グリーンズ・テイブル

ppのピアニッシモな戯言でござ~い☆

詩とファンタジーNo.31

2015-08-12 22:07:03 | 

詩とファンタジーNo.31 夏駆号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:大地を耕し詩の種を播く

 

表紙に小さな文字で書かれている詩、とうとう虫めがねが必要になった。。。

10月の薔薇

   ルミ・ド・グウルモン(堀口大學・訳)

お前がわたしにくれた薔薇の花は

ほかの薔薇より香い

花の匂ひのほかに

お前の心の匂ひがする。

   「月下の一群」(岩波文庫)より

 

心の匂ひ…誰にも書けない。

ただ秋号に乗せて欲しかったな(笑)

今号は……谷川俊太郎さんの詩を(投稿詩ではありません、念のため)

漢方

病院じゃドクターは大忙し

診察室には次から次へ老若男女

見るのは顔じゃなくてデスクの上のコンピューター

診断するのは聴診器より数字が頼り

本当はゆっくり話を聞いてほしいのに…

 

と思っていたらこの爺さん医者は違ってた

まず手を握り脈を取り目をのぞきこみ微笑んで

「朝ご飯は何食べた?私は梅干しと玄米粥」

聞きもしないのに自分で答えて

処方箋は紙にペン書き

 

うちへ帰って薬を煎じていると

お祖母ちゃんが「おや懐かしい匂い」と寄ってきた

その日からうちのホームドクターは

三丁目のボロ家にいる白い髭のお爺さんです

アダ名つけたけどそれは秘密

 

お医者さんも色々ですからね~

 

今号から始まったポエム31から。

この夏の日々が詰まっているような蝉の抜け殻机に飾る 山上秋恵

 わたしもやりそう(笑)

 

投稿ショートファンタジーは、わたしの中では、好きだった「足みじかおじさんの旅」(やなせたかし・作)の代わりに位置している。4回めの今号はおびきみつこさんの「星屑メモリー」、七夕にかけたじ~んとするメルヘンでした。

 

イラストレーション入選作から。

「音色にさそわれて」山田レナ

すてきですね~。なんか音楽が聴こえてきそう。

 

「奥の奥の森の奥深く」長谷川綾

怖いけど見てしまう、この目すごい。


詩とファンタジー No.30

2015-05-17 20:06:29 | 

詩とファンタジー No.30 春翼号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

30号記念特集:おかあさんって、あったかい

 

30号目! やなせさんも天国で目を細めているでしょう。

表紙には寺山修司の似顔絵とともに短い詩が。

大工町寺町米町仏町 母買ふ町 あらずやつばめよ

これはどういうこと? なんだか苦しいですね~

 

母親のことを書いた詩はどれも心を打つ。

二編、記します。

 

あと何回

  平田俊子

小さい頃は「ママ」だった

反抗期には「クソババア」

その後はずっと「おかあさん」

「おっかさん」と呼んだことは一度もない

世界中におかあさんはたくさんいる

わたしが「おかあさん」と呼べるのはひとりだけ

 

二十七歳違えば価値観が違う

生意気盛りのわたしは

しょっちゅう口答えしたし

家にいる母を物足りなく思った

そとで働くお母さんにあこがれた

 

歳月は恐るべきスピードで過ぎていく

専業主婦の母が

専業未亡人になって はや二十年

二児の母だった人は

あっという間にひとり暮らしの老人になった

ひとりでも買い物にいき 料理を作り

ひとりで食べて眠る八十七歳

 

母が健康なのをいいことに

頼られないのをいいことに

娘は遠くの町に住み

自分の暮らしにかまけている

あと何回「おかあさん」と

呼べるだろうとどきどきしながら

 

おかあさん おっかさん

やっぱり おかあさん

 

あと何回、私もかつて同じことを思った。

母親になり「おかあさん」と呼ばれ、やがて「うるせークソババア」の洗礼を受け「かあさん」におさまった。

その我が子も、あと何回…と同じことを思う日が来るんだろうなぁ。

 

家路

  みなみくみこ

夕暮れになると

有線放送で

ドボルザークの

「家路」が流れる

 

羊飼たちが

羊を集める

ホルンのメロディを聴くと

私もどこかへ帰りたくなる

 

生まれて育った家にいるというのに一体

どこに帰るというのだろう?

