忘れられた九想話

2008年09月13日 | 健康・病気
私は、単純に「これまでの九想話」を見て、
九想話のはじまりは、9/14「コンタクトレンズ」だと思っていた。
でも、この前にも何か書いていたはずだよな、とはぼんやり考えていた。
考えていたが根っからの無精でほっといていた。
だから、九想話の“誕生日”は「9月14日」と決めつけていた。

さっきふと、きちんと調べてみようと思い、過去のログを探して見てみた。
過去のログが見られるというのがASAHIネットのすごいところですね。
すると下に載せたログがあった。
「九想話(9) コンタクトレンズ」ではじめて「九想話」と標題に入れたから、
私は、九想庵を作ったときに「コンタクトレンズ」を最初にしてしまった。
それまでのものには「九想話」と入れてなかった。
(9)に注目しなければならなかった(粗忽だ~)。
これの前に8つの九想話があることに気づかなければならなかった。

それで今夜は長くなりますが、これらの忘れられていた九想話をここに載せます。
これを見ると、「黒沢映画」が「Date: 8 Sep 1998 00:26:26」だから、
私の書き方でいくと、九想話の誕生日は「9月7日」ということになります。
明日「9月14日」に“盛大に”ひとりで10年目のお祝いをしようと考えていたが、
誕生日は過ぎてしまっているので、「お祝いは、なしよ」です。

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黒沢映画
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 8 Sep 1998 00:26:26 +0900

 黒沢明が亡くなりましたね。
 歳が歳だけにそれほどの感慨もないのですが、なんといっても、私は黒沢明
の映画で映画に目覚めたものですから、黒沢映画と私の出会いを書いてみます。
 私が初めて黒沢映画(と意識して、実は子供の頃観ていた)を観たのは、そ
の頃月に1回開催されていた東京都文京区立小石川図書館の「名作映画鑑賞会」
(という名前だったような)でした。
 私が19歳のときだったと思う。本郷三丁目の小さな(従業員7、8人)試
薬会社(この会社を私が辞めた後に、赤軍派の大導寺綾子が入社してきました)
で私は働き、夜はお茶の水のある予備校の夜間部に行っていた。15日と月末
に私は、集金のために本郷、神田、お茶の水界隈の大学の医学部や医療機器の
会社などを自転車で集金のために回っていた。そんなときに、小石川図書館の
「名作映画鑑賞会」のポスターを見たのだと思う。
 図書館の小さな上映室ですから、スクリーンは畳三枚ぐらい(へたな表現で
すね)だったかな。そのとき観たのは「羅生門」でした。初めのシーン、雨の
中の羅生門で心を打ち抜かれた。あのシーンで“ほんもの”と感じました。私
はそのとき芥川の「藪の中」をまだ読んでなく、ストーリーにも引き込まれた。
 それから黒沢映画を観ましたね。おもに池袋の文芸座でした。
 黒沢映画に出会えたことは、私にとって幸せでした。

                              九想

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蒲団
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 8 Sep 1998 23:39:48 +0900

 ここのところ急に涼しくなり、すっかり秋らしくなった。
 ほんの二週間ほど前にはエアコンをつけていたのに、蒲団を一枚掛けて寝て
いる。
 といっても、まったく蒲団の中に身体全部を納めていると少し暑い。右足と
か蒲団の外に出してちょうどいい。左足と右足で、蒲団を挟み込んで寝るのが
子供の頃から好きだった。
「これはなかなかの贅沢だなァ~」なんて心の中で呟く。
 昔、私が小さかった頃、母が寝る前に「寝るのが一番だなぁや」とよくいっ
ていた。
 現在、私も「寝ることが一番」と思っている。それも同じ寝るなら、これか
らの秋が最高です。蒲団を一枚掛けて寝るくらいが心地いいですね。

                               九想

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スクランブル交差点
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 9 Sep 1998 23:58:32 +0900

 私は、駅から5分ほどの公団住宅に住んでいるのですが、団地から新所沢駅
に行くところに交差点がある。
 その交差点が昨日からスクランブル交差点になった。
 今朝通勤で、いつものようにその交差点を通るとき、赤信号で車を停めた。
信号が青になり車を発車させると、私の車のそばに立っていた人も歩き出した。
 私はあわてて車のブレーキをかけ、歩行者を渡らせてから交差点を過ぎた。
歩行者の信号機は赤だった。
 人間って、なんとなく習慣で行動してしまうものですね。

                                九想

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ビリヤード
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 11 Sep 1998 00:26:14 +0900

 今日、一緒に仕事している女の子二人がビリヤードに行くと話していた。
 それを仕事しながら聞いてた私は、
「ビリヤード? いいな。おれ二十歳の頃よくやってたんだ。仲間に入れてく
れる?」
 というと、
「行きますぅ」
 と女の子がいってくれたので、隣の机で仕事をしているSにも行こうと誘い、
4人で行くことになった。
 ビリヤード場の前で7時に待ち合わせた。
 24と28の女の子、30の男と46のおじさん、考えたらへんなグループ
だ。
 私は二十歳の頃、ビリヤードが好きで週に3、4回やっていた。今はあまり
ない4つ玉だった。一緒にやったのは、2年前、息子と山口まで墓参りに行っ
てきた、23で死んだボクシングをやっていた友人とだった。その頃そいつと
は、酒を飲むかギターを弾くか、ビリヤードをやっていた。
 今のビリヤード場には、ほとんどポケット台しかない。今日もやったのはナ
インボールというゲームだった。
 私がビリヤードをやってた頃は、東京ではほとんど四つ玉の台しか置いてな
かった。その頃大阪、京都に行ったときビリヤード場に入ると、ほとんどポケ
ット台で、四つ玉は、奥の方に2台ぐらいうやうやしくあるだけだった。なん
でかな、と思っていた。やっぱりビリヤードは四つ玉だ、と今でも私は思って
いる。
 7時10分から9時40分までやった。私が4回勝ち、女の子二人が3回づ
つ勝ち、Sは勝てなかった。
 楽しかった。会社の話もしないで、ただ、ビリヤードに夢中になって4人遊
んだ。
 勝てなかったSが、こんどはボーリングをしようと悔しがっていた。

