風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

しののめの月

2004年12月10日 | 清水ともゑ帳
夜明け前、東の空に三日月があった。
この月を見たら、「やっぱり月は西から昇る」って思っちゃうよなぁと小学生のころを思い出した。

小学校3年生の理科の授業のことだった。
先生が「月はどっちの空から昇るか答えられる人」と言った。
生徒が手を上げるのを待つことなく、先生は順番に指していった。
最初から数人が「東です」と言った。
そして、私の番が来て「西です」と答えた。
先生は、「他に西から月が昇ると思う人は?」とたずねた。
2、3人が手を挙げた。
「西と答えた人は廊下に出てなさい!」と、先生は怒りながら教室の戸を開けた。
私たちは理科の時間中、ずっと廊下に立たされたままだった。

その後、月についてどう学習したかを、私はまったく覚えていない。
でも、日中、まだ日が高いときに残月も空高くあったり、
夕方、日の入りのころ、月もやはり西の空に見えたことが何度もあった。
私は、太陽が沈むと入れ替わりに月が出てくるような気がしていた。
そんなとき、私はいつも心の中であの歌を歌っていた。

♪西から昇ったお日さまが、東に沈む、これでいいのだ~、これでいいのだ~、ボンボンバカボンバカボンボン♪

「バカボンのパパが言うとおりでいいのだ」…そう、言い聞かせていた。

そして、私は宮崎駿作品「おもひでぽろぽろ」の主人公と自分が時々重なる。
みんながなんの抵抗もなく素直に覚えられることを覚えられなくて、ずっと疑問が残ってしまうあたりが…。
主人公は分数の割り算をするのに、なぜ掛け算をするのかわからなかった。
私も「月は東から昇る」と口では言っても、本当にはわかっていないから、「なぜ?」と訊かれたら説明などできない。

今朝の月は、伊豆半島から顔を出す太陽に押し出されるように、明るさを失いながら、高く昇っていった。
太陽が昇る時刻に、月が西の空に見えたのなら、あれから30年近く経った今も、こうしてまた疑問がわくこともなかっただろうに…。

東雲の月もまた美しかった。
♪それでいいのだ~、それでいいのだ~♪

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