 

台所の窓からみると

バットを背負った中学生が

自転車で

背を丸めて帰って行く

 

若かった父と母の待つ家

母の作ったあたたかい夕食のある家

きっと

私は中学生になって

帰って行きたいのだ

 

ひゅーい 箭内道彦 絵・山口はるみ

 

思い出 青木純 絵・軽部武宏

 

今回で三回目になるショートファンタジーの入選作品は、毎回温かいストーリーで気持ちがほぐれ、楽しみが増えた。


詩とファンタジーNo.29

2015-01-29 21:17:48 | 

詩とファンタジーNo.29 冬実号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:詩人になりたかった穂村弘

 

今号は、共感した詩を2篇。

ふくろうにおけるパラドックス

         下野栄子

 

飼ってみたいよ ふくろうを

昔 テレビ番組で目にしたように

部屋の天井近くの隅で

じーっと見守っていて欲しい

時折 首が ぐるっ ぐるっ

 

乗ってみたいよ ふくろうと

自転車のハンドルにとまっていて欲しい

風受け ラララン ペダルをこいで

買い物に行く うれしいな

時折 羽毛が ふわっ ふわっ

 

頼ってみたいよ ふくろうに

夜行性で肉食だから

出掛けて遅くなったとき

飛んできて 夜道をエスコートして欲しい

時折 ピカッ ピカッ

 

考えると

わくわくする うきうきする

だから

ふくろうは飼いたくない

ずっと ずっと

飼ってみたいと思っていたい

 

欲しいものが手に入った途端に、喪失してしまう「わくわく感」は欲しいものと同じくらいの価値があるんですよね~。

 

オオイヌノフグリ

     浅田奈加子

 

この花が咲いたら

 

空をうつしたような

水色の小さな花

たった一輪

冷たい風に吹かれて咲いています

 

陽が射すように

水色が

一瞬で飛び込んでくるのです

 

冬の寒い日々を

背中まるめて縮んでいました

風に揺れる姿が笑っているようで

なんだか元気になれます

 

だから

いつも探してしまうんです

そろそろどこかで

咲いているんじゃないかって

 

今日 見つけました

 

うちの庭では、エリカの蕾が雪の隙間から、ちらっと

でも、北国は冬まっただ中、春はこの寒さを超えた先。

 

 

隙  詩・中野橙  絵・工藤大輔  

 

地上の恋人たち  詩・磯純子  絵・岸田ますみ

 

ほんの三行詩から思わずクスっとしたのを。

父親の知恵

    山上秋恵

知恵の輪を

ペンチで曲げて

外す父

 

マジっすか

    金子修

もう七十になる

あなたから

聞きたくなかった…


詩とファンタジー№28

2014-10-29 21:33:51 | 

詩とファンタジー№28 秋耕号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:歌手生活50周年記念 加藤登紀子の歌と詩の世界

 

秋号がなかなか出ない、北海道はもう冬になるぞ~、やっぱりやなせさんが亡くなったから、一年でストップかぁ…と思っていたら、先週、店頭にありました。

表紙絵はおなじみの宇野亜喜良氏。枯葉のヴァイオリンの発想がユニーク。

またまた表紙に書かれている堀口大學の訳詩は字が小さくて裸眼ではギリギリ…

だから、余計読もうとするのですが。

病める秋

   ギイヨオム・アポリネエル

私は好きだ 季節よ お前のもの音を

誰も摘まぬのに落ちてくる果物と

啜泣く風と林と

落ちて来る涙 秋の落葉よ

踏みにじられる落葉よ

    「月下の一群」(岩波文庫)より一部抜粋

 

投稿詩の中から一つ。

42たい

   こいずみひでまる

しにたい しにたい と、

しげさんは つぶやく

しにたい どうしても しにたい と

しげさんは わめく

しにたい もう しんでしまいたい と

94さいは ぜっきょう する

 

そんなに しにたいなら

しんだら ええやないですか

と ぼくが いうと

あんたみたいに はくじょうな かいごしは

おらん と しげさんは おこる

 

ぼくらの しごとは にゅうきょしゃさんの

きぼうを かなえる ことです

ほんまに しにたいなら しんで ください

しにたくないの やったら

もう にどと しにたいなんて

いわんといて ください

 

