暗流―米中日外交三国志秋田 浩之日本経済新聞出版社このアイテムの詳細を見る |
20世紀の覇権国家アメリカ、21世紀に入って急速に大国化する中国、二つの大国の狭間で翻弄される日本。
日経新聞の現役編集委員である筆者が、東アジアにおけるパワーポリティクスの過去・現在・未来を、米中日の要人のオフレコ・インタビューも交えながら骨太に語り切った一冊。
これは本当に面白かった。
300ページ近い大部ですが、一気に読んでしまった感じです。
ここで論じられているのは、筆者も書いている通り、感情的な反中・親中、反米・親米といった切り口ではなく、冷徹で冷酷な国際政治の現実。
経済的にも軍事的にもますます力をつけていく中国の台頭により、資源を持たず牙を抜かれた平和国家・日本のかじ取りは難しくなっていくばかり。
無謀な戦争に突入し、国際政治の無残な”敗者”となってしまった過去の過ちを再び繰り返してしまう危険が、実はそこかしこに転がっていることを実感させられます。
最も印象に残ったのは、元ブッシュ政権高官が語ったという次の一言。
「日本が長期的な対中戦略をきちんと説明し、米国に何をしてほしいのかを明確に伝えれば、米国はかなり応じられるはずだ。だが、日本側からはあまり満足のいく説明がない。」
長期的な対中戦略…
そんなことを考えている人物が、果たして日本に存在するんだろうか?