詩とファンタジー№22 春歌号
投稿詩とイラストレーション
責任編集:やなせたかし
かまくら春秋社
特集:没後30年寺山修司抒情詩集編
春号のアップ、これも遅くなってしまった。。。
今号は心に響くものが無くて、感性がどうかしちゃったのかな。。。
それとも寺山修司の特集を最初に読んでしまったせいか。。。
五編掲載中、「さよならの城」は以前アップしているので「五月の詩」を。
イラストは全編、名コンビ(私の中では)の宇野亜喜良氏。
五月の詩
きらめく季節に
たれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ
夏休みよ さようなら
僕の少年よ さようなら
ひとりの空ではひとつの季節だけが必要だったのだ 重たい本 すこし
雲雀の血のにじんだそれらの歳月たち
萌ゆる雑木は僕のなかにむせんだ
僕は知る 風のひかりのなかで
僕はもう花ばなを歌わないだろう
僕はもう小鳥やランプを歌わないだろう
春の水を祖国とよんで 旅立った友らのことを
そうして僕が知らない僕の新しい血について
僕は林で考えるだろう
木苺よ 寮よ 傷をもたない 僕の青春よ
さようなら
きらめく季節に
たれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ
二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこそ時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる
二十才 僕は五月に誕生した
さよならの城