年末恒例イベント「 ベートーヴェン 交響曲第9番 二単調 作品125 歓喜に寄す」を鑑賞。
東京芸術劇場
読売日本交響楽団
合唱:武蔵野音楽大学
小学5年生の時、学級の歌が「歓喜に奇す」(ドイツ語)だった私は、第九に特別な思い入れがある。カラオケの機種がUGAだったりすると、必ずこの曲を歌ってしまうほどに。
定時に上がり、第一楽章が始まる5分前に池袋到着。
久々に全力疾走した。
4楽章から成る第九。
第1楽章は個人的に好き。
第2楽章はティンパニーのリズムが面白くて耳が釘付けになる。
第4楽章は合唱があるから、当然テンションが高くなる。
(今回のコンサートでも、合唱とオーケストラのハーモニーが非常にマッチしていた。
特に低音の弦楽器の奏でる音が、合唱を優しく包み込むところで鳥肌が立った。)
問題は、第3楽章だ。
第3楽章が始まると、そのゆっくりした曲調からか、
「アルファ波」がホール全体にどっと散布される…気がする。
必ず睡魔に襲われる私である。
「オーケストラの演奏後、日本人は必ずすぐに拍手をしたり『ブラボー!』など叫んだりするよね。
最後の音と拍手の間の、あの無音の一瞬が良いのに。
もぅ嫌になってしまうよ。」
以前付き合っていた殿方が、呟いたことがあった。
マーラーが好きな彼とは、よくコンサートに行っていた。
そこで彼はよくそんな愚痴を述べた。
今の私なら「へぇ」と答えて、その場は終るだろう。
しかし、当時のキャピキャピした私は、一生懸命彼の言葉に耳を傾け、
その内容に、そして彼自身に追い付きたいが為、
「そうですよねー」と同調した。
本当は、大雑把な私にとって「一瞬の無音」なんてどうでも良いものだったんだと思う。
また、第4楽章の合唱は「おお、友よ、この調べではない!」という否定文から始まるということを教えてくれたのも彼だ。
「だからちゃんと前の楽章にも意味があって、それを無視して合唱だけを独立させるなんて無理なんだよ。」
…。
やっぱり今の私なら「へぇ…へぇ…」。
最高でも「2へぇ。」ぐらいしかあげられず、「銀の脳」にはほど遠い反応しかできないだろう。
しかし、何度も言うが、当時の私はキャピキャピだった。
したがって、
「安室奈美恵の『そんなんじゃないよ~♪』と同じですねー」
と答えた…。
そんな私の反応にも、困り顔で笑ってくれる寛容的な彼であった。
第九のコンサートに来る人々は皆幸せそうである。
「やっぱり、これを聴かなきゃ年を越せないよねー」
ロビーで、そう囁き合う年輩の夫妻や友達連れを尻目に、私は無意識の内に彼の姿を探してしまう。
彼は元気だろうか。
二人でよく来たこの場所で、ひと目だけでも見てみたい。
「へぇ」の反応しか出来なくなってしまった今の私を、
彼は「一瞬の無音」が流れる隙を与ずに、笑ってくれるだろうか。
東京芸術劇場
読売日本交響楽団
合唱:武蔵野音楽大学
小学5年生の時、学級の歌が「歓喜に奇す」(ドイツ語)だった私は、第九に特別な思い入れがある。カラオケの機種がUGAだったりすると、必ずこの曲を歌ってしまうほどに。
定時に上がり、第一楽章が始まる5分前に池袋到着。
久々に全力疾走した。
4楽章から成る第九。
第1楽章は個人的に好き。
第2楽章はティンパニーのリズムが面白くて耳が釘付けになる。
第4楽章は合唱があるから、当然テンションが高くなる。
(今回のコンサートでも、合唱とオーケストラのハーモニーが非常にマッチしていた。
特に低音の弦楽器の奏でる音が、合唱を優しく包み込むところで鳥肌が立った。)
問題は、第3楽章だ。
第3楽章が始まると、そのゆっくりした曲調からか、
「アルファ波」がホール全体にどっと散布される…気がする。
必ず睡魔に襲われる私である。
「オーケストラの演奏後、日本人は必ずすぐに拍手をしたり『ブラボー!』など叫んだりするよね。
最後の音と拍手の間の、あの無音の一瞬が良いのに。
もぅ嫌になってしまうよ。」
以前付き合っていた殿方が、呟いたことがあった。
マーラーが好きな彼とは、よくコンサートに行っていた。
そこで彼はよくそんな愚痴を述べた。
今の私なら「へぇ」と答えて、その場は終るだろう。
しかし、当時のキャピキャピした私は、一生懸命彼の言葉に耳を傾け、
その内容に、そして彼自身に追い付きたいが為、
「そうですよねー」と同調した。
本当は、大雑把な私にとって「一瞬の無音」なんてどうでも良いものだったんだと思う。
また、第4楽章の合唱は「おお、友よ、この調べではない!」という否定文から始まるということを教えてくれたのも彼だ。
「だからちゃんと前の楽章にも意味があって、それを無視して合唱だけを独立させるなんて無理なんだよ。」
…。
やっぱり今の私なら「へぇ…へぇ…」。
最高でも「2へぇ。」ぐらいしかあげられず、「銀の脳」にはほど遠い反応しかできないだろう。
しかし、何度も言うが、当時の私はキャピキャピだった。
したがって、
「安室奈美恵の『そんなんじゃないよ~♪』と同じですねー」
と答えた…。
そんな私の反応にも、困り顔で笑ってくれる寛容的な彼であった。
第九のコンサートに来る人々は皆幸せそうである。
「やっぱり、これを聴かなきゃ年を越せないよねー」
ロビーで、そう囁き合う年輩の夫妻や友達連れを尻目に、私は無意識の内に彼の姿を探してしまう。
彼は元気だろうか。
二人でよく来たこの場所で、ひと目だけでも見てみたい。
「へぇ」の反応しか出来なくなってしまった今の私を、
彼は「一瞬の無音」が流れる隙を与ずに、笑ってくれるだろうか。