な20前後の男子が、適切な昇華の方法を持っていたとしてもその性的欲望を持て余すのは、シゴク当然のことだ。
そして、自家発電的手法を駆使し、コレが社会規範を逸脱しないように抑制していくのもまた、自然な帰結だ。
また、日常的でもある。
ただ、大学の学寮は、2人部屋で、全くのプライバシー空間はカーテン一枚の二段ベッドの中のみ、といった脆弱なものだった。極めて個人的な空間はこの、風でひらひらするような布一枚の内側だけなのだ。
結果として、同級生にあっては、ほぼ、全員が現場を押さえられる被害に遭う。
また、寮内では、パトロール様に現場を押さえて回る悪趣味な輩がいたりしてこれもまた、日常的な活動だったように思う。
こんな極限ともいえる生活環境の中、その悪夢は同級生の夢見話からやってきたのだ。
夢の中で、同級の寮生が「●ェラチオをして欲しい」と熱意をもって説得してくるのだ、と言う。彼は、マジメで熱血な土佐っぽで、坂本竜馬と長距離走をこよなく愛するナイスガイだ。多くを語らないがアツいヤツなのだ。
「頼む、オマエでないとイカンのじゃ」「このカリは必ず、返す。ワシを信じてくれ」「本当に済まん、おんしゃぁしか、頼めるのは、おらん」「頼むけぇ、ゆーこと聞いちくれーや」「信じられるヤツだけなんや」
彼は、講義に行こうが、風呂に入ろうが、寝ていようが、ウンコしていようが、半径1m以内にあって、常に語りかけてくる。
講義の時は隣にいて、風呂でも脇に居て、オレが寝ていてもカーテンの向こうで待っていて、ウンコのトキもドアの外で待っている。
飯も食わずに説得してくる。大変な労力だ。
「ストーカー」なんて言葉が存在しなかった頃の話だ。
なぜ、そうまでして彼は、●ェラチオさせなければならないのか、全く理不尽なところが夢オチなのだが、そこは、夢の中なので気付かない。判断云々のハナシではないのだ。
彼の説得は熱意があり、誠意があり、説得を受ける者の頑ななキモチを氷解させるに至る。
このハナシをオレにした同級生は最後には彼の説得に、応じた、と言う。もちろん、夢の中での話だ。
そして、そのハナシを聞いてしまったオレも、同じ夢をみて、夢の中の彼の説得に負けてしまった。
今、思い出してもサブイボものの夢体験だ。
さて、あなたは、「彼」に置換する、誰の顔を思い出しますか???
この夢見はオレの生き方を、変えた。
おねぇちゃんを口説くとき、誠意と熱意にかなうものはないのだ。
このオレが、夢の中とは言え、オトコの説得に負けたのだ。
オンナノコなら、絶対、オチる。
これが、半分正解、半分勘違いだと気付くには、コレを実践し始めてだいぶ、時間がかかったけど。