代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

民・社・国政権への要望

2009年08月31日 | 政治経済(日本)
 公私とも忙しすぎて、管理者不在のままブログを放置しておりました。まことに申し訳ございませんでした。この間コメントを下さった皆様にまったく返信できませんでしたこと、深くお詫び申し上げます。

 今回の選挙に関しては、結果が見えていましたし、マスコミ・キャンペーンに乗っかるのもイヤでしたので、何も書きませんでした。高校の頃に政治に興味を抱いて以降、いつかこの日がくることを夢見てきたはずなのですが、何故か大きな感慨はわきません。
 また、この間、ブログ界でがんばってこられた戸倉多香子さん、保坂展人さんの落選は大変に残念でした。また小泉構造改革路線に対抗し、郵政民営化見直しのために心血を注いで頑張ってこられた綿貫民輔さん、亀井久興さんの落選も非常に悲しいことでした。
 むしろこれからが大変です。野党に投票した皆様、気を引き締めて民主党を監視し、彼・彼女らが変な方向に向かわないよう提言してまいりましょう。

 というわけで、早速ですが、民主党への提言と、これまで封印していた民主党の政策への批判もさせていただきます。

国家戦略局について

 今度の政権の最重要課題は、予算編成権を官僚の手から、市民が奪い取ることです。無駄を減らして、福祉・環境・教育・育児など必要な予算を拡充することです。緊縮財政ではなく、不必要をなくし、必要を増やすことです。予算編成はあくまでもグローバルでグリーンなニューディールの世界的基調と歩調を合わせねばなりません。
 ゆえに国家戦略局に、民間から人材を登用する際には、新古典派で洗脳された経済学者や、市場原理主義的な財界人を加えることは、もっとも忌避すべきことです。彼らは何の役にも立ちません。新古典派のような特定イデオロギーに凝り固まった人間でなく、文系・理系の双方をまたにかけた一般的教養を広く持つ人材を登用すべきでしょう。また自然エネルギーなど環境産業分野の技術的イノベーションを図るためには理科系や技術畑の人間を重視して登用すべきです。鳩山新首相は、その点をくれぐれも留意してください。
 また、国家戦略局はあくまで市民各層の総意を代表するものとして運営せねばなりません。つまり既存の政府の審議会にありがちな、学識経験者や財界人を集めて運営する組織ではなく、障害者、高齢者、派遣社員、シングルマザー、フリーター、ホームレスなどの代表者をたえず集めて、そうした人々の意見を聞きながら運営すべきです。

連立について

 社民党、国民新党、新党大地、新党日本には、「寄らば大樹」ではない野武士たちが集まっております。民主党の議員に比べて、議員一人一人の能力は高いのです。故に、上記四つの小政党から一人づつ大臣を出すのが望ましいと思います。でないと、官僚たちとの闘いに勝利することなどできないでしょう。辻元清美さん、亀井静香さん、鈴木宗男さん、田中康夫さんなどが閣僚に名を連ねれば、官僚と対峙しても十分に圧倒できる迫力があります。

国土交通大臣

 私としては、もっとも興味のあるのは国土交通大臣の人事です。予算の無駄を削って必要な予算を増やす。では無駄とは何か? 端的に言って、それはダムと道路の二つです。ダムと道路が闘いの焦点です。ですので国交相こそは、次期政権の最重要ポストといっても過言でないと思います。だから決して小物を投入してはダメです。さて、誰がよいでしょうか? 

田中康夫:
 これが実現すれば、もっとも注目を集める人事になるでしょう。下手なドラマよりもよほど面白いものが見られそうです。しかし、かつての田中真紀子VS外務省のバトルの再現になりそう。壮絶なバトルが展開されたあげくに、官僚がサボタージュして業務が動かなくなり、結局は一年くらいで大臣を更迭せざるを得なくなるというシナリオ・・・・。
 しかし、田中真紀子さんのおかげで機密費問題などなど外務省の闇があばきだされたことは今から見ても良かったことです。わずか一年でも田中外相の果たした役割は大きかったと思います。国交省の闇をあばき出すために、あえて虎を野に放つ意味があるかも知れません。

菅直人:
 菅直人さんは、いたずらに官僚と敵対するばかりでなく、うまく使いこなす術も知っていそうです。菅さんは副首相ってことになっているのかも知れませんが、何なら副首相と兼任で国交相も兼ねればよいでしょう。とにかく、国交相は最重要ポストといっても過言ではないと思います。ここで官僚に勝てるかどうかが、この政権の明暗を分けるでしょう。

前原誠司:
 じつは意外に面白いかも。前原さんは国防族ですが、じつは「無駄な公共事業をさせない」という点については強い熱意をもっています。前原さんの関心が国防に向くと、与党内の対立の原因になりそうです。彼の関心を国防から内政へとシフトさせ、その能力を存分に発揮してもらうことは政権の安定運営のためにも役立つでしょう。

亀井静香:
 亀井さんがもっとも無難な人事でしょうか。民主党の議員と違って経済が分かっているし、公共事業・公共投資の必要性も強く認識していますから、官僚たちも敵対しないでしょう。それでいて、無駄な事業に関してはバッサリ切れる能力があることは、亀井さんの過去の実績が証明していますから。

日米FTA

 民主党が、これをマニフェストに盛り込んだことは、「KY」とでも言ったらよいのでしょうか、「アホ」とでもいえばよいのでしょうか。日本の農業もアメリカの製造業も大打撃を受けるだけで、双方の国民にとって百害あるだけです。アメリカで喜ぶのは穀物メジャーのみ。日本で喜ぶのはトヨタなど一部の輸出大企業のみで、日米双方の国民がさらなる不幸を累積させるだけです。

