イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

お洒落で電波でドSで

2007-01-04 13:34:22 | スポーツ

この正月は、ウチのTV、スイッチが入ってる時はいつも時代劇ばっかりやっていた気がするなあ。『明智光秀 ~神に愛されなかった男~』をまた家族に付き合って観ました。

サラリーマン時代、いろんな会社のいろんなポジションの人に会うと、「この人、有名大学出だし頭はいいし、会話してても穏やかそうで嫌われる要素無さそうなのに、なぜもっと重要なポストにつけなかったんだろう」と不思議に思う、そんな人に出会うことがあります。

文句なしに仕事は敏腕。取り組み方もまじめで、上に対する忠誠心や部下への思いやりもあるのに、なぜか人望がない。

働きのわりに上に評価され重用されないから、部下も安心してついて行けず、いつしかリスペクトもされなくなっていく。

“人徳がない”と言えばそれまでですが、明智光秀というのもそういう人だったのかもしれません。

唐沢寿明さんが“思想は間違っていないんだけどいちいち間が悪い”男を、持ち前の“端整だけど神経質で小心”キャラでうまく演じていましたが、このドラマの白眉は何と言っても上川隆也さんの織田信長でしょう。『白い巨塔』の財前と関口弁護士ふたたび、というところが、月河が付き合いでも観ようと思った最大の動機ですが、上川信長、ドアタマから目がいっちゃってるのな。んで、信長と言えば南蛮かぶれですから立ち襟に金のフチドリのマント。頭はもちろんあのでっかいパソコンのホコリ取りみたいな髷。。フィギュアスケートの織田信成選手なんかも、この南蛮ルックで滑るべきだね。外国人審判に絶対うけますよ。マントひるがえして赤ワイン飲んで、グラスは天主の窓からポイ、屋根瓦に当たって砕けてカシャーン。その仕草がいかにも刹那的で孤独で、すごくカッコいい。

信長と言えば時代劇の華ですから、過去にも数えきれないほどの俳優さんが演じてきていて、最近ではテレ朝『太閤記 天下を獲った男・秀吉』での村上弘明さんもヴィジュアル的には長身で濃い顔、申し分ない信長でしたが、いかんせん元・仮面ライダーですから、ウツケを演じてもどこかさわやかさが漂っちゃうわけですよ。その点、上川さんは元・大地の子ですから(?)イキ方が大陸的なわけ。酔っ払って扇子持って能役者と一緒に舞うシーンがあったんですが、白い着物の裏が真っ黄っ黄の山吹色、胸元に覗く半襟が深紅、舞い終わって羽織った鉄紺の打ち掛けの裏が朱赤。打ち掛けにも着物にも金銀の縫い取りがびっしり。もうどうにでもしてくれってぐらいのお洒落さん。そのカッコウで、唐沢光秀がポロッともらした「この城が建ったのも俺たちの働きのおかげ」のひと言が気に障ったってんで、首根っこつかんで欄干にガシガシ、流血するまで叩きつける。完璧なキレキャラで、しかもドS。しかもしかも、唐沢光秀が無抵抗。無言で耐えてる。…月河、そういう趣味はないつもりなんですが(あるのか?)、この時ばかりはTVの前で「もっと!もっと!」って声出ちゃいました。合戦や果し合いシーンより燃えたかも。

上川さんと言えばごく最近までNHK大河で山内一豊を演じていたらしいですが、こちらは1話も観ていないのでまったくイメージが混じることはありませんでした。この人、もう一生信長でいいよ。弁護士もキャバクラオーナーも演らなくてよし。昔、黒沢映画(『影武者』だったか?)で南蛮信長に扮した隆大介さんも柴田勝家役で出演していましたが、「かなわんな」と思ったか「オレもやりたかったなクッソー」と思ったか。

ただ、このドラマ、どんな撮影方法をとったものか、屋外屋内、夜のシーン昼のシーンを問わず、やたらそれこそ黒沢映画ばりに画面が暗いのが気になりました。ウチのTVがいまどきアナログのブラウン管なのも原因かもしれませんが、目が疲れるだけでなく、俳優さんの微妙な表情などを見ようとすると、ヘンな集中力や緊張を要求されました。ひょっとしてそれも製作上の計算だったのでしょうか。

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