前のエントリーの続きです。今月開かれた非同盟運動首脳会議の成果はいくつもありますが、インドのシン首相とパキスタンのムシャラフ大統領がキューバの仲介で会談し、和平プロセス再開の合意に達したなんていうのは画期的なことだと思います。この記事。日本のマスコミはなぜかほとんど報道していませんでしたが・・・。もし、この和平プロセスを仲介したのが米国であったら、一面トップの扱いだったことでしょう。しかし現実は、この和平を仲介したのは、米国の「宿敵」のキューバなのです。これはじつに意義深いことだといえるでしょう。世界は確実に米国を必要としなくなっており、南側諸国は、米国抜きの新しい国際秩序の構築の段階へと至っているわけです。
それにしても、カリブの小国キューバの、この国際政治上の「パワー」の源はどこにあるのでしょうか。キューバにあるのは、米国の政治学者のジョセフ・ナイが、「米国が失った」と嘆くところの「ソフト・パワー」でしょう。ナイの定義によれば、ソフト・パワーとは「国際関係において、自国の魅力によって他国を味方につける力」です。
キューバは、現在、途上国を中心とした66カ国に合計2万3413人の医師や医療技術者を派遣し、キューバの先進的な医療技術を海外に伝えています。またカリブ医学学校を開設し、医者を目指しながら貧しくて進学できないという海外の医学生を全額の奨学金によって受け入れ、医者になって巣立っています。キューバ大使館のこの記事参照。貧しいキューバが、本当の意味で「顔の見える」人道的なODA、模範的な南南協力を展開しており、そうした活動が南側諸国の尊敬を集め、キューバのソフト・パワーの源泉になっているといえるでしょう。
5月のジャワ島大震災の後には、キューバはインドネシアにすぐに135人の医師を派遣し、最近、ユドヨノ大統領はキューバの医師たちを前に、「あなたたちの英雄的な偉業は決して忘れられないでしょう」と、最大級の感謝の言葉を述べたそうです。『グランマ』のこの記事。昨年のパキスタン地震の後は、キューバは2000人も派遣したそうです。
キューバは、医療以外にも、教育、自然エネルギー、有機農業などの多方面において実際に先進的な国です。この本とこの本を推薦。
下の表は雑誌のThe Ecologist の2005年6月号の記事に載っていたものです。なかなか興味深い表ですので引用させていただきます。
キューバと米国の医療比較
米国 キューバ
---------------------------
・人口 2.9億人 0.11億
・GDP/人 3.6万ドル 0.29万ドル(米国の8%)
・乳幼児死亡率
(千人当たり) 6.5人 6.3人
・平均寿命(歳) 77.43歳 77.04歳
・医者/患者比率 1/350 1/170
・百万人当たりの
AIDS患者数 241.2人 7.3人
・一歳児の予防接種率 95% 100%
・人口千人当たり
自動車数 815台 23台
----------------------------
乳幼児死亡率はキューバの方が低く、平均寿命も米国にほぼ等しい・・・。
『エコロジスト』の記事では、「キューバは予防医療の領域において世界最先端にある」と強調していました。そして途上国が医療サービス水準を向上させたければ、「答えはカストロに聞け」とも。
米国は、さまざまな病気の原因物質の拡散を得意の規制緩和で放置しながら、世界でもっとも高い医療費を、主として医療産業(株式会社化された病院)と製薬会社を儲けさせるために投入しています。それでも米国は自国民に対し、10分の1以下の一人当たりGDPしか持たないキューバ以下の健康状態しか提供できていないのです。貧しい途上国が自国の医療水準を向上させるために、市場原理主義に立脚したアメリカ医療の失敗にではなく、予防を最重視するキューバ医療の成功に学ぼうとするのは当然のように思えます。
いまフィデル・カストロは病床にありますが、米国と闘い続けた自分の人生の終わり近くなって、非同盟諸国のリーダーとして帝国をここまで追い詰めていることに充足感を覚えているのではないでしょうか。あと一息です。ぜひカストロには生きて米帝国の覇権の終焉を目撃してもらいたい。そして、あの世のゲバラに「ついにやったぞ」と報告して欲しい。それが十分に可能なほど、「その時」は近いように思えます。
