スピーチの奥義 (光文社新書) | |
寺澤芳男 | |
光文社 |
著者は、野村証券の副社長からMIGAという国際機関の初代長官に転身し、その後日本新党から参議院選に出馬・当選、短命に終わった羽田内閣で経済企画庁長官を務めたという経歴の持ち主。
日経新聞の「私の履歴書」の執筆者としても割と最近登場されたような記憶があります。
仕事柄”スピーチの現場”に立つことが多かった著者がスピーチに当たっての心構えやテクニックをまとめた一冊。
ノウハウ本として読んでみましたが、前半はなるほどと思わされるところも多々あったものの、後半になるにつれ単なるエッセイになっていくきらいはあり。
本著内でアドヴァイスされているように、スピーチと同様、ノウハウ伝授もポイントを絞ってコンパクトに短くまとめるのに越したことは無いのかもしれません。
・実は聞くほうも緊張している。
・自分の話など「期待されていない」と開き直れ。
・自分が言いたいことより相手が聞きたいことを話す。
といったあたりはコミュニケーションの基本として肝に銘じるべき話ですね。
実践的なテクニックとして印象に残ったものをメモしておくと…
・自己紹介は単なる実績の羅列ではダメ。聴衆が聞きたいのはそれがいかにして成し遂げられてきたのか(挫折や苦労話、チャンスの捉え方)。
・スピーチの入り方として、聴衆が「えっ何の話?」と思うような意外性のある言葉をぶつける。
・話をわかりやすくするのに「たとえ話」ほど便利な手段は無い。
・大勢の聴衆を相手に喋る場合は目を向ける場所を三か所だけ決めておく。
・聴衆に質問するのは、聞く側を緊張させるだけなのでやめておいたほうがよい。
・最後はヨイショで締める。
など。
後は「名言をテイクノートしておく」というのも重要ですね。
上述の「たとえ話」もそうだけど、オリジナルだけで勝負するのにも限界があるので、うまく「パクる」のが効果的。
そのためには普段からの心がけが必要だな、と。