私は下からの民定憲法であれば改憲を否定しない。企業・団体が献金を通じて政治をコントロールしようとするのを排除すること、政策を決定するのに責任を持つ人々が企業・団体からカネをもらうという利益相反行為を禁止すること、これらは憲法に盛り込まれるべき規定だと思う。企業と官僚と政治家と学者の不適切な利益相反関係、いまやそれこそが日本の最大の問題だからである。
グローバル大企業による国家のコントロールを可能にしている「新自由主義」そのものを憲法で「廃棄する」と宣言している国があるのをご存じであろうか? 2009年に制定されたボリビア憲法は「我々は新自由主義国家を廃棄する(we have left the neo-liberal State in the past)」と憲法の前文で謳っている。さらに、人間が生きるために欠かすことのできない、水、教育、医療、住宅(=宇沢先生の言う社会的共通資本)は全ての人々がアクセス可能となるよう共同で管理すると謳っている。
生きるために必要な生活必需的な財とサービスにはすべての人民がアクセス可能となるよう共同で管理するという宣言は、万物に私的所有権を与えて市場機構を通じて配分すべきだという市場原理主義の思想への明確な拒絶宣言である。 . . . 本文を読む