それにしても、カリブの小国キューバの、この国際政治上の「パワー」の源はどこにあるのでしょうか。キューバにあるのは、米国の政治学者のジョセフ・ナイが、「米国が失った」と嘆くところの「ソフト・パワー」でしょう。ナイの定義によれば、ソフト・パワーとは「国際関係において、自国の魅力によって他国を味方につける力」です。
キューバは、現在、途上国を中心とした66カ国に合計2万3413人の医師や医療技術者を派遣し、キューバの先進的な医療技術を海外に伝えています。またカリブ医学学校を開設し、医者を目指しながら貧しくて進学できないという海外の医学生を全額の奨学金によって受け入れ、医者になって巣立っています。キューバ大使館のこの記事参照。貧しいキューバが、本当の意味で「顔の見える」人道的なODA、模範的な南南協力を展開しており、そうした活動が南側諸国の尊敬を集め、キューバのソフト・パワーの源泉になっているといえるでしょう。
5月のジャワ島大震災の後には、キューバはインドネシアにすぐに135人の医師を派遣し、最近、ユドヨノ大統領はキューバの医師たちを前に、「あなたたちの英雄的な偉業は決して忘れられないでしょう」と、最大級の感謝の言葉を述べたそうです。『グランマ』のこの記事。昨年のパキスタン地震の後は、キューバは2000人も派遣したそうです。
キューバは、医療以外にも、教育、自然エネルギー、有機農業などの多方面において実際に先進的な国です。この本とこの本を推薦。
下の表は雑誌のThe Ecologist の2005年6月号の記事に載っていたものです。なかなか興味深い表ですので引用させていただきます。
キューバと米国の医療比較
米国 キューバ
---------------------------
・人口 2.9億人 0.11億
・GDP/人 3.6万ドル 0.29万ドル(米国の8%)
・乳幼児死亡率
(千人当たり) 6.5人 6.3人
・平均寿命(歳) 77.43歳 77.04歳
・医者/患者比率 1/350 1/170
・百万人当たりの
AIDS患者数 241.2人 7.3人
・一歳児の予防接種率 95% 100%
・人口千人当たり
自動車数 815台 23台
----------------------------
乳幼児死亡率はキューバの方が低く、平均寿命も米国にほぼ等しい・・・。
『エコロジスト』の記事では、「キューバは予防医療の領域において世界最先端にある」と強調していました。そして途上国が医療サービス水準を向上させたければ、「答えはカストロに聞け」とも。
米国は、さまざまな病気の原因物質の拡散を得意の規制緩和で放置しながら、世界でもっとも高い医療費を、主として医療産業(株式会社化された病院)と製薬会社を儲けさせるために投入しています。それでも米国は自国民に対し、10分の1以下の一人当たりGDPしか持たないキューバ以下の健康状態しか提供できていないのです。貧しい途上国が自国の医療水準を向上させるために、市場原理主義に立脚したアメリカ医療の失敗にではなく、予防を最重視するキューバ医療の成功に学ぼうとするのは当然のように思えます。
いまフィデル・カストロは病床にありますが、米国と闘い続けた自分の人生の終わり近くなって、非同盟諸国のリーダーとして帝国をここまで追い詰めていることに充足感を覚えているのではないでしょうか。あと一息です。ぜひカストロには生きて米帝国の覇権の終焉を目撃してもらいたい。そして、あの世のゲバラに「ついにやったぞ」と報告して欲しい。それが十分に可能なほど、「その時」は近いように思えます。
ん!の方にTBをありがとうごさいました。
>世界は確実に米国を必要としなくなっており、南側諸国は、米国抜きの新しい国際秩序の構築の段階へと至っているわけです。
うーむ、要チェックですねー。
ピークオイル論についてもそのうちコメントをよろしくお願いします。
ではでは。
何と「ん!」のブログは小倉さんのだったのですか。気づかずに読んでいました。今後とも拝読させていただきます。
どうやったら,キューバに国際的影響力があると解釈できるのか理解できません.
まずもって,インド・パキスタンの和平ロードマップは両国の核実験以降に急激に進んだものです.
理由は簡単で,両国に"核抑止力"が働いた故の結果です.具体的な時期を言えば,現首相のムシャラフが軍事クーデターを起こした99年から既に始まっているわけで,今回タマタマ,ホスト国であったキューバの名前が出てきただけです.
