今日、女房の一番好きなものが分かりました。
それは干し芋です。
いや、これまでにもいろいろ彼女の好きな食べ物はありました。
アイスクリームは大好きです。
煎餅やクッキーやチョコレートのお菓子なども好きです。
一昨日の土曜日、スーパーで安いサツマイモを買ってきた。
袋には4・5本入っていた。
なんの気まぐれかあの人は、それで干し芋を作った。
サツマイモをふかして薄く切って干すだけですが、
その干している芋を食べてしまうと言う。
なので干し芋にならない、と私にブツクサブツクサ。
「誰が悪いんだァ~」とおれが訊くと、「ワタシ」と答える。
昨日も2本ほどふかして干し芋を作ろうとしたが、
「誰かが食べてしまうので、少ししか残っていない」と嘆く。
おれが生まれた茨城では、カンソイモ(乾燥芋)と言っていた。
おれが子どもの頃、お袋がたまに作ってくれた。
その頃どこの家も貧しくて小学生の小遣いは1日10円だった。
10円だとろくなお菓子は買えなかった。
なのでおれたちは、ベーゴマやビー玉やかくれんぼをしているときに、
柿・栗・ふかし芋などを食べていた。
干していた落花生を生のまま食べていたやつもいた。
父と一緒に百姓をやっていて忙しい母は、なかなかカンソイモを作る時間がなかった。
それでもたまに作ってくれた。
あのカンソイモの甘さが忘れられない。
女房は今日仕事から帰ってきてからも、干し芋を作ったという。
それでも食べてしまうので、干し芋にならないとおれに怒る。
おれに怒ってもしかたないだろう。
作って1日もしないうちに食べてしまっては、干し芋は完成しないだろう。
まだ女房は、干し芋のほんとうの甘さを知らない。