つぎの ひの あさ

かれんだーの うらに おおきな じで

42たい と かいて

しげさんは へやから でてきた

 

42ひきの たい ですか

と ぼくがきくと

しげさんは ぎっ と ぼくを にらむ

しかし きれいな じ ですねぇ

ぼくが ほめると

しげさんは なくなった ごしゅじんの

なまえを かいて

その よこに

あいたい と つけたした

 

ぼくは こっちの たいの ほうが

すきですね というと

 

しげさんは もういちど おおきな じで

あいたい と かいた

介護士さんは大変、それから亡くなった人に無性に会いたくなる気持ちもわかるし…

 

手習い 詩:吐詩翁 絵:梅川紀美子

 

秋の虹 詩:宮せつ湖 絵:松倉香子


アドヴァンスド・スタイル

2014-10-25 09:58:51 | 

「アドヴァンスド・スタイル」  ニューヨークで見つけた上級者のおしゃれスナップ

著:アリ・セス・コーエン

訳:岡野ひろか

 大和書房

 

被写体は60歳代から100歳代。

一言で言うなら「カッコイイ

高価なものを身につけているからではなく、ポリシーを持った生き方が伝わってくるから。

撮らずにはいられなかった著者の気持ちもよくわかるし、よくぞ発刊してくれたと思う。

ここに写し出されているのは着せられているモデルではなく、自身の好みをまとい、街を闊歩している方々です。

 

被写体になった方々のコメントを少し。。。

「もっと自分らしく、着飾りすぎず」

「わたしは年齢に応じた格好というものを信じないの。ただ自分なりの主張をもって、それに自信をもつといいわ。明日には新しい一日と、新しいスタイルがあるんだもの」

「物事の美しさを感じる心があれば、外見も美しくなるのよ」

「人の真似をしすぎると、誰でもなくなってしまうわ。まわりと比べないこと。あなたはあなたでしかないんだから!」

「きっと、たくさんの女性がギブアップしていると思うの。ある意味、いつも恋をして、年齢を気にせずにいればいいのよね。すべては、気持ち次第なんだから」

「自分の体の中こそが、心地よい場所」

「大人の女性として、わたしは流行を追いかけずに、エレガンスを追い求めているの。常にエレガンスをね」

「若い頃は、他の人のためにドレスアップするのよね。でも大人になると、自分のためにおめかしするのよ」

「白髪のことを、人は年齢、遺伝、またはストレスによるものだと言うかもしれない。でもわたしは違って見えるの。わたしには、プラチナ色のエレガンスに見えるのよ」

「人と全然違うことを恐れたことはないわ。見過ごされるくらいなら、人と違ってちょっとミステリアスと思われるほうがいいと思うから」

「ファッションは『わたしも!』と言うけれど、スタイルは『わたしだけ!』という、これがわたしの哲学」

「若い子たちに言いたい。いつかあなたも大人の女性になるのよ。心配せず、焦らなくてもいいの。年をとることを心配する必要はないのよ。それぞれの年代で、年齢が個性を創りだすものなんだから」 

 

裏表紙。

 

シワやタルミをものともしない輝きは、誰になんて言われようと微動だにしないアイデンティティからきているのだと思う。


詩とファンタジー №27

2014-09-01 17:50:46 | 

詩とファンタジー №27 夏響号

投稿詩とイラストレーション

かまくら春秋社

特集:追悼・安西水丸 永遠の詩心

 

責任編集:やなせたかしと書けないのが残念。

もう9月、コスモスが街道に揺らめいて久しい。

秋号が出る前に、夏号をアップしとかなきゃ!

まずは宇野亜喜良氏の表紙絵の中に堀口大學が訳したシャン・コクトーの短い詩が載ってます。

私の耳は貝のから

海の響をなつかしむ

イラストと夏響号に納得、貝を耳に当てると波の音が聞こえるって本当かしら。

 

投稿詩の心に残った2篇を。

   大森千尋

青梅は、若いあなたに似ている

お肌がつるんとすべすべで

とても良い匂いを漂わせる

だけどご用心

うっかり食べてしまったら

その毒でしばらくの間、苦しみます

 

塩漬け梅は、中年のあなたに似ている

付き合いとか期待とか

そんな重しをどっしりかけられ

美味しく賢く変身していく

だけどご用心

うっかり食べてしまったら

最後まで付き合わなければなりません

 

梅干しは、年老いたあなたに似ている

お肌はみごとにしわしわだけど

じっくり熟成した、まろやかな深い味は

他のだれにも負けません

だけどご用心

うっかり食べてしまったら

人生のすっぱさをたくさん聞かされ

思わず口がすぼみます

 

さて、あなたはどこに属します?

