赤松小三郎の憲法構想は、天皇に議会の解散権も拒否権も与えられていないという点で、私擬憲法の中で最も民主的とされる植木枝盛の憲法構想よりも、さらに議会の権限が強い民主的内容になっている。基本的人権や言論、集会、結社の自由など国民の権利規定に関しては、さすがに五日市憲法や植木枝盛の憲法案が詳細である。赤松小三郎は国民の権利に関してはあまり多くを述べていない。しかし赤松建白書の第三条には「国中之人民平等に御撫育相成、人々其性に準じ充分を尽させ候事」とある。これは簡潔な文章の中にも、すべての国民が法の下に平等であること、職業選択の自由があり、個々人の好みと能力に応じてそれぞれ自己実現する権利があることを高らかに謳い上げているのである。 . . . 本文を読む