                              九想

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競輪
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 12 Sep 1998 00:43:21 +0900

 今夜は、会社の人と所沢で飲みました。
 彼は、2月に今の会社に入社した。40歳です。以前の仕事は、競輪場の職
員だったそうです。
 どういう仕事をしていたか訊くと、各レースにどの選手を走らせるかという
ことを決めていたという。
 前日に翌日のことを決めるそうですが、決定する頃スポーツ新聞社の記者が
取材に来て大変だったそうだ。
 競輪の選手は4,000人ほどいるそうですが、いろんな人がいて面白いこともあ
ったが、イヤなこともたくさんあたそうです。
 ときには八百長があったという。普通のレースで優勝すると百万円もらえる。
だから、年取った選手が、そろそろおれに勝たせろというと、若い人は逆らえ
なかった。でもこれは選手の中だけのこと、外には漏れていなかった、と彼は
いっていた。
 いろいろ競輪界のこと聞いたのですが、メモを取っていないのできちんと書
けなくて残念です。なにしろ手はいつも酒を持っているものですから…。

                               九想

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秋風のせい?
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 13 Sep 1998 02:28:26 +0900

 きまぐれで、今週から毎日ここに何か書こうと思い書いてきた。
 今日も何を書こうかなと考えて一日過ごしてきた。
 しかし、書く気になれない。
 テレビで「糸井重里のインターネット・トーク」「黒澤明の世界」を見た。ど
ちらもよかった。大沢在昌の「一年分、冷えてる」という小説を読み終えた。
 これらについて書こうかなとは思ったのですが、元気がない。
 なんかへんに落ち込んでいる。今日は生きていることが妙に辛いです。

                             九想

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地球で最初に咲いた花
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 13 Sep 1998 20:43:43 +0900

 目が覚めて、枕元のポケットラジオのスイッチを入れてイヤフォンを耳にす
る。「こども電話相談室」をやっていた。
 はっきりしない頭でぼんやり聞いてると、
「地球で最初に咲いた花はなんですか?」
 と、女の子が質問した。
 私は、おもいっきり目が覚めた。そんなこと考えたことなかった。
「なんだろう。私も知りたいな」
 と先生はいって、植物は胞子植物から種子植物になって…、と説明した。
 地球で最初に咲いた花は、どんな花なんだろう。

 番組最後の質問は男の子で、
「朝になると、なんで気持ちいいのですか?」
 といった。
 スタジオの先生たちが楽しそうに答えていた。
 私も、天気のいい日曜の蒲団の中で、楽しい気分になった。

                              九想

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専業主婦
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 14 Sep 1998 23:29:18 +0900

 最近、女房がよく口にする言葉、
「専業主婦になりたい」
 これを聞くと、私は辛い。
 私の収入が、もっと沢山あれば女房を働かさないでもすむ。
 彼女に対して、どんな慰めの言葉もありません。
 明日、世間は祭日で休日の人が多いだろう。女房の会社は休みではない。
 ちなみに、私の今の会社も祭日は出勤です。
 さあ、明日は、夫婦そろってがんばって働こう。

                           九想

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九想話(9) コンタクトレンズ
Newsgroups: kashinoki/salon
From: ****-****(荻原 久)
Date: 15 Sep 1998 23:53:37 +0900

「祭日なんか客から電話もなく仕事も少ないのに、まったくうちの会社の社長
はケチなんだから」
 ごちゃごちゃ呟きながら、女房は冷蔵庫の前でコンタクトレンズをつけてた。
 うちの冷蔵庫の上のほうには、縦20センチ横15センチほどの鏡が、白い
ガムテープでつけてある。それで女房は、毎朝化粧とかコンタクトレンズをつ
けたりしている。
「ワー、ヤダ、コンタクト落としちゃった」
 私がトイレから出てくると、彼女が床にはいつくばっている。
「またかよ」
 1ヶ月ほど前に落として買ったばかりなのだ。同じ所で、有も2週間ほど前
になくしていた。
「やんなっちゃうな。他人が休みだっていうのに会社に行かなくちゃなんない
のに、おまけにコンタクト落とすし、あ~あ、今日は最悪だわ」
 世の中の不幸がすべて自分に来たかのように、わめいてる。
「こんどから、コンタクトするときはテーブルの上で鏡持ってきてやれよ。落
としてもすぐ見つけられるように」
 そこで私が怒ると、女房はどうなるか分からないから、おだやかにいって、
私も床を探した。しかし、ない。
 また、お金がかかる。………。
「あった。こんなところにあった」
 女房の明るい声が、私の頭の上から聞こえた。
「こんなところにくっついてた。今日はいい日だわ」
 かってにしろ。
 コンタクトレンズは、冷蔵庫のドアの中ほどに張り付いていた。

                               九想

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