風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

うわさのあの人

2004年12月04日 | 愛犬ポポ
ポポの散歩の途中、必ず声をかけてくださるご婦人がいる。
女優の宮本信子に似ていて上品さと知性を感じる方だ。
つい数日前も、ポポを連れていたら待っていたかのようにこちらに向かってきた。
「最近、このあたりで評判なのよ~」と、おっしゃる。
いきなりのことでなんのことかわからず、私はきょとんとしてしまった。
「この前ね、ダックスっていうんですか、こういう茶色のワンチャンの飼い主の方が言ってたの。近ごろ、すごくかわいい犬を見かけるって」と、近所の宮本信子さんはポポを指差しながら続けた。
私は、ほ~、どんな犬なんだろう、そのかわいい犬って…と、話に興味をもった。
「あたくしね、まぁ、それはきっとポポちゃんだわって、その方に言いましたの」と、ご婦人はホホホと笑った。
へぇ、ポポがかわいいって評判の話かぁと、なんだか私はうれしくなった。
「でもね、もっとみなさんがお話なさってるのは、ポポちゃんのお父さんのことなのよ」
「えっ? 主人のことですか」
私は、夫が何かマナーに反するようなことをしちゃったのかと、急に心配になってきた。
「そうなのよぉ、ポポちゃんのお父さんって、まるでポポちゃんを人間の赤ちゃんを抱くみたいにすごく大事そうに抱っこして歩いてるって。ご主人はポポちゃんのことが、本当にかわいくてたまらないんでしょうね、ってお話してたのよ」
私たちは確かに自他共に認める、すごい親ばか、犬ばか、飼い主ばかだ。
けれど、夫がまさか外でまで、犬ばかを全開していると思っていなかった。
なんだかすごく恥ずかしくなって、話もそこそこにご婦人に挨拶して家に戻った。
早速、夫にその話を伝え、いったいどんなふうに散歩させているのか訊いてみた。
そしたら、ポポを抱きながら、♪ね~んねん、ね~んねん♪と子守唄を歌ったり、幼児語でいろいろ話しかけているそうだ。
人目もはばからず。
これじゃ、うわさになるのも無理はない、ねぇ、ポポ。





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