ザ・プラットフォーム―IT企業はなぜ世界を変えるのか? (NHK出版新書 463) | |
尾原 和啓 | |
NHK出版 |
Kindle版にて読了。
著者の言葉を借りると、プラットフォームとは以下のように定義される。
個人や企業などのプレイヤ ーが参加することではじめて価値を持ち、また参加者が増えれば増えるほど価値が増幅する、主にIT企業が展開するインタ ーネットサ ービスを指します。少し専門的に言い換えれば、ある財やサ ービスの利用者が増加すると、その利便性や効用が増加する「ネットワ ーク外部性」がはたらくインターネットサービスです。
iモ ード事業立ち上げ支援、リクル ート、Google、楽天などの新規事業企画などに携わってきたという”華麗なる”経歴を誇る著者(年齢は自分と2歳しか違わないが)。
本書の前半では、世界を牛耳るプラットフォーム企業である、Google、Apple、Facebookの目指す「共有価値観」について解説されるが、より強く関心を惹かれたのは「日本型プラットフォーム」についてのほう。
例えば、リクルートの「配電盤モデル」。
「ゼクシィ」に代表されるように、企業(B)と顧客(C)の両方をバランスよく増やしていくループを基本に、「幅」と「質」のループを加えていく。
また、爆発的普及期のiモードが参加企業側のアシストをした「健全な保護主義」。
新機能を使ったサ ービスの市場が形成されるまで、リスクをとってサービスを開発してくれたコンテンツプロバイダーを優遇する(保護する)施策をとっていた。
いずれも、企業側(B)の支援に強いという日本型プラットフォームの特徴をよく示す事例。
別の観点では、一大ブームとなった初期のミクシィのラダー設計。
ラダ ーとは「はしご」。
ミクシィというサ ービスを使うにあたり、ユーザーがはしごをのぼるように、最初は気軽に行えることからはじめてもらい、徐々にプラットフォーム運営者が望む行動をしてもらうように自然に誘うこと。
このラダー設計がよくできていた。
…といったあたりはプラットフォームを成功させるためのポイントをよく捉えていると思う。
個人的に、プラットフォーム・ビジネスには馴染み深いので、新たな知見を得られたというほどでもないのだが、プラットフォームのポジションを得たプレーヤーこそが強い、というのって案外世の中でちゃんと理解されていないのだよな。
世間を揺るがしているポケモンGO、はたしてプラットフォームとなり得るかどうか。。