陋屋随想
夏服を納め冬服取り出して季節は移る矢車のうち
一人住む陋屋寒しこの秋も暦は急ぎ訪れて来て
我が庵は京の端なり秋はまた秋色尽くし庵まるごとに
律儀にも訪ねきて秋もみじ葉の狂想曲は鳴り響きおり
聞えない耳に狂いの歌響き急かされ行くかおちこちの道
もみじ葉を見たし見たしと願いおり泉下に持てるみやげにせむと
秋は来てキンモクセイも咲きおれど庭に風雅をとどめず落ちる
今宵しも望は輝く神さびてしかれど我を遠く捨て置き
常世にて父母まみえたか「みんま」の日せつなく願う親無しの子は
日輪も輝度を落として明け暮れの転がる坂で冬支度して
註 「みんま」とは愛媛県の一部地域のみに伝わる法事です。
その年に他界した人を悼んで11月もしくは12月の巳の日に
来世での正月として餅などを供えます。
私の母の「みんま」は来月ですが、もう法事の準備をしている
ため、今月に出すことにしました。