イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

大河ドラマ『いだてん』 ~徒歩部ならぬトホホ部~  

2019-02-09 20:37:45 | 夜ドラマ

 朝ドラから下車した後、結局日本発の日本製ドラマの連続モノでリアルタイム視聴継続しているタイトルはNHK大河『いだてん ~東京オリムピック噺~』だけに・・・あ、『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』があった。でもこちらは惜しくもあと1話で完結なので、明日からは本当に『いだてん』だけになりそうです。

 今年の大河は何となく2020東京オリパラ協賛の“政策的企画もの”という感じに思え、正直、あまり惹かれなかったのですが、正月2日・3日の関東大学駅伝NHKラジオ第一実況ゲストに来てくれた中村勘九郎さんと満島真之介さんのマラソン絡みトークが好感度大で、1話から待機視聴したら、結構愉快。

 歴史の教科書に載っているような、顛末の広く知られた人物の話ではなく“近代日本のこぼれ話@オリンピック”的な切り口なので、すぐに“次回が楽しみモード”に入れました。

 サブタイトルが、~東京オリムピック“物語”でなく“~噺(ばなし)”となっているところに、「プロジェクトX系の感動話じゃなく、ひとつ突き放すから」という覚悟の宣言も透けて見えます。

 前半の主人公=日本初のオリンピック出場選手・金栗四三(かなくりしそう)に扮する中村勘九郎さんが、歌舞伎の御曹司にしてはフレッシュなのにまず驚いています。1981年生まれ37歳、二男の父、妻は前田愛ちゃん。従って義妹は前田亜季ちゃん。それはどうでもいいのですが、この人の父上=十八代目中村勘三郎さんが三十代半ば頃には、すでに“老成”と言ってもいいくらい、どっしり堂々大御所然とした芸風だったのを思い出すと、ずいぶん若々しく、熊本から上京したての高師予科生らしい青くささがほどよく出ていて、意外と言っては失礼でしょうが嬉しい予想外でした。

 金栗四三、明治二十四(1891)年生まれ、東京高等師範学校進学が同四十三(1910)年。近代日本、鎖国と封建を卒業した日本の青壮年時代とも言える空気感に、不思議に宮藤官九郎さんの“何やっても一隅でトボける”ワールドがはまっているし、同郷から一緒に進学したけど志向の全然違う文系軟派の美川秀信役=勝地涼さん33歳、郷里のマドンナ春野スヤさん役=綾瀬はるかさん34歳など、取り巻く人々とのかけ合い芝居の質感もこれ以上ないくらいしっくりきています。

 どの人物も、いきなり喜劇モードで笑かしに来るのではなく、普通にしていて“微量可笑しい”のがいいですね。可笑しさが、物心つきかかった子供の動作っぽい、「ん?いまなんかヘンなこと言った?」と引っかかりたくなる、出合いがしらの一期一会な可笑しさなんですよ。

 特に、講道館柔道の父にして東京高等師範学校長、東洋初の国際オリンピック委員でもあった嘉納治五郎役=役所広司さんはキャラ的にも新生面を拓いているのではないでしょうか。日本にも競技スポーツを定着させ世界の舞台に・・と思想はあくまで高邁なのに、先立つものが回らず私財をどんどん投じ、それでも果てしなく足りなくなっていく一方でなし崩しに借金しまくっていく姿が、立派なのかイタいのか。月河家の非高齢組などは「ジゴロー、宝くじ買えよジャンボ」って言ってますが。一億の家が三軒、一千万のクルマが三十台。

 劇伴音楽も『あまちゃん』と同じ大友良英さんで、こちらも今後の展開が楽しみですね。いきなり寄席の出囃子風に始まるOPテーマは、朝の出勤のお供にぴったりです。

 ただ、2月の当地のツルツル路面でいきなり「すっすっ、はっはー・・」と走っちゃうと、金栗シソウじゃなく、転倒しそう。おあとがよろしいようで(面白くねえよ!)。

コメント
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