イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ほら―!

2008-12-23 01:01:10 | お笑い

とりあえず上沼恵美子さんの「オートバックスのCMが浮かびました」は、クラスや職場に、可笑しな2人ないし3人組がいたら速攻使えそうですね。M1グランプリ2008、決勝ラウンドの時点で、7番手登場のNON STYLEに優勝してほしいなと思ったので、当たりで嬉しい結果になりました。よほど緊張していたらしい白ずくめのボケ石田は、一気にほどけ過ぎて、フィギュアスケートの織田信成選手みたいにグシュグシュになってましたな。

昨年「これはいけそう」と思った、ラストチャンスのトータルテンボスがここで次点の後、3ヶ月後に『爆笑オンエアバトル』チャンピオンになったことでもあり、そこで防衛成らなかったNON STYLEが今年のM1を獲れば、形としてもきれいですよね。

演ってみなけりゃわからない、当日生放送での演りデキも、一番文句なしだったと思います。最終決戦進出の他2組がナイツ、敗者復活からのオードリーと決まった次点で、ノンスタ勝てる!と実はひそかに思ったんです。ナイツ・オードリーともに基本は“行っては止まり、流れては遮り”という変則的な漫才。水難少年救出、ホラー映画と、ひとつの状況設定からボケツッコミ、ボケツッコミを重ねてゴロゴロ雪だるま式にエスカレートさせて行くコント漫才の醍醐味、堪能させてくれたのは彼らだけでした。

新人演芸大賞(当地は1122日当夜、地震のためオンエア中断)受賞のナイツは寄席経験を強みにしていますが、漫才としての巧さとは別に、存在感がなぜかしら暗い。古いと言うより暗い。いまさら宮崎駿、いまさらSMAPという“敢えていまさら”な材の取り方は戦略として認めていいと思うけれど、『笑点』にしても先般の演芸大賞にしても、この人たちの名前を番組表で見たとき、録画してでもネタを見たいという気持ちにさせてくれる“何か”が決定的に欠けている。ここまで来ると島田紳助さんがずばり言っていた“好み”に尽きるかもしれませんが、決定的なものはどこまで行っても決定的。

片やオードリーは、形としては今回の決勝組の中でいちばん斬新だったかもしれない。しかし基本的にはボケ春日のキモ可笑し・キモ可愛キャラ芸なので、いかにも飽きられるのが速そう。この方向では『オンバト』常連組に限ってもイワイガワやハイキングウォーキング、スマイルなど枚挙に暇がありませんが、そういった一連のキャラ押しグループの中でも「一ネタ後、是非もう一本別のネタを見たいと思わせる」力において、頭ひとつ抜けているとは言い難い。なんか、お腹一杯感、「何本見ても一緒そう」感が生じてしまうのです。昨年のサンドウィッチマンの快挙で、敗者復活組からの最終決戦進出は注目されましたが、これまた“好み”の問題かもしれないけれど、サンドのようなシャイな可愛げ、愛嬌含みの山だし感が、オードリーって、ありそうでない。ナイツの“暗さ”同様、これもかなり致命的。

昨年春、NON STYLEがオンバトチャンピオンになったときにここで書いた記憶がありますが、日本人がTVのお笑い、特に2人以上の対話によって紡ぎ出されるジャンルである“漫才”に求めるものの第一は、良き“お祭り感”だと思う。TVドラマなら良き“非日常感”に相当する。巧さも、渋さ、斬新さも、これに先んじる要素ではない。可愛さやキモさにおいてをや。

お祭り、つまりは高揚感です。NON STYLEは今回の決戦参戦組中、この点で一歩前に出た。地元大阪の上沼恵美子さんや島田紳助さんが「彼らがこんなに(漫才が)できるとは」と驚いていた通り、ネタ番組以外でのレギュラーをすでに多数抱えていて、そこでの露出とのギャップ=高低差も、うまく高揚感に結びつけることができた。

あのダウンタウンも80年代に数々の新人タイトルをものにしながら、東京進出成功までには何度かの試行錯誤や巻き直しがあったように、大阪出身の芸人さんには、東京発全国区の番組で認められるというのは本当に悲願なんですね。昨年の『オンバト』におけると同様、NON STYLEはこういう、大阪由来の東京コンプレックス…と言って失礼なら、発射角度を誤れば嫌みやクサみになりかねないハングリー精神みたいなものを、お笑い瞬発力に変換するのが、本当に達者だと思う。彼らのネタをオンバトで初めて見たとき、元気良かった頃の「ビキビキ」ビッキーズを思い出したものですが、“ビッキーズのヤングでスマート版”と言ってもいい。

それにしても、昨年1年オンバトでチャンピオンに君臨、今年3月の防衛戦でも3位と堂々たる成績をおさめている彼らが、「フリートークはともかく、ネタはできる」との定評を、若手の芸ウォッチに熱心と聞く島田紳助さんにも得られていなかったらしいのは意外も意外。お笑いの本場・大阪でもこの程度の体温なんでしょうかね。“ブーム”に終わらない高原状態が続いていると思っていたお笑い界の、ひそかな冷え込みが垣間見られた気がします。若手芸人の露出の機会は多くても、必ずしもネタ披露のチャンスは多くないんですね。

最終決戦進出ならなかった組についても改めて書くとしましょう。

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