代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

TPPは自由貿易ではない、貿易強制である

2012年12月14日 | Stop! TPP
 日本ではいまだにTPPを自由貿易協定の一種であると考えている人々は多い。TPPは自由貿易協定ではない。貿易強制協定である。USTR(米国通商代表部)に群がる利権ロビイストたちが、日本の規則を、米国のロビイストの都合に合致するように強制的に改変するという、「自由」とは対極的な強制協定である。
 オバマ自身がそう言っているのだから明らかだ。何故か、オバマが国内向けにアピールしている「Trade Enforcement 貿易強制」という概念が日本では全く広まっていない。実際「貿易強制」という概念を検索しても出てこない。そこで拙ブログでも若干の解説をしたい。
 
 以下は、本年の1月25日に発表したオバマの政権構想「ブループリント」の一節である。下記サイトから一部引用する。

http://www.whitehouse.gov/blog/2012/01/25/everything-you-need-know-about-presidents-blueprint-manufacturing?tw_p=twt



<引用開始>

Trade Enforcement
貿易強制

President Obama has no intention of standing by while our foreign competitors refuse to play by the same rules as the United States.
(訳:オバマ大統領は、外国の競争相手が合州国と同じルールを受け入れることを拒否する場合、その国を容赦するつもりはない)

To ramp up those efforts, the President announced a plan to create a Trade Enforcement Unit that will investigate trading practices in countries that attempt to circumvent international law.
(訳:そうした努力の効果をあげるために、大統領は「貿易強制部」を創設する計画を発表した。それは国際法の裏をかこうとする国々の貿易慣行を調査することを目的とするものだ)

He also called on Congress to do more to help American companies access financing and explore new markets.
(訳:大統領はまた、新しい市場を開拓し、資金を調達しやすくなるような支援を行うよう下院に要請した)

<引用終わり>


 日本に「強制」する項目はすでにリストアップされている。米国大使館は「日米経済調査対話」の中で、そのリストの一部を昨年来、公表している。下記サイト参照。

http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html

 医薬品、保険、農薬、食品添加物、そして遺伝子組換作物・・・・・。TPPに参加すれば、国民の生命と安全を守るために日本が独自に立法したルールの数々は、アメリカの都合に合致するよう強制的に改変されていく。これが「貿易強制」の意味だ。TPPが「主権放棄協定」といえる所以である。
 


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
流行らせましょう (たんさいぼう影の会長)
2012-12-31 16:46:29
「貿易強制」という訳語、流行らせましょう。アメリカの目論見を端的に表していると思いますので。
返信する
あけましておめでとうございます ()
2013-01-04 12:30:03
 オバマがはっきりと「貿易強制」言っているのに、日本マスコミは全く報道しませんね。不都合な真実は隠そうといことでしょうか? ぜひ流行らせるため拡散お願いいたします。
返信する
自由貿易には理論的根拠はない (水鏡仁(酔狂人あらため))
2013-01-09 10:01:56
あけましておめでとうございます。
自由貿易にもTPPにも、とどめを刺させそうなエントリが書けましたので、ご紹介します。
返信する
Re: 自由貿易には理論的根拠はない (水鏡仁(酔狂人あらため))
2013-01-09 13:36:50
すみません、肝心のURLが抜けていました。
http://d.hatena.ne.jp/suikyojin/20130109/p1
返信する
水鏡仁さま ()
2013-01-11 08:20:56
 ご無沙汰しております。リカード批判のエントリの紹介ありがとうございました。リカード理論が前提にしている属人的な生産性の差異を無視しているという論点、私も全く同意いたします。
 追って、私もリカード批判のエントリをアップしたいと思っております。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。