昨日(5月29日)付けの『日経新聞』の朝刊に新しく日本経団連の会長になった御手洗冨士夫さんのインタビューが掲載されていましたのでちょっと紹介します。周知のように御手洗さんは、日本企業が「右へ倣え!」で、社員の「使い捨て」と株主主権を礼賛する米国型経営を取り入れようとしていた90年代、キャノンの社長として「終身雇用制を守れ」と訴え続け、日本型経営を擁護してきた人です。私も、そういう御手洗さんの姿勢を応援したくて、カメラを買う際には意識的にキャノン製を選んだりしました。今回、財界のトップに御手洗さんが座ったことは、他にまったく良いニュースがない中にあって、少しだけ嬉しかったりします。昨日の『日経新聞』のインタビュー記事でも、「大型のチェーン店がすぐに零細店に取って代わるとは考えにくい。日本にはやはりそうしたものを求める風土がある」という発言をしています。やはり今の財界首脳の中ではもっとも良質な方だと思う。その御手洗さんが語る「政府の役割」の部分を、昨日の『日経新聞』からちょっと引用します。
<引用開始>
―政府の役割は
「基礎研究への政府の関与だ。米国政府は宇宙開発のような壮大なプロジェクトに取り組み、その成果を民間に還元する仕組みを持つ。インターネットも米軍の通信技術が民生分野に移植され、一大産業に育った。官民の連携プレーの大事さから学ぶべき点は多い」
<引用終わり>
この御手洗さんの発言は、米国を崇拝しながら「小さな政府」を主張する小泉さんや竹中さんに対する強烈な当てこすりでしょう。米国は最先端の技術開発に関しては、すごく「大きな政府」で成功しているからです。
竹中氏は「民間のやることを邪魔しない政府が良い政府」、「市場原理に委ねて何もしない政府が良い政府」と主張し続けました。竹中さんは、90年代のクリントン政権下でのアメリカ経済の再生にしても、「それ以前のレーガン政権時代のサプライサイド改革(=市場原理主義改革)の結果である」という詭弁を弄してきたのです。
御手洗さんは竹中さんとは全く意見を異にします。米国の90年代のIT革命も「官民の連携プレー」が成し遂げたものだという立場です。その通りです。インターネット技術は、もともと国家予算を注ぎ込んで開発された米軍の通信技術が民生転換されたものです。クリントン政権時代のIT産業の発展による米国経済の再生は、国家予算で開発した軍事技術の民生転換や、ゴア副大統領の「情報スーパーハイウェイ構想」で民間設備投資をIT部門に向かわせたという「政府のイニシアティブ」の部分が非常に大きいのです。
レーガン革命の「小さな政府」路線が10年経ってからクリントン政権時代になって発展を促したなんていう竹中サンの説明は、ほとんど「風が吹けば桶屋が儲かる」のレベルなのです。日本のマスコミはこの詭弁を信じてしまったのだから恐ろしい・・・・・・。
戦争狂の現ブッシュ政権でさえ、ナノテクノロジーの開発や、最近ではエタノール自動車の開発などに湯水のごとく国家予算を注ぎこんでいるのですから。米国は、未来に向けた技術投資に関しては、「大きな政府」を実践し成功しているのです。
米国の世界戦略は、自国では技術開発に関する「大きな政府」を実践しながら、他の国には「小さな政府」の構造改革を押し付けて、他国の産業政策の機能をマヒさせ、米国に伍する技術開発能力を持つのを妨害しようというものです。
御手洗さんのような人が日本の財界トップに座ったことは、そういうダブルスタンダードで日本経済を破壊しようとする米国への対抗上も、望ましいことだと思います。
ついでに、ここまで書いたついでにもう一言。現在の米国は、周知のように軍産金融複合体の支配によって、戦争と破壊のために湯水のごとく国家予算を注ぎ込んでいます。この構造をどのように改革すればよいでしょうか。
仮に進歩的な大統領が誕生して、軍事予算を大幅に削減しようとしたら、彼・彼女は暗殺されてしまうかも知れません。
私だったら以下のようにします。軍事予算の削減分を、そっくり宇宙開発予算に転用するのです。軍事産業が持っている技術の多くは、宇宙開発に応用できます。軍事産業は宇宙開発産業へとそのままシフトさせることができるのです。宇宙開発熱を国家をあげて盛り上げて、軍事産業という有害産業を宇宙開発産業という創造的産業に「構造改革」してしまうおうというわけです。
「軍事費+宇宙開発費」の予算総額を維持できれば、軍事産業への経済的打撃はないでしょうから、彼らがよからぬことを考える可能性も少ないでしょう。
人類が火星に到達し、入植するという夢は、人類の未来のために実現して欲しいものです。
<引用開始>
―政府の役割は
「基礎研究への政府の関与だ。米国政府は宇宙開発のような壮大なプロジェクトに取り組み、その成果を民間に還元する仕組みを持つ。インターネットも米軍の通信技術が民生分野に移植され、一大産業に育った。官民の連携プレーの大事さから学ぶべき点は多い」
<引用終わり>
この御手洗さんの発言は、米国を崇拝しながら「小さな政府」を主張する小泉さんや竹中さんに対する強烈な当てこすりでしょう。米国は最先端の技術開発に関しては、すごく「大きな政府」で成功しているからです。
竹中氏は「民間のやることを邪魔しない政府が良い政府」、「市場原理に委ねて何もしない政府が良い政府」と主張し続けました。竹中さんは、90年代のクリントン政権下でのアメリカ経済の再生にしても、「それ以前のレーガン政権時代のサプライサイド改革(=市場原理主義改革)の結果である」という詭弁を弄してきたのです。
