そもそも論者の放言

ミもフタもない世間話とメモランダム

お手盛り情報番組の悪質性

2007-05-21 23:00:04 | Entertainment
今朝の芸能ニュースでは、カンヌ映画祭の話題が大きく取り上げられていた。
松本人志の初監督作と北野武の短編が招待上映されたとのニュース。

松ちゃん「大日本人」カンヌに800人来場(日刊スポーツ) - goo ニュース
北野監督の初短編映画カンヌで大ウケ(日刊スポーツ) - goo ニュース

ところが、我が家で毎朝時計がわりにつけているフジテレビ「めざましテレビ」の芸能コーナーで、上の二人の話題に先んじて大きくトップ扱いされていたのが次の話題。

キムタクと香取がカンヌで主演作PR(日刊スポーツ) - goo ニュース

二人が主演しPRしている「HERO」「西遊記」はフジテレビのドラマの映画化。
「めざましテレビ」は自社がかかわっている映画の話題を何よりも優先して取り上げた、ということ。

この話題がテレビで流れ始めたとき、なんで木村拓哉や香取慎吾がカンヌにいるのか、「HERO」や「西遊記」とカンヌ映画祭になんの関係があるのかサッパリわからなかったんだけど、この記事をよく読むと、要するに、呼ばれたわけでもないのに勝手にカンヌまで押しかけて行って、勝手に金遣ってプロモーションしたってことね。
なんというか、恥知らずというか。。

さらにフジテレビが悪質なのは、この話題を松っちゃんやたけしの映画の話題と一体化して流す(しかもより大きい扱いで)ことで、あたかも「HERO」や「西遊記」がカンヌで上映されたかのような誤解を視聴者に与える目論見がミエミエだということ。
いやホント、興行収入を増やすためには手段を選ばない、という感じですな。

もちろん、この話題にもニュースバリューがまったく無いとは言いませんよ。
でもね、ちょっとやりすぎじゃないかい?
「めざましテレビ」の芸能コーナーって、この手の番宣ばっかりなので好きじゃない(ついでに、それをしたり顔で伝える軽部というアナウンサーが大嫌い)んだけど、他局も同じ穴のムジナだからなぁ。
コドモが起きてる日は、即NHK教育にチャンネル変えてしまいます。

映画やスポーツイベントなどとテレビ局、芸能プロダクションがタイアップして、潜在的な話題性を何十倍、何百倍にも水増しして金儲けする、というビジネスモデルはすっかり定着している。
が、少なくともテレビ局が情報番組やバラエティ番組の枠の中で、お手盛りのタイアップ宣伝を行なうのは、経済活動における公正競争に反していると思う。
通常の「広告枠」を使って宣伝するのであれば、その分他のスポンサーの宣伝を流せなくなるので機会費用が発生することになるけど、番組内で宣伝すればコストは全くかからず(むしろ通常の番組制作費が浮く)それでいて絶大な効果を得られるというのだから、これはもう公共の電波を独占していることに乗じた「濫用」に当たると言っていいのではないか。
百歩譲って、番組内での宣伝を許容するにしても、その場合は「これは宣伝です」とはっきりと断った上でやるべきだと思う。
新聞や雑誌だと、記事体風の広告ページには明確に「広告」との掲示がしてある。
情報番組の中で、お手盛りの宣伝を、客観的なニュースバリューが存在するかのような顔をして流すのは、はっきり言って視聴者に対する「騙し」じゃないだろうか。
コメント (2)
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「眉山」 さだまさし

2007-05-21 00:02:34 | Books
眉山 (幻冬舎文庫 さ 8-4)
さだ まさし
幻冬舎

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短時間ですらすらと軽く読めそうな小説が読みたい気分だったので、映画化されて現在上映中の「眉山」原作を買ってみた。
軽く読めたという点では期待どおり。
テーマ的には軽いというわけでもないんだけど。

阿波踊りという一大イベントに対する地元の人たちのひとかたならぬ想いが、よく描かれていた。
主人公の女性は、どちからというと控えめでおとなしいタイプなんだけど、子供のころから身体の芯まで阿波踊りが染みついており、囃子が聞こえるだけで自然と体が熱くなり、つい腰が浮いてしまうと言う。
そういう感覚って、本当に伝統のある地元の祭りを体験している人たちには共通して存在するものなんじゃないか、という気がする(阿波踊りほどメジャーなものでなくても)。
うちのヨメの家族なんかもまさにそんな感じで、年に一度の夏祭りのために生きてるんじゃないか、という気すらするのだ。
東京の住宅街育ちで、祭りといえば団地の盆踊りくらいしかなかった自分には存在しない感覚。
そういうのがとても上手に描かれていて、その上でクライマックスに登場する阿波踊り本番の場面はなかなかの情感を生み出す。

一方で、主人公の母親である「神田のお龍」さんの生涯にまつわるドラマの部分には、いまいちノレなかった。
「神田のお龍」さんはたいそう魅力のある女性として描かれているのだが、その魅力がすべて、登場人物による、ひいては作者による言葉で”説明されている”ような印象を受ける。
どうも血が通っていない感じがするのだ。

話のキーポイントとなる「献体」についても、その真相を含めてやや説明的に過ぎるような気がするし、サイドストーリーである主人公と医師の関係もややベタ。
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