NHK FMの祝日不定期SP『今日は一日 ○○三昧』シリーズ、以前は午前中に始まって昼のニュースを挟み、夕食どきのニュースも超えて、日付跨ぐまでなんていう、“ザンマイ感”に殺人的なまでに満ち満ちた編成のときもありましたが、5月3日(木)の『今日は一日 特撮三昧』は、12:15に始まって22:45終了。連休中の小さなお友達にも、パパママ大きなお友達にもフレンドリーなフォーマット。
おかげで久々にじっくり聴けましたよー。途中、ローカルヒーローなど箸休めにできる薄めなコーナーを適宜はさんでくれたおかげで、熱い曲、アドレナリン促進系の曲の連打また連打にもかかわらず、結構ゆったりのんびり楽しめました。
メインゲストの長澤奈央さんが、第二部の深い時間までがんばってくれてました。本当に特撮が好きなのね。特定のジャンル、特定のキャラの濃いオタクというのじゃなく、“物心ついてからの人生で特撮を見ていなかった時期がない”ぐらいの、偏らない揺るぎない特撮愛。こういう女優さんの主役デビューがスーパー戦隊、それも“女性ブルー”ってのも何やら天の配剤。
『忍風戦隊ハリケンジャー』オーディションの応募書類“特技”の欄に、「戦うヒロイン役だから有利かも」と、レッスンにかよい始めたばかりの“少林寺”と書き、何度めかの面接で「キミ少林寺できるのか、やって見せて」と言われて、ものすごい「へなちょこパンチ」(←本人談)を披露、まぁ結果はめでたく合格だったものの、後から男の子メンバーに「アレはないよなー」とさんざん言われた…なんてエピソードも話してくれました。わはは。オトコノコメンバーのうち約一名、現在放送で名前言えない状態の人がいるわけですが、その後長澤さんは目に見えてアクションが上達され、身体の線も締まって眩しいばかりの脚線美。「いつ特撮の(出演の)お話が来てもいいように」準備怠りないそうです。『仮面ライダーW(ダブル)』でのリリー白銀も忘れられないし、またいつかシュシュッと揃い踏み、見たいですよね。約一名も早いとこ身辺整理して、信じた未来にがんばろう。
その『ハリケン』にもシュリケンジャーとしてゲストインしてくれていた大葉健二さんもお久しぶり。昨年は『海賊戦隊ゴーカイジャー』のクリスマス回で顔出し出演がありましたが、郷里松山でイベントプランナーをされていたとは初めて知りました。大葉さんと言えば芸名の字並びでもわかるようにJAC千葉真一さんの愛弟子なのですが、『バトルフィーバーJ』のバトルケニア=曙四郎役と、宇宙刑事シリーズのイメージがあまり強すぎて、その後どうされているのかなと思った時期がありました。病弱なお兄さんに代わりお母様の看病をするために郷里に帰られていたそうです。まだ当時30代前半、変身前と変身後をひとりで演じられる貴重なアクション俳優として、これからという時期だったでしょうに、師匠の千葉さんからも「おまえひとりが(家族の)犠牲になることはないじゃないか」と引き止められたそうですがよくぞ決心されたもの。現在は松山に本拠を置くイベント会社の代表取締役として、イベント・ショーの舞台監督やアクション指導、ローカルキャラクターのプロデュースもされていて、ある意味顔出し俳優以上に“ヒーロー界”草の根広報マン、育成コーチの役割を果たされています。
月河の様な地方在住で業界の中心から遠く、ナマのステージやライブに出かける時間も情報もなく、TVと、ビデオやDVDなどパッケージソフトしかウォッチ手段のない視聴者は、TVの顔出しでの新作の話題が聞こえなくなるとそれだけで「辞めちゃった?」「消えた?」ヘタしたら「干された?」などと思い込みがちなんですが、こういうかたちでのご活躍もヒーロー俳優として天晴れだし、ファンとして有難いことですね。今回の『特撮三昧』は企画から進行メインMCまでを一手に行なっている(らしき)NHKアナ界の“特撮部長”斎藤政直アナが現在NHK高松に着任中で、自然と高松からの放送になったため、お隣の愛媛県松山から駆けつけゲストインなった模様です。
大葉さん、昨年『ゴーカイ』で久しぶりに現在時制のスーパー戦隊と共演された感想を求められて、「僕らの頃のヒーロー役者はみんな顔が濃かった。ボクもこの通り(の顔)でしょ?(場内微笑)いまの子たちはみんな綺麗で、さわやかで驚きましたね。特に(ゴーカイ)グリーンの人なんか」、長澤奈央さん「あー清水クンですね、女の子みたい(に綺麗な顔)ですもんね」……わはは、聴いていたかなドン・ドッゴイヤー。もとい清水一希さん。向井理さん似。ヒーローのキレサワ化トレンドの代表に挙げられましたぞ。まぁ、『バトルフィーバー』当時の、褐色作りの曙四郎の野性的こってりっぷりに比べれば、最近作のヒーロー諸君は全員、それこそ清らかな水のようにさらさらさわやかではある。
