石田衣良の小説を久しぶりに読んだ。
「美丘(ミオカ)」(角川文庫)というものです。
2006年に単行本として出版された小説です。
私は古さを感じないで読みました。
青山通り沿いにある私立大学の2年生の5人のグループ、
太一、洋次、邦彦、麻理、直美に新しい仲間美丘が入る。
年明けになぜか麻理から太一はマフラーをプレゼントされる。
太一は麻理の視線を感じるようになる。
太一はマフラーのお返しに何かプレゼントしたいと考える。
何を買ったらいいか分からない。
美丘がその買い物を手伝おう、とついてくる。
太一は、美丘が選んでくれたネックレスを麻理に贈り、2人は付き合い始める。
しかし、太一は美しい麻理と一緒にいても楽しくない。
そのうち太一は美丘といるときにときめくようになる。
そして太一は、麻理を裏切ることとなる。
麻理と別れて美丘と付き合う。
7月15日、大学の前期試験の最終日、渋谷スペイン坂のイタリアンで食事をし、
道玄坂の天辺近くに建つリゾートのようなホテルに入った。
2人の初めての体験が終わってから美丘が太一に話す。
美丘が幼稚園のときに交通事故に遭う。
美丘の頭の骨は、陥没して割れてしまった。
脳と頭蓋骨のあいだには硬膜という硬い膜があって、その部分も裂けてしまった。
そのころ硬膜をつなぐには、手術で人の硬膜を移植するしかなかった。
美丘に移植されたのは、ドイツから輸入された乾燥硬膜だった。
そのときに一緒に病気も移植されてしまった。
それはクロイツフェルト=ヤコブ病だった。
一度発症したら、3ヶ月ぐらいで脳がスポンジみたいに空っぽになって死んでしまう。
つらい小説でした。
読み進んでいくうちに何度か私の目に涙が流れた。
私が本を読んで、こんな状態になったのは何十年ぶりです。