七回忌
部屋の中飾る写真に在りし日の時をとどめて満面の笑み
生きてきた歴史を秘めるかんばせに安らぎ受けてはや七回忌
巡る日は夢幻の世界奔り行く七つの年は瞬時に来たる
篁のごとく行き来を繰り返し異界通信折にふれ聞く
乗り継いで帰りし邑は濃い霧の幕の向こうにそっとたたずむ
棄てられたように静かな集落を囲む道路は新らしけれど
霧を抜け帰り着きたる育ち家に待ち人不在つのる寂しさ
宇和の海見下ろす墓所にたたずめば空晴れたまま小雨そぼ降る
棄てたのか棄てられたのか古里は世過ぎ身過ぎの道筋離れ
一抹の寂しさ孕み帰り着く梅雨のさなかの京の都に