また、挙げ切れないほどたくさんのヒーローソングを歌ってこられた串田アキラさんが、もとはと言えばNHK“ヤング101”のメンバーだったというのも月河は失礼にもまったく初耳でした。R&Bが好きで、特撮ソング初挑戦の『太陽戦隊サンバルカン』オープニングテーマ曲もレコーディングで自然とR&B風の歌唱になってしまい、当時のディレクターから「串田くん、違うんだよ、もっとカッコよく歌って」と再三言われたものの、串田さんの中での“カッコいい”歌い方はやはりR&Bのそれなので、どうしたらディレクターの言わんとする“カッコいい”歌になるかずいぶん悩まれたそうです。
ちなみに、当時は髪型もアフロだったそうですよ。1981年の作品ですから当時32歳。きゃー。アフロクッシー。見たかったような、見ないですんでよかったような。
月河にとっては『G12!チェッカーフラッグ』(@『炎神戦隊ゴーオンジャー』)♪カッ飛ぶ 轟く あぁジートゥエルヴ~とか『FLY OUT!ULTIMATE DAIBOUKEN』』(@『轟轟戦隊ボウケンジャー』)♪たぁいよぅぉを超えろ dreamin’ wing ! などがいまならいちばん速攻クチをついて出るフレーズですが、ハイでシャープで高揚感あふれ、でもどこか昭和アナログな人肌感のある串田さんのお声は、“カッコよさに凝りかたまっていない”ところが魅力なんだと思う。それがお若い頃傾倒したというR&Bの素養からくるのかはわからないけれど、カッコよさの中に内包される人間っぽさの分量が度を越して“ダサくなる”手前の非常に微妙なところで出し入れして、“人間っぽさもカッコよさのうちだよ”と逆の説得力をもって迫ってくるようなパワーが、串田さんの歌唱にはある。
こういう、ヒーローソングシンガーとして非常にユニークな個性を持った串田さんに対して、「カッコよく、もっとカッコよく」としつこく要求し続けたそのディレクターさんもある意味見上げたものです。串田さん、どうやっても「もっとカッコよく」ばかり言われるので、しまいには「わかんねぇよクッソー」的なノリで、いちかばちか、きーーーっちり譜面通りに歌ったら「それ、それだよ、やればできるじゃない」とOKが出て、「結局何がカッコいいんだろう」とますますわからなくなったとか。
このディレクターさん、あの影山ヒロノブさんにも、「もっとカッコよく」攻撃、しまいには「何でわからないんだ?もう、歌詞、声出して読め」と要求、影山さんにスタジオで歌詞全編音読させたこともあるというツワモノらしいです。いまや押しも押されもせぬアニソン王子の影山さんも元はベイ・シティ・ローラーズパクリなアイドルバンド出身ですが根はハードロック小僧なので、ヒーローソング参入当初はかなり難儀したと思われ。
串田さんしかり影山さんしかり、そのディレクターさんもまた然り。さまざまな音楽歴と志向を持った特異な才能が結集、たいへんなエネルギーを注ぎ込んで摩擦発熱し合って、コンニチまで脈々と伝統を築き上げてきた特撮ソング界なのでした。
そしてこの日は、“三昧シリーズ”では3年ぶりぐらいに、月河のリクエスト曲もオンエアされたではありませんか。12:00台とっぱじめのスーパー戦隊コーナーではTVサイズだったので、まぁそれも本放送当時を思い出していいかなと思って送ってみたのですが、19:00~のニュース後の“ディープな大人の時間コーナー”で拾われたため、なんとフルコーラス。いやぁ、最終話EDオールキャスト&スタッフクレジットロールでも“中抜き”でフルはなかったんじゃないかな。ちょうど夕食の後片付けの時間だったんですが、ヘッドホン装着して軽く走り回ってしまいました。やっぱりラジオでリクエストがかかるのは嬉しいものだし、かかるか?かかるか?とワクワクするのもいいもんですね。名前読んでもらえなかったのが残念でしたが。ラジオネームにインパクトが足りなかったかな。今度はいつかしら、三昧シリーズ。
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