映画やドラマで取り上げられた、義理人情に厚い魚屋の「一心太助」をご存知の方が多いと思います。
彼は「粋」で「いなせ」な江戸っ子の典型として描かれており、大久保彦左衛門のもとで活躍します。
映画では、東映のハンサムスターの中村錦之助(後の萬屋錦之助)が見事に演じていましたが、今日はその「粋」で「いなせ」の語源について調べました。
「いなせ」とは【威勢がよくさっぱりとしたきっぷ】のことで、特に【勇み肌の若者】のことを言います。
「鯔背」の「鯔(イナ)」は魚のボラの幼魚のことで、この鯔の背びれが日本橋・魚河岸の若者が結った髷(まげ)に似ていたために、その威勢のいい若者のきっぷを『いなせ』と呼んだということです。
一方の『粋』は、元々は「意気」と書き【心ばえ、気合い】などを言いましたが、様々な意味を持つようになって精神だけでなく衣装風俗にも使われるようになりました。
そして、最初は男性に対して多く使いましたが、江戸後期になると主に女性に対して使われ、一種の美的理念を表すことばとして定着したようです。
この『粋』は、広辞苑には、「気持ち身なりのさっぱりとあかぬけしていて、しかも色気を持っていること」と説明しています。
江戸後期に〔いきな深川いなせな神田〕と小唄に歌われたそうですが、深川の辰巳芸者は、冬でも裸足に下駄で、男まさりで羽織をまとい、そのきっぷのよさが粋の代表とされていたそうです。