後藤健二さんの夢を引き継ぎ憎しみの連鎖を止めるために

　謹んで後藤健二さんのご冥福をお祈りいたします。
　お母さまの石堂順子さんの以下の言葉が胸に響きました。

　「その悲しみが『憎悪の連鎖』となってはならないと信じます。
　『戦争のな社会をつくりたい』『戦争と貧困から子どもたちのいのちを救いたい』との健二の意志を私たちが引き継いでいくことを切に願っています」。

　後藤さんの過去に行った以下のツイートも話題になっていました。

「目を閉じて、じっと我慢。怒ったら、怒鳴ったら、終わり。それは祈りに近い。憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」







　人は死しても、その志はこの世に残ります。後藤さんはお亡くなりになる直前まで、憎しみのない、毅然とした、信念に満ちた目をしておりました。後藤さんが目指した「憎しみのない社会」の夢は、簡単には実現することのない夢でしょう。しかし、だからこそ追求していく価値のある夢です。後藤さんが自らの生き方をもってそれを実践したことで、後藤さんの撒いた種は、イスラム社会にも日本社会でも確実に育っていくことでしょう。

　それに対して、「テロリストたちを絶対に許さない。・・・・テロと戦う国際社会で、日本の責任を毅然と果たしていく」と、憎悪の連鎖を煽るような談話を発表したのは安倍首相でした。その発言の一つ一つが、まさにイスラム国の思う壺であり、首相が不用意な発言をすればするほど、今後も日本人の命は危険にさらされていきます。
　遺憾ながら、日本人というだけで、誰もが犠牲者になる時代に突入してしまいました。次の犠牲者は私かも知れませんし、あなたかも知れません。
　

　イスラム国のテロリストたちを生み出したのは、イラク戦争という、アメリカが行った国家テロに原因があります。なぜテロリストが生み出されたのかという、その始原に遡って、反省すべきを反省し、謝罪しなければならないのはアメリカです。日本政府も、米国の対イラク侵略戦争を支持してしまったという点で、反省しなければならないのです。

　そもそもビン・ラディンもアルカイダも元はといえば、アメリカがアフガニスタンでソ連軍と戦わせるために軍事支援を与えて養成したテロリストです。自分たちが軍事予算を使って養成したテロリストたちと戦うために、さらに軍事予算を浪費するという、まさにマッチポンプを行っているのがアメリカです。その愚かな一連の過程の中で、軍産複合体の権限は強化され、肥大化し、彼らに利益が供与されてきたわけです。

　日本の安全を取り戻すための抜本的な解決策としては、日本人の力で、首相を交代させ、集団的自衛権の解釈改憲を白紙に戻し、アメリカというテロ国家に追従する日本の外交政策を転換することでしかありません。

　スペインの場合、イラク戦争に参加したことにより、国内テロを誘発しました。その結果、スペイン国民自らの決断によって選挙で政権交代を実現し、アメリカの有志連合から離脱してイラクから撤退し、国民の安全を確保しました。

　しかし日本にスペインのような選択ができるかといえば、本当に心もとない。今後、さらに日本人がテロに巻き込まれて犠牲になっていけば、安倍首相はそれを口実に、さらなる軍事国家化・監視国家化を推し進めることでしょう。
　どうやら日本にも軍産複合体が復活してしまった。日本の軍産複合体は、テロを口実に、ホクホクに儲けることができる。その筋の私の知人に聞いたところでは、「薄利多売な通常の商売ではやってられない。言い値で特別な利潤を得られる軍事ビジネスにすがらざるを得ない。安倍首相さまさまだ・・・・」と。

　いまならまだ引き返せます。私たちが選択すべきは、首相を変え、集団的自衛権を白紙に戻し、アメリカ追従外交を止めることです。