まさか,"友情"や"信条"が和平を実現したと思っているわけではありませんよね?国際社会で信頼を勝ち取る事が出来るパワーは"実利"のみです.
確かに,キューバは他国に医療支援を行なっていますよ.しかし,キューバだけがやっているわけではありません,他国も同様に行なっています.
ジャワ島沖地震,パキスタン大地震等も同様です.あたかもキューバのみが特別のように扱うのはフェアでは無いですね.アメリカ・日本・韓国・中国・その他たくさんの国は無視ですか?
都合の良い事例のみで語るのは詭弁の一種ですよ?
ついでに言えば「非同盟国=非アメリカ」と考えるのは短絡的です.世界はそこまで分りやすく出来ていません.特に,市場経済がここまで以上発達した状況では,厳密な意味での反米国はごくごくわずかです.
ベネズエラですら,石油輸出の半分近くがアメリカ向けですし.南米諸国においても経済的な結びつきが非常に深い.その辺の結びつきの深さが前提の上で,「どの程度の関税緩和を行なうか?」で揉めているのが現状です.
>どうやったら,キューバに国際的影響力があると解
>釈できるのか理解できません.
どうやったら、非同盟諸国会議の議長国に「国際的影響力がない」と解釈できるのか理解できません。
>理由は簡単で,両国に\"核抑止力\"が働いた故の結果
>です.
賛同できない見解です。
ムシャラフが「これ以上米国に追従できない」と従米路線に見切りをつけ、インドとの和平に踏み切ったのです。ムシャラフが親米路線を貫く気持ちなのであれば、よりによって最も米国を刺激するであろうキューバを仲介国に選ぶわけがございません。
↓この記事読みましたか?
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20060922k0000e030073000c.html
<引用開始>パキスタンのムシャラフ大統領が米CBSテレビに対し、01年9月の米同時多発テロ直後、対テロ戦争に協力しなければパキスタンを空爆するとアーミテージ米国務副長官(当時)が脅していたと語った。アーミテージ氏は「空爆で石器時代に戻る覚悟をしろ」などと「極めて無礼な調子」(ムシャラフ氏)で協力を迫ったという。放映に先立ち、CBS電子版が21日報じた。<引用終わり>
↓さらに米国がパキスタンへの派兵を考えているというこの記事をお読みください。
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200609210005.html
米国は無理難題をふっかけてパキスタンに派兵しようとして、ムシャラフを窮地に追い込んでいます。パキスタン派兵は、イランを挑発するためでしょう。都合の良いときだけ、ビン・ラディンの亡霊に利用価値があるわけです。ムシャラフが言うことを聞かなければ、まさに空爆でもしそうな勢いです。
「石器時代に戻る覚悟をしろ」なんて外道な発言をする国家が尊敬されると思いますか? 彼らは国際マフィアそのものです。
ムシャラフは、米国から加えられるこれ以上の屈辱に耐えられず、従米路線を捨てる決意をして、アーミテージの「非道」を告発したのです。
チャベスの発言は、これまでムシャラフが言いたくても言えなかったことを代弁してくれているようなものなのです。
米国はムシャラフ政権を転覆させるかも知れませんが、それは南の諸国のさらなる米国からの離反と結束を生み出すことでしょう。
>キューバは他国に医療支援を行なっていますよ.し
>かし,キューバだけがやっているわけではありませ
>ん,他国も同様に行なっています.
もちろんそうです。でもキューバは自国も貧しいのにやっているのです。しかも顔の見える援助を。
日本はカネとモノは出しますがヒトはあまり・・・。パキスタン地震では、キューバは医師や救助チームを計2000人派遣したそうです。
日本はカネとモノはたくさん出していますが、ヒトとなると、パキスタン震災の際も、救助チーム49名に医療チーム42名なのだそうです。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/keitai/kinkyu/pdfs/aso.pdf
これではキューバの方が「顔が見える」のではないでしょうか。
アメリカに至っては震災を利用したカネ儲けしか考えていませんよ。スマトラ津波の後などまさにそうで、インドネシア政府は心の底で非常に怒っているはずです。
>ついでに言えば「非同盟国=非アメリカ」と考える
>のは短絡的です.
