1964年
日本国民の期待に答えて重量挙げフェザー級で金メダルをとった三宅選手。一万メートルで六位、マラソンで銅メダルを獲得した円谷はともに自衛隊出身の選手だが、この二選手の大活躍を誰よりも大喜びしているプロ野球選手がいる。このシーズン・オフに自衛隊から初めてプロ野球にはいった大洋の高木孝三投手(20)=広島県佐伯郡五日市町出身=がその人。高木投手は三十七年、高校野球界の名門、広陵高から自衛隊の試験に合格して山口県防府市の第一航空教育隊に所属していた「空士長」さん。高木投手は五日市中学時代から右腕の本格派ピッチャーとして鳴らし、広陵高でも速球投手として活躍していたが、三年生の春、練習中に右ヒジを痛めてピッチングが出来なくなった。「メシより好きな野球・・・」も右ヒジの痛みには勝てず、高木投手はとうとう野球を断念して自衛官募集に応募した。「大学へ進学していい加減な生活をするんなら、三年間ぐらい自衛隊で鍛えられるのも悪くない。若い間は苦労しなきゃ・・」これが志願にふみきった理由。時間にしばられる規律正しい生活がそれから始まった。もちろん余暇にやるクラブ活動では野球チームへ一番にとび込んだのはいうまでもない。右ヒジは少しずつ回復してきた。対抗試合には自らピッチャーを買って出るようにもなった。そして今年の七月、都市対抗で中国地方の代表になった山角鉄鋼の補強選手としてかり出されるまでになった。都市対抗では運悪く一回戦で敗れはしたが、そのピッチングを山角鉄鋼の有吉コーチ(元西鉄投手)に認められ、「どうせやるなら思い切りプロで投げてみろ」といわれてとうとう大洋入りを決心した。高木投手はいま、十三日から多摩川で始まった秋季練習に参加して、元気に投げまくっているが、1㍍75、68㌔のやや細身のからだは大男ぞろいの若手組にまじると小さく見える。しkし、右腕から投げ下ろすタマはかなりのスピードが乗っている。土井コーチの評価は、「スピードはあるが、まだコントロールがついていない。練習もやらせてまだ日が浅いせいもあるが、これからうんと投げ込んでコントロールを身につけることが第一」と点は辛い。しかし、若い選手たちの面倒を見ている谷口寮監(元ピッチング・コーチ)は、「最近の若い選手は団体生活についていけないような面が多いようだ。その点高木は自衛隊で暫くでも鍛えられたせいか、すぐに合宿生活にもなじんでピリッとしたところがある。じっくり努力していけば、一人前になるのも早いだろう」とみている。自衛隊時代から時間にしばられる習慣がついてしまっている高木投手は、「朝早く目が覚めて弱ります。合宿生活は慣れっこですから、ちっとも辛くなんかないです」一軍のマウンドで高木投手の雄姿が見られるのはいつのことか。自衛隊出身の第一号として注目してみたい。
日本国民の期待に答えて重量挙げフェザー級で金メダルをとった三宅選手。一万メートルで六位、マラソンで銅メダルを獲得した円谷はともに自衛隊出身の選手だが、この二選手の大活躍を誰よりも大喜びしているプロ野球選手がいる。このシーズン・オフに自衛隊から初めてプロ野球にはいった大洋の高木孝三投手(20)=広島県佐伯郡五日市町出身=がその人。高木投手は三十七年、高校野球界の名門、広陵高から自衛隊の試験に合格して山口県防府市の第一航空教育隊に所属していた「空士長」さん。高木投手は五日市中学時代から右腕の本格派ピッチャーとして鳴らし、広陵高でも速球投手として活躍していたが、三年生の春、練習中に右ヒジを痛めてピッチングが出来なくなった。「メシより好きな野球・・・」も右ヒジの痛みには勝てず、高木投手はとうとう野球を断念して自衛官募集に応募した。「大学へ進学していい加減な生活をするんなら、三年間ぐらい自衛隊で鍛えられるのも悪くない。若い間は苦労しなきゃ・・」これが志願にふみきった理由。時間にしばられる規律正しい生活がそれから始まった。もちろん余暇にやるクラブ活動では野球チームへ一番にとび込んだのはいうまでもない。右ヒジは少しずつ回復してきた。対抗試合には自らピッチャーを買って出るようにもなった。そして今年の七月、都市対抗で中国地方の代表になった山角鉄鋼の補強選手としてかり出されるまでになった。都市対抗では運悪く一回戦で敗れはしたが、そのピッチングを山角鉄鋼の有吉コーチ(元西鉄投手)に認められ、「どうせやるなら思い切りプロで投げてみろ」といわれてとうとう大洋入りを決心した。高木投手はいま、十三日から多摩川で始まった秋季練習に参加して、元気に投げまくっているが、1㍍75、68㌔のやや細身のからだは大男ぞろいの若手組にまじると小さく見える。しkし、右腕から投げ下ろすタマはかなりのスピードが乗っている。土井コーチの評価は、「スピードはあるが、まだコントロールがついていない。練習もやらせてまだ日が浅いせいもあるが、これからうんと投げ込んでコントロールを身につけることが第一」と点は辛い。しかし、若い選手たちの面倒を見ている谷口寮監(元ピッチング・コーチ)は、「最近の若い選手は団体生活についていけないような面が多いようだ。その点高木は自衛隊で暫くでも鍛えられたせいか、すぐに合宿生活にもなじんでピリッとしたところがある。じっくり努力していけば、一人前になるのも早いだろう」とみている。自衛隊時代から時間にしばられる習慣がついてしまっている高木投手は、「朝早く目が覚めて弱ります。合宿生活は慣れっこですから、ちっとも辛くなんかないです」一軍のマウンドで高木投手の雄姿が見られるのはいつのことか。自衛隊出身の第一号として注目してみたい。
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