グリーンズ・テイブル

ppのピアニッシモな戯言でござ~い☆

ナチュラルメディスン

2010-12-01 10:38:08 | 

師走ですね~。
やんなっちゃいます。

昨夜着、時間指定で友人が送ってくれた本です。

ナチュラルメディスン
アンドルー・ワイル著
上野圭一訳
春秋社

アンドルー・ワイルといえば、先月観た地球交響曲第七番に出ていた統合医療医学博士。

厚みが3センチほど、字も細かい。
これは自然療法に基づいた21世紀の家庭医学書と言って良いと思う。

冒頭に、病気の診断と治療を本旨とする標準的な医学(アロパシー医学)に全面的にとって替わる医学書として書かれたものではないと謳われている通り、押しつけではなく広い視野に立っている。

私自身、今年は3種類の薬を毎日服用していた時期があり、飲む度に副作用が頭をよぎったし、病院通いの面倒さも手伝って飲むのを止めてしまった。(勝手に)
症状と上手くつき合いながら、日常生活にこれまで以上の心配りをすることで試してみようと思っていたところ。

さしあたっては「リラクゼーション」の項を読もうか。
近年流行りの「ハーブ」の注意事項も興味深い。

詩とファンタジー№13

2010-11-02 10:28:02 | 

詩とファンタジー№13 秋彩号
投稿詩とイラストレーション
責任編集:やなせたかし
鎌倉春秋社

特集「不思議の国のアリス」

今回の投稿詩は深いというか濃い書き方が多く、
私の好きなユーモアやウィット系がありませんでした。
ので、三行詩をちょっと。

野菜炒め
     央子
同じ場所
居つづけるから
焦げつくの

人魚姫
    吉田さをり
上半身が魚で
下半身が人間だったら
いたたまれない

妙なこだわり
     よもぎ猫
たいやきを
背中から食べる人を
なぜか許さず


「足みじかおじさんの旅」というやなせたかしの短編連載があって、
いつも気持ちがしっとりするのだけど、
今回は「幻滅平原挽歌」
平原で一人ヴァイオリンを弾く少年に出会い、その音楽に足みじかおじさんはいたく感激し涙を流す。
そしておじさんは言う。
「芸術とはいったいなんだろう、
はじめに芸術はひとつの感動の叫びであったはずだ。
いつの間にか音楽も絵画も文学も堕落してしまった。
ぼくは今夜のこの月光交響曲を聞いて、ぼくらの犯してきた大きなまちがいにはっきりと気づいた」


最近、なんで音楽活動してるのかな~と思っていたところ。
自分の薄っぺらな感動の発露を他人に聴かせるのは押しつけがましくないか…なんてね。
気の合う仲間と内輪で楽むに留めてはどうだ…とかね。

先日、ジュニアオーケストラの定期演奏会を聴いてきた。
指揮者を紹介した時に聴いて以来だから十数年ぶり。
沢山の大人の中にほんの少しだけ子供が混ざり、ジュニアとは名ばかりになっていた。
大人自身は補助という感覚で、子供自身は大人が弾いてくれるからという感覚で演奏しているのだろうか、何も伝わってくるものがない。
選曲からして「子供を育てる」という本来の目的は失われていて、
大人のやりたい曲を演奏し、上手くいかないところはジュニアオケだからと逃げるそんな印象。
私の所属しているオケに長年在籍された方が先月退団され、ジュニアのトレーナーをされているのでご挨拶が目的で出かけた。
その目的が無かったら、「私の2時間を返して!」と叫びたい。

話しが逸れました。
「詩とファンタジー№13」のイラストを少し。

日々 吉川彩子 絵・網中いづる


ケーキを食べたら 平井深海魚 絵・ひらいたかこ

松原泰道

2010-07-03 12:07:48 | 

夕べ、随分前の雑誌をめくっていたら、
「百歳から贈る一日一生のすすめ」松原泰道(僧侶・龍源寺前住職)に目がとまり…
かいつまんで書きますね。

感動・希望・工夫という「3K」は幸福への道

よく見ればなずな花咲く垣根かな 芭蕉

感動するためにはよく見る、つまり熟視が必要。
人が見ない垣根の隅っこに生えているぺんぺん草でさえ、懸命に花を咲かせている~自分も希望を持とう。
マイナスの境涯をいかにプラスにしていくか、工夫するところに人生の面白味と生きがいがある。


