自転車のサドルの上で・・・

サドルの上での気ままなひとりごと

最後の国民作家 宮崎駿

2008-12-25 | Weblog
 77年生まれだから、31歳か。慶応の助教の酒井氏が書いた本。作者は「もの、仕事、風景」が均質化する時代に、それらをちゃんと生命を吹き込んで描いていることが、宮崎が「最後の」国民的作家としている、と解く。
 少し観念的なきらいを感じて、斜め読み。所要30分。文春新書。
 宮崎の作品制作過程のエピソードには知らないこともあり、そういう点は面白く読んだ。
 「トトロ」のあのサツキとメイの家は、裏想定では以前結核患者が療養のため住んでいて、日当たりの良いテラスなどはそのためである設定、また、カン太が「お化け屋敷」と言ったのはその患者が亡くなったことも意味している。また、カン太のおばあさんは、その患者の面倒見、お手伝いをやっていて、農家の人にしては歯切れが良い物言いをする・・・など。宮崎はそういう表にでない設定をして作っていたということ(宮崎の母親も30年初頭まで結核を患っていた。また、この家の和洋折衷のモデルは宮崎がS25から住んでいた家という)。
 自分が気が付いていることは昭和20年代末から30年代初期を想定しているこの物語で年代がわかるものとして、メイがサツキの学校へやってくる場面で、教室の黒板に6月23日(水)と書いてあることだ。これは昭和29年である(31年と勘違いしてた)。4秒ほどしかでないので、よく観ないと気づかない。
 まぁどうでも良いことではある。
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