 だいたいオバマがFTAの見直しに動いているまさにその時に、日米交渉でこんな話題を持ち出せるわけもないのに。アメリカの方が相手にしないでしょ。

 民主党が経団連にコビるためにマニフェストに加えたのでしょう。こんなところでもう財界に尻尾ふっているようじゃ、先が思いやられるのです。堂々と経団連に敵対しても、国民が支持すれば選挙で勝てるはずなのです。
 だいたい経団連にしたって、日米FTAが不可能なことくらい分かるでしょう。財界がノータリンだから、その威を借る与党もアホになっていくのです。民主党は、国民の支持を背景に、アホな経団連の意向などいちいちくみ上げないという毅然とした態度をとることが、何よりも肝要です。
  
子育て手当

 意味のないバラマキの典型です。これじゃ麻生さんの定額給付金と変わらないじゃないですか。こんなバラマキじゃ少子化対策の役にたちません。子育てを支援するのなら、保育園の数を増やし、保育士の数を増やし、保育料を引き下げ、保育士が安心して働くことができ、親は安心して子供をあずけられるインフラと環境を整備することにこそ予算を使うべきなのです。

 ・・・・・ 他にも民主党のマニフェストは批判したい点が多いのですが、長くなってきましたので、いったん筆を置きます。


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うーん多士済々……すぎる (デルタ)
2009-08-31 22:35:12
こんにちは。
これだけ人が増えると、しばらくは交通整理が必要そうだな~、と民主党の当選者の一覧を眺めての、第一印象でした。

国政全体を見渡すことは、私には不可能ですが、
「森」の件に関しては、話をしてみて興味を持ってもらえそうな新人議員さんが見つかったので(というより、私が昔から一方的にその人をしっている)、
すこしメールなり送ってみるつもりです
(同じエンジニア系の人なのですが、固体物理をやっていた私より、構造力学が専攻で建築関係のコンサルタントをしていたということですから、私よりよっぽど詳しそうです……汗)。

手応えがありましたら、すみませんが、
関さんにあとはよろしくお願いします(罰杯)
返信する
いろいろ書いてすみませんです(汗) (デルタ)
2009-08-31 23:08:48
ちょっと重大な話。
結局のところ、保育所の不足は、保育士の不足に帰着する、と私は見ています。

お医者さん(特に産科と小児科)、看護士もそうですが、
なり手が女性へ偏っている、という点に、不足の一因をにらんでいます。
男性進出を阻んでいる、
 ・ジェンダー的な偏見
 ・男が配偶者を食わせて行かねばならない、という社会慣習。
という慣行を破っていくことも、大きなチャレンジでないかと。
また、子育て中・子育て後の有資格女性にどう復職してもらうか、という視点も必要かと思いますが、
こちらについては、堂々巡りの議論になりそうですね。
返信する
デルタさま ()
2009-09-05 16:16:19
 忙しくて返信もままならず申し訳ございませんでした。

>「森」の件に関しては、話をしてみて興味を持ってもらえそうな新人議員

 ダムの公共事業予算の一部を森林整備費への転用する(間伐材の運搬予算など含む)という路線は、公共事業の新しいあり方として、ぜひ民主党政権で実施してほしいものです。
 
>また、子育て中・子育て後の有資格女性にどう復職してもらうか、という視点も必要かと思いますが、

 それと同時に、男性保育士の育成も重要ですね。保育園は、男がもっと進出してもよい職場だと思います。育児労働で雇用を確保するニューディールも重要な視点だと思います。 
 
返信する
Unknown (Unknown)
2009-09-10 00:00:09
中国「ポッポ鳩山の25%削減じゃ全然足りない。中国は削減しないけど、日本はもっと削減しなさい。」
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1252502267/

これが現実ですかね。
返信する
Unknown (Unknown)
2009-09-10 00:01:52
ちなみに、上記ニュースのソースは以下のとおり。
中国は地球温暖化にはよほど関心がないと見える国だが、日本の経済への打撃を与える好機と見るや、途端にこのような態度をとる。
国際社会の現実かと思います。

【北京時事】中国外務省は9日、民主党の鳩山由紀夫代表が掲げた温室効果ガス削減の
中期目標について改めて見解を示す談話を発表、「民主党新政府が気候変動問題で
積極的な態度を取ることを期待し歓迎する」としつつ、「国際社会が日本に期待、
要求しているレベルとは隔たりがある」と一層の努力を求めた。

鳩山氏は、2020年の温室効果ガス排出量を「1990年比25%削減」とする中期目標を表明。
麻生太郎首相が6月に発表した「05年比15%減(90年比8%減)」を上回るが、
中国など途上国は以前から「先進国全体で90年比40%以上減」を求めている。 (2009/09/09-20:11)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009090900894
返信する
Unknownさま ()
2009-09-10 22:42:33
>中国は地球温暖化にはよほど関心がないと見え
>る国だが、日本の経済への打撃を与える好機と
>見るや、途端にこのような態度をとる。

 中国にも「私たちもやるから。あなたたちもちゃんと削減しなさい」と声を大にして言ってかなきゃダメです。
 ただ、中国も最近は自然エネルギーの導入に日本以上に前向きになっていますし、「中国は関心がない」という理解は誤りです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。