逆境は、選ばれた者に届く宅配便のようなもの

歯を食いしばって我慢しろということではなく、そこから転換してプラスが始まるという明るい意味にとらえて。

江戸末期の有名な儒学者、佐藤一斎の「見える限り、聞こえる限り、学を排すべからず」に対し、100歳を越えた今、そろそろ一斎先生に勘弁してしてもらいたいとのこと。

くじけないで

2010-06-24 12:19:39 | 
のち
「くじけないで」
柴田トヨ
飛鳥新社

詩とファンタジーで紹介された柴田トヨさんの処女詩集。



亡くなった母とおなじ
九十二歳をむかえた今
母のことを思う

老人ホームに
母を訪ねるたび
その帰りは辛かった

私をいつまでも見送る
 母
どんよりとした空
風にゆれるコスモス
今もはっきりと覚えて
 いる


母が調子悪くなり始めた頃に実家から帰るとき、木枯らし吹く中、見送りに出てきた母を思い出す。
「いいよ、中に入ってて」
「いいの、見送りたいんだから」
バックミラーにずっと映っていた…


あなたに Ⅰ

出来ないからって
いじけていてはダメ
私だって 九十六年間
出来なかった事は
山ほどある
父母への孝行
子供の教育
数々の習いごと

でも 努力はしたのよ
精いっぱい
ねえ それが
大事じゃないかしら

さあ 立ちあがって
何かをつかむのよ
悔いを
残さないために


あなたに Ⅱ

追いかけて
愛した人を
苦しめるより
忘れる勇気を
持つことが 大切よ

後になると
それがよくわかるの

あなたのこと
心配してくれる
人がいる
あなた気づかないだけ


全部90歳を過ぎてからの作品です。
身体の衰えとは裏腹にみずみずしい感性は変わらない…
そして余計なものは忘れることで削ぎ落とされ…
だけど、本当の寂しみも知る…

「九十八歳でも恋はするのよ」
という詩もありました。

未知の世界~老いていくことに勇気が湧いてくる、一つのお手本です。

詩とファンタジー№11

2010-05-03 08:34:52 | 

詩とファンタジー №11 春夢号
投稿詩とイラストレーション
やなせたかし 責任編集
かまくら春秋社

特集白寿の詩人 柴田トヨの詩

今回は心に響く作品や面白いのがたくさん。
白寿とは、え~とえ~と…99歳! 柴田トヨさんは90歳を過ぎてから詩を書き始め、多くの人に励まされながら、今も一人暮らしだそう。
一つだけ紹介させていただきますね。

地団駄


玩具店の前で
道に寝転んで
刀を買ってくれ
と 地団駄ふんで
私を困らせた 倅

今 白髪になって
いろいろ私を
諭すようになった

若くなる
薬を買ってちょうだい
今度は私が
地団駄ふんで
みようかしら
畳の上で寝ころんで


いかにも今どきのを。ちょっと長いな~。
モトカノフォルダ
     三浦史帆
わたしの声 手ざわり 口ぐせ 笑顔
それから 好きなバンドの名前と香水
いっしょにつくったビーフシチューの湯気も
ぜんぶつめこんでふたをしてしまって
私だけのために専用のフォルダを作って
タイトルは右クリックでちゃんと「編集」して
フォントはほかの子なんかといっしょにしないでね

