吹浦の海禅寺、21代寛海和尚が、日本海の荒波で命を失った漁師諸霊の供養と海上安全を願って1864年造佛を発願し、地元の石工たちを指し、5年の年月をかけ、明治元年に22体の磨崖仏を完工しました。
それが「十六羅漢岩」。
16の羅漢に釈迦牟尼、文殊、普賢の両菩薩、観音、舎利仏、目蓮の三像を合わせて22体。
これだけの規模で岩礁に刻まれているのは日本海側ではここだけといわれているそうです。
歴史的にも貴重な資源として、水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選ばれています。
ここの岩場に立つと、日本海の豊かな海原に、時間を忘れてしまいます。
時間の流れが、まるで子供時代のように、ゆっくり流れていくような感じです。
岩場に溜まった水たまりを覗けば、蟹や小魚の姿を見ることができました。
さて、十六羅漢岩の南側の磯場にある「出羽二見」は、対をなすその姿から夫婦岩とも呼ばれているそうです。
この岩が何故「夫婦岩」とも呼ばれているのか、定かではありませんが、夕日が両岸に掛けられた、しめ縄の真ん中に見えることもあるそうです。
この「夫婦岩」を近くで見るには、国道から砂と岩場の急坂を下らなければなりません。
自然のいたづらか、大きな岩でできたトンネルがあったので、くぐってみました。
それは胎内の中のような、不思議な異空間でした。
波のさざめき、限りなく青い海原、まばゆい太陽…とても気持ちのよい場所です。