 

ぼくの車輪はまるくない

         加山もも

ぼくの車輪は四角い

ぼくの車輪は三角だ

ぼくの車輪はまるくない

だからどんどん、おいこされる

みんなの背中しか見えない

いつも疲れて、とまってしまう

泣いても、くやしがっても、

ぼくの車輪は変わらない

 

ある日ぼくは、自転車からおりた

あしもとにはうさぎがいて、

ぼくをじっと見ていた

かごに入れると、うれしそうに笑いかける

ぼくはまた、自転車をこぎだした

ゆっくり、ゆっくり、うさぎを気にしながら

 

ぼくの車輪は四角い

ぼくの車輪は三角だ

ぼくの車輪はまるくない

けど、かごには小さなうさぎがいる

ぼくを見て、笑いかける

ぼくも笑った

ゆっくりでも

背中が見えなくても

ぼくは自転車をこぐ

空を見て、風を感じて

笑っていらられば、それでいい

 

マイペース、マイペース。

 

いっせいに 詩・ワタナベマサコ 絵・渡辺宏

 

きのこ  詩・わたなべみずき 絵・山口はるみ


嘘みたいな本当の話

2014-08-14 08:53:13 | 

 

選:高橋源一郎・内田樹

イースト・プレス

 

2、3年前からのツンドクでした。

なので、続編が出ているかも。

決まったテーマに沿って、採用された1000文字以内の投稿文。

読書は導眠剤の役割が多い中、これは読み始めるとますます眠れなくなります。

真夜中に響く クックックッ。

テーマを羅列しますね。

 

戻ってくるはずがないのに、戻ってきた話

犬と猫の話

あとからぞっとした話

空に浮かんでいたものの話

変な機械の話

おばあさんの話

私が会ったなかで、いちばん粗忽な人の話

そっくりな人の話

マジックナンバーの話

ばったり会った話

私が会った中で、いちばん物忘れのはげしい人の話

予知した話

終電車の話

壮絶にまずい食べ物の話

私が会った中で、いちばんカラフルな人生を送った人の話

あの人、高貴な方だったのね、という話

私が会ったなかで、いちばん酔っ払っていた人の話

今年いちばん、嘘みたいだった話

 

大見出しだけでそそられるでしょう?

心に残った話で一番短いものをひとつ。

テーマ、おばあさんの話から。

モガといわれた女

 近所においしい洋食屋ができたと言い出したので「店の名は?」と聞くと「オペン」と答えた。場所的に近かったのでいってみると店の名はまったく違った。

 ばあさんは「OPEN」の札を店の看板だと思っていた。    東京都 伊達直斗


未来イソップ

2014-07-19 23:06:13 | 

「未来イソップ」

星新一

新潮文庫

 

イソップ童話からは8つの物語のその後、そのほかにSFショートストーリーが31話。 

まぁ、並外れた想像力と発想の豊かさはショートストーリー作家の最高峰と言って良いのでは。

エスプリの効いた風刺も面白い。

最近の洋画でコンピューターと恋愛する作品があったけれど、酷似した物語が載っていたので初版を見ると、昭和57年!


詩とファンタジー No.26

2014-05-27 23:38:00 | 

詩とファンタジー No.26 春生号

投稿詩とイランストレーション

かまくら春秋社

特集:やなせたかし「わかれのごあいさつ」

 

前号に引き続き、発行されなかったやなせたかしの生前追悼号に載せるはずだったご本人のいくつかの詩が。

ちょっと、くどい気がしないでもないけれど、ぱたっと影がなくなるのも寂しいし。

寂しいといえば、毎号楽しみにしていた「足みじかおじさんの旅」まで載らなくなったのが残念しごく。

 

夢だらけ

  いけだかなこ

出会いは見えぬアミダクジ

予期せぬ事が幸運だったり

あんたと出会って話していたり

右や左に曲がりながら

右や左に突き当たり

それでも此処でこうして居るから

ハズレクジなど無いのかも

 