あなたがお仕事で使ったり、ときどき夢をつづるワープロソフトや
あなたを笑顔にする写真や画像といっしょに
いつでも デスクトップに表示させておいて
あなたがいつか 新しいフォルダの作成にとりかかって
友だちと恋バナをするとき
「モトカノ」で検索にかけても表示されないように
わたし 勝手に
ブロック設定しておきますけど
だって わたし
「モトカノ」なんて名前じゃないもの
あなたが わたしにとって
「モトカレ」なんて たった4つの
音のつながりじゃないように
わたしだって あなたにとって
たったひとりのはずだもの

ダブルクリックで開いたらわかるわ
同じデータはどこにもないの

あなたが いつか このフォルダを見るのがつらくなって
削除して しまっても
わたしのフォルダはごみ箱に避難してます
開かれることが二度となくても
あなたのどこかに残っていたいの

ちなみに わたしは
「モトカレ」フォルダなんて作りません
あなたの名前の部分だけ
新しいだれかの名前に書き換えて
「上書き保存」してデスクトップに
いつまでも置くつもりです

夕焼けの種 絵・上田真


ノクターン 絵・東瑶子




リライブ

2010-04-14 22:12:15 | 
4月半ばでまだ雪!異常ですね。タイヤ交換まだしてなくて良かった。

リライブ/小路幸也
新潮社版

生きることは、選ぶこと。選ぶことは、悔やむこと?
人生が二度あれば、どこからやり直す?
あのときに戻れたら、きっと――

帯に書かれていたこの文章に惹かれて読んでみた。

死に際に、生き直すチャンスを与えられるという話しが7話。
期待した分だけ、あっさり感。

人生は選択の連続ですよね。
だから、あの時もう一方を選んでいたら…なんて考えたらキリがないし無意味。
と分かっていても、ふと思い返し想像することありませんか。

プラネタリウムのふたご

2010-03-21 10:13:26 | 

プランタリウムのふたご
いしいしんじ
講談社

長編なので長い間ツンドクだった。
プラネタリウムに捨てられた双子は心優しい解説員にのびのびと育てられるが、ひょんなことから一人は旅する手品師一座のトラックに乗ってしまい、話しは2本立てで進行。ふたつの物語を読んでいるのと同じだから長いはず。
旅先から届く手紙でちゃんと接点もあり、再会を楽しみに読み進めた…
これ以上はこれから読む方のために止めておきますね。
心の琴線に触れ、読後も泣けてしまいます。

たくさん星座の話しが出てきます。
ショックだったのは、永遠にかわらないと思っていた北極星がかわるということ!(書かれているのが本当なら)
今はこぐま座のしっぽの先だけれど、二千六百年経つとケフェウス座のガンマ星になり、一万三千年後はこと座のベガが。逆に五千年前はりゅう座のアルファ星ツバンが北極星だったそう。

文中より
だまされることは、だいたいにおいて間抜けだ。ただしかし、だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの、笑いもなにもない、どんづまりの世界になってしまう。

空のなかでゆっくりおおきく、姿かたちをかえていく星々たちにくらべ、けしつぶほどの時間しか与えられていないことを、ぼくはいま、こころから幸運におもっています。「永遠」を信じられるから。たとえそれが見せかけの永遠だとしても、ぼくのなつかしいうちは、「永遠」にかたちをかえない星々のもと、いまもそこにある、と、そんなふうにおもえるからです。


星を見るのが好きなのは同じように見ていた夢見る子供の頃に帰れるから。
そして銭湯の帰り、北斗七星と北極星を教えてくれた学歴の無い母を凄いと思ったことを思い出す。(北極星はかわるらしいよ、知らなかったでしょ)

