今朝のラジオ文芸館(NHK第1 8:05~8:45)は、小川洋子の「イービーのかなわぬ望み」という作品でした。
小川洋子の小説は、「博士の愛した数式」と、あといくつかの短編しか読んでない。
イービーとは、「EB」で、エレベーターボーイのことらしい。
その男の子のことは、誰もがイービーと呼ぶ。
本名を知っているひとはいない。
ある妊娠した女が、その中華料理店の料理が食べたくてやってきた。
ところが店のエレベーターの中で産気づき、子どもを産んでしまった。
子どもを産んだあと、女は消えた。
その子のことは、その子を取り上げたおばさんが育てた。
そのおばさんも、イービーが(たしか)9歳のときに死んでしまう。
それからもイービーは、そのエレベーターで暮らしていく。
イービーはエレベーターの一部だし、エレベーターは、イービーの一部だ。
一般社会から目を閉ざして、ただエレベーターの中で成長していくイービー。
そのイービーへ恋心を抱くウエイトレスがいた。
2人の気持ちが通じ合うようなった時、中華料理店が取り壊されることになる。
エレベーターでしか生きられないイービーは、どんな運命を迎えるのか…。
不思議な小説だった。