そのお考えこそ短絡的です。世界は臨界状態に近づいています。米国はあまりにも南の人々を殺しすぎましたし、南の人々の生活を破壊しすぎました。もはや彼らは耐えられないのです。
↑このページに昨年のパキスタン地震の後の各国の救援状況が紹介されていました。以下、キューバと米国の援助の項目を抜き出して紹介します。
キューバは2260人の医療技術チーム(その内1400人は医者)をカシミール地域へ派遣したそうです。30以上の野外病院を作って20万人以上の手当てをし、1万2400人に外科手術を施し、死にかけていた数百人の命を救ったとも。野外病院はそのままパキスタン政府に引き渡されました。供与した医薬品は234.5トンとか。当時まだ両国は大使の交換もしていない関係だったのに。
米国ですが、緊急援助が1億5600万ドルです(物資か現金かよく分からない)。他にブラックホークヘリコプターや軍用機がパキスタンに飛んでいったとか、軍事用語ばかり登場します(まるで戦争に行ったみたい)。軍医も派遣されたみたいですが、患者のベット数は100くらいで、手術室は2つ、施した外科手術は46回、非外科の手術は548回とか(あわせてもキューバの手術回数の5%ほどにしかならない)。
うーん、医者重視のキューバと軍隊重視の米国のキャラクターの差が如実に出ていますね。どちらが喜ばれるでしょうか? 詳しくは下記。
*Cuba – President Fidel Castro has offered, in a letter addressed to the President of Pakistan and made public by officials in Havana, to send 200 doctors to Pakistan in order to help treat the victims of the earthquake. Some 2,260 Cuban health brigadistas, more than 1,400 of them doctors, are in the area of Kashmir, where they have attended to more than 200,000 patients and saved hundreds of people in imminent danger of dying. [50] [51] [52]
More than 1,300,442 patients have been assisted (63,0592 women, 48.5%); and more than 12,406 surgical operations have been performed in 30 mobile field hospitals. [53] The fully equipped Cuban Field Hospitals will be handed over to the Pakistani government. [54] The Cuban Government has provided 234.5 tons of medicines and disposable materials, and 275.7 tons of most leading-edge equipment. More than 300 students of medicine have taken courses in the Cuban Field Hospitals. The Cuban Government has decided to offer a wide and free medicine scholarships program for 1,000 young Pakistanis from rural communities. [55]
The first Cuban medical team was in Pakistan on October 14, six days after the earthquake, the fast acceptance of the aid was a surprise due to the close relation of Pakistan and the US; the two countries have not even exchanged Ambassadors at that time. The leading Pakistani newspaper Dawn quoted President Musharraf as saying that "one of the most heart-warming letters of support" following the earthquake was from Fidel Castro. In his letter, Castro said that it was difficult for him to rest when thousands of Pakistanis were spending their days in pain, awaiting surgery. [56]
*USA - The United States has announced that it will provide an initial contribution of USD 156 million (PKR 3 billion) for emergency relief in Pakistan. The U.S. military is also providing supplies and assistance. As of November 3, the U.S. Department of Defense (DOD) has 933 personnel providing relief and reconstruction assistance in support of the Pakistan earthquake relief effort. Five CH-47 Chinook and three UH-60 Black Hawk helicopters are being moved into Pakistan immediately, and a C-17 Globemaster III military aircraft has already been assigned to bring blankets, tents and other relief supplies to the victims. The 212th Mobile Army Surgical Hospital (MASH), established October 25 in Muzaffarabad, currently has 36 Intensive Care Unit beds, 60 intermediate minimal care beds, and two operating rooms. To date the MASH has performed 46 surgeries, and treated 548 non-surgical patients. Furthermore, a 23-member logistical support group is also being dispatched from McGuire Air Force Base in New Jersey. The United States Agency for International Development has provided more than USD $41.8 million for relief work in Pakistan, including nine completed airlifts of relief supplies. The airlifts delivered a total of 45,000 blankets, 1,570 winterized tents, 6,150 rolls of plastic sheeting for approximately 30,750 families, 15,000 water containers, 17 water bladders, 2 water purification units, 10 WHO emergency health kits, and 20 concrete cutting saws. USAID has also committed funds to the UN, other international organizations and NGOs. On Wednesday, November 9, 2005, business leaders from GE, UPS, Pfizer, Xerox, and Citigroup met with President Bush at the White House to announce the launch of the South Asia Earthquake Relief Fund and website. [57] [58] [59] [60]
先週末に関さんあてDMを出したのですが、届いてないでしょうか? 落ちているようでしたら、再送いたします。お手数ですが、お知らせ願います。
キューバのお話、とても面白いですね。
個人的にも是非いってみたい国です。
最初から印パ和平プロセスにアメリカは関わってませんから.
