浅草のおんな

2019年02月13日 | 健康・病気

「浅草のおんな」(伊集院静著 文春文庫)を本日読了。
こういうのは連作短編集というのですね。
下記の短編小説ありました。

浅草暮色
橋の夕暮れ
花火のあとで
暮鐘
無言詣り
弁天の鼠
浅草のおんな

小料理屋「志万田」の女将志万(しま)は天草出身、
相撲取りになった幼馴染みの雅美のあとを追って天草を出る。
弱かった雅美を志万は励まし応援した。
だんだん強くなり横綱にまでなった雅美は志万ではなく、親方の娘と結婚した。
>  巡業に出かける前夜、雅美が逢いに来た。志万を見る目が以前の雅美の目と違っていた。
> それでも志万は雅美にしがみついた。三年の間に身体が覚えた快楽に志万は逆上した。
志万は、台所から持ち出した庖丁を手に、鼾をかいて寝ている雅美を睨みつけた。
それ以上は身体は動かなかった。
> 志万は仕事を休み、夜の浅草の街をさまよった。この街の違う顔を見た。そんな時、店に
> 出入りしていたやさ男が声をかけてきた。つまらない男とわかっていたがやさしくされる
> と、気持ちが動いた。
> 一ヶ月余り男が入り浸り、姿を消すと、通帳と判子が失せていた。雅美と所帯を持つ日の
> ために貯えていた金だった。必死に男を探したがどこにもいなかった。三ヶ月が過ぎ、妊
> 娠しているのがわかった。
> 或る夜、死んでしまおうと川にむかって歩き出した。
そのとき声をかけてくれたひとがいた。
それが大江留次だった。
生まれてきた赤ん坊に留次は名前をつけてくれた。
志万は、留次の女になった。
留次には正妻がいる。
留次の支えで小料理屋「志万田」を始める。
ここまでが「浅草暮色」で、
この「浅草のおんな」は、留次の亡くなってからのことが書いてある。

このヒロインの志万も魅力的ですが、
自殺するのを救われて志万田で働くようになった美智江、
志万に惚れていて一緒に暮らしたいと考えている三代目と甲子、
カッチャン、宇都宮の親方、志万の娘の志津子。
みんな素敵な脇役です。
この小説は、これまで読んだ伊集院静の中で一番でした。

コメント
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