御手洗さんは竹中さんとは全く意見を異にします。米国の90年代のIT革命も「官民の連携プレー」が成し遂げたものだという立場です。その通りです。インターネット技術は、もともと国家予算を注ぎ込んで開発された米軍の通信技術が民生転換されたものです。クリントン政権時代のIT産業の発展による米国経済の再生は、国家予算で開発した軍事技術の民生転換や、ゴア副大統領の「情報スーパーハイウェイ構想」で民間設備投資をIT部門に向かわせたという「政府のイニシアティブ」の部分が非常に大きいのです。
レーガン革命の「小さな政府」路線が10年経ってからクリントン政権時代になって発展を促したなんていう竹中サンの説明は、ほとんど「風が吹けば桶屋が儲かる」のレベルなのです。日本のマスコミはこの詭弁を信じてしまったのだから恐ろしい・・・・・・。
戦争狂の現ブッシュ政権でさえ、ナノテクノロジーの開発や、最近ではエタノール自動車の開発などに湯水のごとく国家予算を注ぎこんでいるのですから。米国は、未来に向けた技術投資に関しては、「大きな政府」を実践し成功しているのです。
米国の世界戦略は、自国では技術開発に関する「大きな政府」を実践しながら、他の国には「小さな政府」の構造改革を押し付けて、他国の産業政策の機能をマヒさせ、米国に伍する技術開発能力を持つのを妨害しようというものです。
御手洗さんのような人が日本の財界トップに座ったことは、そういうダブルスタンダードで日本経済を破壊しようとする米国への対抗上も、望ましいことだと思います。
ついでに、ここまで書いたついでにもう一言。現在の米国は、周知のように軍産金融複合体の支配によって、戦争と破壊のために湯水のごとく国家予算を注ぎ込んでいます。この構造をどのように改革すればよいでしょうか。
仮に進歩的な大統領が誕生して、軍事予算を大幅に削減しようとしたら、彼・彼女は暗殺されてしまうかも知れません。
私だったら以下のようにします。軍事予算の削減分を、そっくり宇宙開発予算に転用するのです。軍事産業が持っている技術の多くは、宇宙開発に応用できます。軍事産業は宇宙開発産業へとそのままシフトさせることができるのです。宇宙開発熱を国家をあげて盛り上げて、軍事産業という有害産業を宇宙開発産業という創造的産業に「構造改革」してしまうおうというわけです。
「軍事費+宇宙開発費」の予算総額を維持できれば、軍事産業への経済的打撃はないでしょうから、彼らがよからぬことを考える可能性も少ないでしょう。
人類が火星に到達し、入植するという夢は、人類の未来のために実現して欲しいものです。
アメリカの巨大科学にどれほど憧れていたか…
軍産複合体を宇宙開発に転用、というのも妥当だと思います。僕が論ずるなら必要十分で適切な軍事力は維持した上で、ですが。
また、軍の人的な力を屯田兵の発想で、自然を取り戻して持続可能な農林複合体で地球を覆うのに使うのも、特に途上国でやってほしいものです。
ちなみに僕には、火星入植も夢ですが軌道エレベーターから月、水星に大規模な宇宙太陽光発電所を作る、というのも大きな夢です。
>思います。僕が論ずるなら必要十分で適切な軍事力
>は維持した上で、ですが。
軍事費を減らした分を宇宙開発費にということですから、そういう意味です。軍事費をどれだけ転用するかは米国民が決めることです。
しかし、いまの米国は世界第2位から10位までの軍事費を足し合わせたのよりも大きな軍事費を一国で使っているのですから、とてつもなく過剰なので。
>軍の人的な力を屯田兵の発想で、自然を取り戻して
>持続可能な農林複合体で地球を覆うのに使うのも特
>に途上国でやってほしいものです。
途上国には、彼らの入植を受け入れるだけの十分な土地はないので、やはり米国内で小規模農業を復活させるという形で、やって欲しいです。
>火星入植も夢ですが軌道エレベーターから月、水星
>に大規模な宇宙太陽光発電所を作る、というのも大
>きな夢です。
宇宙太陽光発電で発電した電気を地球に送る技術が難しいのと、地球のエネルギー収支の均衡が崩れて問題がおきそうな気もします。
スペースコロニーや月面基地で使うのならよいですね。
そう、問題は今零細な土地で苦闘している人たちをどうするかです…一度全体を緑化するからどいてくれ、というのは無理です。
今、一家族一ヘクタールもない狭い農地…しかも農業の適地でもない…それ自体生産性がどうにも低く、持続可能でもない可能性がありますが…頭を抱えるところです。
どうすれば途上国の、細分され荒廃した農地を健康にできるか…ちょっと話がずれました。
>にできるか…
伝統的な小規模家族経営の農地は、それほど荒廃していないというのが私の印象です。荒廃している場所は、この数十年のあいだに、食糧増産に迫られて伝統的な多品種少量生産を放棄して単作モノカルチャー化してしまった場所や、土地なし農民が林地に進入したりして急傾斜地をムリに開墾してしまった場所などです。
急傾斜地でもアグロフォレストリー技術などを使えば十分に持続可能な農業はできますが、さまざまな要因によってそれができていない場所が多いようです。
それから山澤さんに言われた、「インドネシア語をアジアの国際言語に」というエントリーを書きたい書きたいと思いつつ、時間がなくて書けずにおります。いずれ書きますので少々お待ちください。