世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

届きそうでつかめない いちごの様に

2013年11月01日 | Weblog
久々に華原朋美の「I'm proud」の歌詞を噛みしめた。

「I'm proud
 届きそうでつかめない いちごの様に
 甘く切ない事夜中思い浮かべてた」

「いちご」は最初「りんご」だった。
しかし「いちごがいい」と朋ちゃんが小室さんに言って、こうなったらしい。

いちごとりんご。
同じ赤い果物なのに印象がまるで違う。






・いちご…握るとつぶれる。
・りんご…高い所にある。硬い。


この歌詞の場合、雰囲気的なことを考えるとやはり「いちご」がぴったりではないだろうか。


夜、思い浮かべることは、手軽に口にできるものがいい。
りんごのように剥く手間が必要な「甘く切ない事」は面倒だ。
歯から血をダラダラ流しながら「甘く切ない事」を丸かじりするのも嫌だ。
「リンゴをかじるっと歯茎から血が出ませんか?」(By加山雄三)になってしまう。


睡眠に入る前の一瞬。いちごのようにポイっと口にできて、咀嚼をする度に、適度な甘酸っぱさが口内に広がるあの感じこそ、この曲に相応しいのだと今更ながらそう思う。



りんごは高い所にあるが故、背伸びしないと入手できない。
「届きそうでつかめない」から背伸びをする(努力)が必要。
「夜中思い浮かべ」るのに、背伸びは…難儀である。
その点、いちごは割と低い位置にあるのでりんごに比べれば楽に入手できる。
恋でも将来の夢でもなんでもいい。
それらの事を、いちごをちょろっと摘んで口に放り込むような感覚で思い浮かべる、そんなリラックスしつつも少しドキドキする夜こそ、あの歌詞のあの部分の世界なのである。

よって、「いちご」でよかったのだ。

そんなことを今日、喫茶店でぼんやりと考えてしまった。




5年間の空白期間に華原朋美は閉鎖病棟でもこの歌を歌っていたとのこと。
その事実は私の胸を締め付ける。


「I'm proud
 届きそうでつかめない いちごの様に
 甘く切ない事夜中思い浮かべてた」

この歌詞をどんな思いで歌っていたのだろうか。

かつて愛する人に与えてもらった「いちご」
スポットライトを浴びていた誇り高き「いちご」
いつのまにか消えていた「いちご」
もう届かないのかな…という不安や焦りでさぞかし辛かっただろう。

閉鎖病棟のベッドで泣きながら、「甘く切ない事夜中思い浮かべてた」華原朋美を思うと涙が出てくる。

そんな日々を乗り越えて、自身の「歌が好き。歌いたい」という思いを信じて努力をした結果、華原朋美は再び「いちご」を取り戻した。何事にも粘りが欠如している私にとっては見習うべき執念である。


最近の華原朋美を見ていると、彼女の掌に「いちご」が見える気がする。
かつての「いちご」よりも、瑞々しくてたおやかに実った「いちご」が。
誰から与えられたんじゃない、彼女自身が努力して手に入れた「いちご」が。

華原朋美 I'm proud (PV)



アメイジング・グレイスも良い。
済んだ歌声に涙腺が緩む。
華原朋美 - 「アメイジング・グレイス」MUSIC VIDEO





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