プラネタリウムが見たくなった。
好きだったことを忘れていたくらいもう何十年も見ていない。

詩とファンタジー 冬唄号

2010-02-21 14:40:41 | 

詩とファンタジー 冬唄号 
投稿詩とイラストレーション
特集:子供って不思議
やなせたかし:責任編集
かまくら春秋社

10号記念特大号ってことはここに紹介するのも10回目に。

今回は自分の生活にも結びつくようなのに惹かれました。

海の色
   河合彰子

この街を
あした去るという日に
坂の上から海を見た

後に迫る山脈(やまなみ)の
深い緑を映した海の色
この海の青は
私だけのものとしておきたい

坂を降り
店で見付けて手に入れた
三つの青いボタン

あしたは
海の色をポケットに入れて
遠い町へ旅立とう

絵・黒井健

もしも海の見える町を離れなければならなくなったとしたら、見納めたいのはやっぱり青い海だろうなぁ。


なめくじ
   五十嵐容子
なめくじなので
食べている
パンジー ダリア 
なす キャベツ

雨上がり
ぬれた道路を
のわのわ 漕げば
ああ 貝だった
と 思うけど
殻を捨て去り 自由になって
ナメクジの身を つらつら 見れば
似ていたものは いも虫で
まねしていれば
羽が生え
もっと自由になれるかと

用意されてる
ごちそうを
ただ ありがたく
食べている

めくじらたてても
なめくじなので……

スーパーで買ってきた葉野菜や庭いじりで出くわすと「イヤダ~」と思うナメクジの気持ちはこんなんだろうか思えば少しは愛着が…いや~それはどうかなぁ。


「優しい休日」星野健太 絵・雨宮尚子

そういえば2,3日前、ぐみの木にお腹の黄色い小鳥が来て、またすぐに飛び去った。
名前の分からない野鳥がぼんやりしている私をワクッとさせてね。

とんび

2009-11-16 08:01:03 | 
のち
「とんび」
重松 清
角川書店

いつも登場人物にそそぐ視線が優しくて好きな作家。
「ビタミンF」以来。
長編なので長いこと積ん読、読み始めると一気に。
抵抗無く入ってくる文体と、相変わらずの優しさと。

気持ちを表現するのが不器用で学歴もない「とんびのやすさん」が周囲に助けられながら男手ひとつで愛情一杯に「鷹のアキラ(息子)」を育て上げる物語は、自分も人の親であり人の子だからだろうか、随所で泣けた。
それとも人間関係の希薄さが当たり前のようになってしまった時代に生きているからだろうか。

詩とファンタジー№9

2009-10-22 10:17:34 | 

詩とファンタジー№9 秋日号
投稿詩とイラストレーション
責任編集:やなせたかし
かまくら春秋社

特集:永遠の少年「忌野清志郎の詩」
対談:谷川俊太郎・やなせたかし(←これ、ゴールデン対談と呼びたい!)

今回で9冊目、たまたま切れることなく手に取ってきたものの、だんだん感激が薄くなってきて、私の感性が鈍くなってきたのかと思ったりしていたところ、今回のは初回号くらい、良いな~と思う作品が一杯でどれを紹介しようか迷うほど。

やなせたかし氏の「ふんコロガ詩」も面白かったし、
たなかひとみ氏の今時の少女が颯爽と歩む「つけまつげ」も良かったし。

傾き
   北川拓磨

春夏秋冬があるのは
地球の軸が少し傾いているから
春と秋だけなら過ごしやすいけど
夏と冬があるから生物は頑張るのだ

喜怒哀楽があるのは
心の軸が少し傾いているから
喜びと楽しみだけなら生きやすいけど
怒りと悲しみがあるから人は頑張るのだ


絵・黒井健



スーパーの駐車場で
       大下美奈

近くのスーパーへ娘を連れて
買い物に行く
駐車場で
一歳のあなたを
車から下ろすと
必ずあなたは
真っ先に空を見上げて
指をさす
「きれい」と言いながら
指をさす

まだほとんど言葉を
話せないあなたが
うれしそうに
「きれい、きれい」と空をみてる
どんな空の色でも
「きれい、きれい」

母親のわたしは
そのたびに
あなたの指さすほうをみて
それからあなたをみて
「ほんと、きれい」といいながら
毎回スーパーの駐車場で
抱きしめたくなる


絵・金沢まりこ


表紙もやなせたかしらしい暖かな可笑しさ。

楽しいこと、美味しいものは……新しい力にかわってくれる☆

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