パキスタンとアメリカの関係が接近したのは,対タリバン戦争の2001年に基地提供を行なったのがきっかけです.
一方,印パの和平プロセスが始まったのは,99年に和平推進派のムシャラフ参謀長(当時)が軍事クーデター以降です.無論,この時点でアメリカは核実験を口実に,F-16の売却を停止するなどの制裁措置を取っていました.つまり,アメリカは最初から関わっていないのです.そしてキューバも同様です.キューバが過去に遡る能力があれば別ですけどね(笑).
それにあなたの出した資料(リンク切れ)は,非同盟諸国会議(NAM)でインドとパキスタンの首脳が会談したと言う事実を述べているだけです.それに,このような首脳会議の別席上で,二国間の首脳会議が行なわれるのは当たり前で,特段珍しい事ではありません.あなたの理屈で言えば,ASEANやサミット,NAMといった首脳会議のホスト国は全てアメリカに対抗できる強大な影響力があると言うことですね,一体何十カ国あるのでしょうか(笑).
南米の件についても,何故パキスタンの一件が関連してくるのか根拠が全く不明です.”思う”だけなら誰にでも出来ます.
ついでに言えば,南米とアメリカは自由貿易を推進すると言う点では(ベネズエラを除く)一致しております.意見の違う点は,自由貿易圏構築のプロセスに対しての考え方が異なるだけです.なにせ南米諸国は例外無く,アメリカが重要な主要貿易国ですからね.主要な商売先に無駄なケンカを売ろうとする馬鹿は普通いませんよ.嘘だと思うのであれば外務省のHPでも見てください.
つまり,南米とアメリカの関係は自由貿易圏構築に対して,歩きで行くのか,早歩きで行くのか程度の違いです.
決定的に離反関係にあると言うのであれば,くどいようですけど具体的な根拠を明示してください.思うだけなら誰にでも出来ますよ.
>米国はムシャラフ政権を転覆させるかも知れませんが、それは南の諸国のさらなる米国からの離反と結束を生み出すことでしょう。
>アメリカに至っては震災を利用したカネ儲けしか考えていませんよ。スマトラ津波の後などまさにそうで、インドネシア政府は心の底で非常に怒っているはずです。
>そのお考えこそ短絡的です。世界は臨界状態に近づいています。米国はあまりにも南の人々を殺しすぎましたし、南の人々の生活を破壊しすぎました。もはや彼らは耐えられないのです。
あなたの感想はどうでもいいので,具体的な根拠を明示してください.
>進派のムシャラフ参謀長(当時)が軍事クーデター以
>降です
私が重要だと思うのは、いま何故ムシャラフが和平プロセス再開の決意をしたのかということです。米国がパキスタン派兵をゴリ押ししようとしていることと、非同盟諸国の連帯意識の高まりが関係があると述べているのです。オヴニル1さんの主張だって推論にすぎないのです。今後のムシャラフの行動で明らかになるでしょう。
>南米とアメリカは自由貿易を推進すると言う点では
>(ベネズエラを除く)一致しております.
その輸出先のアメリカが貿易赤字で潰れそうになっているのですよ。いつまでも対米輸出に依存することができないのは、まともな途上国なら皆気づいております。ソフトランディングするために、当面、現行のシステムを全面否定することはできないだけです。
いずれは貿易不均衡を制度的に調整することのできる管理貿易システムを構築せねば世界経済を維持できません。
自由貿易が何故悪いのかに関しては、書き出すとすごく長くなります。私のブログですと以下の記事などで書いています。
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/3d66b1ccfdc734c1f840ff67bd8db86f
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/4bdaea903f7412f0876465cecfd66b10
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/9e18cab12a623bfa89bf15ac9791a796
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/5775422bc3f9ea7279576e09a2b87c18
これを読んで納得できなければ、また反論お願いいたします。
>決定的に離反関係にあると言うのであれば,くどい
>ようですけど具体的な根拠を明示してください.思
>うだけなら誰にでも出来ますよ
「未来はこうあるべきだ」という展望を述べるのに、何で根拠を示す必要があるのですか? 未来が全てを示すのですよ。未来が、私の言ったようになるのか、あなたの言ったようになるのかで決着するのです。まだ発生していない未来の状態を、根拠をもって証明などできるわけがないでしょう。
根拠も何も、「そうすべきだ」と思う人が増えればそうなるし、増えなければそうならないのです。未来とはそういう性質のものなのです。
ちなみに、FTAAの交渉が決裂するであろうことを、あなたは根拠をもって事前に予想できていましたか? マスコミや雑誌などでそれを予想していた論者がいましたか?
