栄の風
雪を抱く山から降りる風寒く信濃栄は春まだ浅し
長い冬閲し桜や水芭蕉卯月終わりに萌えて咲きおり
栄にて積もる年月重ね来た我が血族に訣別悲し
栄村自然の中に伯母は生き日々の刻印しるして終える
四国伊予生を受けおり故郷を離れ栄に終える剛さを
時は行き人の命のはかなさにまだ熱き骨拾う悲しさ
亡き人を栄の風に偲びおり天翔けかけて伊予に向かえと
今はただ笑顔の満ちるかんばせにまたの世家にお逢いしたしと
繋がれる輪廻の糸を解きほぐし君の命に付き添いたしも
庵のある京の都に舞い戻る 栄の風が吹きすぎて行く
画像は苗場山