あんたと出会って当たりだもん

色々あって当たりだもん

 

アミダクジはまだまだ途中

偶然・突然・この先分からず

右や左につまずくことも

右や左に流れることも

それでも前みて進んだら

ハズレクジでも笑えるし

当たりと思えば当たりだもん

 

絵・建石修志

 

たんぽぽは飛ぶ

  木崎よしお

わたし たんぽぽ ふわふわ体質

このまえは本当に運がよかった

この野原に舞い降りて

土の上に花を咲かせられたから

 

花が綿毛になったら そろそろ旅立ち

もしも今度 風が吹いたら

ここから舞い上がらないといけない

行き着く先もわからないいまま飛ぶのです

 

無事大地に根付けるだろうか?

無常のアスファルトではないだろうか?

綿毛の数だけ不安はあるけれど

わたしはこう思うことにしたのです

 

たんぽぽの本質は咲くことではなく

飛ぶことにあるのではないかと

咲くから たんぽぽなのではなく

飛ぶから たんぽぽなのですよ

 

だから風は強く吹くほうがいい

そして高く高く もっと遠く遠く

飛び続ける そのときを楽しみたい

わたし たんぽぽ ふわふわ体質

わたし たんぽぽ ふわふわ体質

 

絵・奥田あきこ

木崎さんの作品は波長が合うというか、いつもビビっときます(フフ)

詩集が出たら真っ先に買いたいな。

 

「ほんの三行詩」も楽しいものがたくさん。

カラーリング

  吉田さおり

髪が伸びると

昔はプリン

今は富士山

 

pm2.5

  河野文

仙人も

食いたくなかろう

この霞

 

二千円札

  下野栄子

これほど

存在がなんだったのか

というお金は珍しい


詩とファンタジー No.25

2014-02-15 01:35:02 | 
詩とファンタジー No.25 冬思号
投稿詩とイラストレーション
やなせたかし追悼号
かまくら春秋社

責任編集やなせたかしの印字といつもの冒頭詩は無くなり、表紙のイラストは宇野亜喜良氏のものに。
本当にこの世にはいらっしゃらなくなったのだなと、あらめて思う。。。

子供の頃は手のひらを実際に太陽にかざしてみたし、TVのイラスト教室ではお馴染みの方だった。時を経て、子育て中に始まったアンパンマンは子供達が見る傍らにいて、人を助けるために自分を食べさせる発想が衝撃的だった。更に時を経て、ブログを始めた2007年、偶然手にした創刊号の「詩とファンタジー」…

やなせ氏がほわっと包んで成立していた印象の季刊誌だったので、出版もお終いかと思っていたら、氏の志しはスタッフによって生き続けることに。

この表紙の左下角に出版時の想いが記されています。
叙情詩だけを集めて
きれいな雑誌を出そうと決めたんです。
今の世の中に対する
ひとつのレジスタンスですね。


今号の特集は、著名人達による追悼文。
これは2011年に誌上生前葬として掲載を予定していたものの、大地震が起きて急遽取り止めた企画だそう。

投稿詩の中から、気に入った作品を一つ。
生活感にユーモアが加わったものが好きで。

しいたけ
    鶴巻 大
しわしわのしいたけ様
一時はどうなることかと心配しました
水を飲んで元気になりましたね
大きくてみずみずしく
いい味だしてふくらみました

しいたけ様、調子はどうでしょう
彼がもうすぐ家に来ます
彼は私との結婚を迷っています
私の運命がかかっています

どうかいい味だしておくんなまし
緊張して味の加減がわかりません
すべては、しいたけ様にお任せします
私の幸せは、あなたしだいです

ほんとに椎茸は偉い、これからはしいたけ様と呼びたい(フフ)

ほんの三行詩の中から、
LLサイズ
 身長も
 足のサイズも
 態度まで
    青木マリ

女性のシンボル
 男性の
 人魚って
 聞いたことないですよね
    銀 瞳香

採血
 注射器の中を見ていると
 歌いたくなる この出だし
 「ぼくらは みんな 生きている」
    下野 栄子

もじもじ もりみか 絵・葉祥明


コーヒーカップの風景 天勝文人 絵・小太刀克夫

楽しいこと、美味しいものは……新しい力にかわってくれる☆

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