私は昨年の3月25日に書いたこのブログの記事で、以下のように書きました。
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/f9aea56ec29356f940dc2873647bb717
「米国としては、まずはチャベスを打倒することにより、選挙による左派政府誕生の連鎖反応が続くのを阻止し、NAFTA(北米自由貿易協定)を、南米を含むFTAA(米州自由貿易協定)へと拡大したいことでしょう。私は、ブラジルが主導するメルコスールを南米共同体へと発展させ、NAFTAに対抗していくべきだと思います。その理由はもちろん市場原理主義が人間を幸せにしないからです。(中略)南米の人々が米国による侵略やクーデターの恐怖から解放され、真に自由で民主的な意思決定をすることが可能になれば、当然、そうした選択をすることでしょう。」
と書きました。私は科学的な根拠をもって未来を予想しながら「FTAA交渉が破綻するであろう」と書いたのではありません。「人間の幸せのために南米の人々は、FTAAではなくメルコスールを選択すべきだ」と書いたのです。感想を書いたのではなく、決意を述べたのです。そう思う人が増えれば、実際にそのようになるのです。
そして、大方の予想に反して、実際にそのようになりました。
根拠も何も、私は「そうせねばならない」と述べているだけのです。
核抑止力が働いたから.面子で国を潰す馬鹿はいません.
99年以降,和平のための首脳会談は3回行なわれていますよ.ましてや実務者レベルの会合は,首脳会談が停止中も定期的に行なわれています.
パキスタン大統領と会談の用意 2006年08月29日
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2381738/detail
「一方、両国は高官レベルの非公式接触を続けており、ダッカで行われた会合では、今後も接触を続けていくことで合意していた。」
>米国がパキスタン派兵をゴリ押ししようとしていることと、非同盟諸国の連帯意識の高まりが関係があると述べているのです。オヴニル1さんの主張だって推論にすぎないのです。
じゃあ,とっとと具体的な事例を基に,その関係性とやらを説明してください.根拠も無しに"ある"と主張されても困ります.説明できなければ,無いのと同義です.
ということで,キューバは印パ和平プロセスに対して,大きな影響力を持っていないと言う事を認めたと言う事ですね?
>その輸出先のアメリカが貿易赤字で潰れそうになっているのですよ。いつまでも対米輸出に依存することができないのは、まともな途上国なら皆気づいております。ソフトランディングするために、当面、現行のシステムを全面否定することはできないだけです。
いつから「あなたの予測=南米諸国の予測」になったのですか?現状分析に自己の願望を投影させ過ぎですよ.
あなたの予測と同じ見解を持っていると言うのであれば,具体的な根拠を示してください.ここでの議論対象は,あなたの未来予測(願望)についてではありません.「南米諸国はアメリカに対してどのようなスタンスで接しているのか?」とういう現状に関しての話です.
アメリカと路線が対立しているメルコスル連合の主張は,国内産業基盤が整わないうちの全面的な市場開放を時期尚早としているだけです.要するに自由貿易に関して「各国の前提が違うから考慮しろ」「総論賛成,各論反対」と言う事です.
現時点において,事実として明らかなのは「南米諸国は自由貿易に対しては総論賛成(ベネズエラ以外),各論反対」「南米諸国はアメリカが主要貿易相手(ベネズエラ含む)」これだけです.
状況分析には,余計な願望や自己理論は持ち込まないのが原則ですよ?「オッカムの剃刀」って言葉はご存知ですか?
>「未来はこうあるべきだ」という展望を述べるのに、何で根拠を示す必要があるのですか?
未来予測(希望)と,現状分析をゴッチャにしているからです.
根拠も示さずに「心の底では~と思っている」「~になるでしょう」は分析ではありません,単なる願望です.