世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

わらべは見たり 野中の薔薇

2007年05月20日 21時04分51秒 | Weblog
有名なシューベルトの「野ばら」

わらべは見たり
野なかの薔薇
清らに咲ける
その色 愛でつ

高校1年の音楽の授業。
この歌をドイツ語で歌うテストがあった。
音楽の先生は「オギノ先生」。50代後半のおばちゃんだった。そんな彼女が、「野ばら」をお手本で歌ってくれた。
「♪レースライ レースライ ハァ~イデェ~ンっ」
あの迫力はいまだによく覚えている。
毎年、旧古河邸園で吉熊が薔薇を覗き込む度に彼女の歌声を思い出すぐらいだ。
オギノ先生は、学期末に生徒にCDを持参させ、その鑑賞会を催してくれた。
男子がtrfの「寒い夜だから」を先生に渡した。
オギノ先生は、言った。
こう、きっぱりと言い放った。

「今日は゛トリュフ゛の゛寒い夜だから゛をかけます」
と。

trfをどう読めばトリュフになるのだろうか。
でも堂々と発言していたから、きっと何か強い確信があったのだろう。

「トリュフだって…クスクス」
みんな小さく笑い囁きあっている中、「寒い夜だから」は教室に響き渡った。


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琴音

2007年05月20日 21時02分10秒 | Weblog
旧古河邸園に薔薇を見に行く。
洋館と薔薇…私の好きなものを凝縮した5月の旧古河邸園。
気分は「THE・お嬢様」
日傘を持つ手も何だかおぼつかない感じ。

どの薔薇も、絢爛に咲き誇っていた。
一番心惹かれたのは「琴音」という薔薇(画像参照)。
妖艶で儚いその花弁からは、かすかに琴の音が聴こえてきそうではないか。

純白の薔薇も深紅の薔薇も素敵だったが、今の私にはこの曖昧な色合いがピンときた。



雨音とキヲク

2007年05月20日 01時41分11秒 | Weblog
昼過ぎ、母親からの電話で目を覚ました。
携帯を耳に当てながら起きようとするが、体が動かない…。

電話終了後、煙草に火をつけてようやく覚醒。
外からは雨音が聞こえてくる。
読みかけの本を読了したあと、テレビをつける。
「高校生クイズ」の再放送に見入った。勝者敗者、どちらの涙も若者の特権だ。眩しい。眩しすぎる。
テレビを消したあと、高校時代の甘酸っぱいキヲクを引っ張り出す。

再び横になる。
外は相変わらず雨が降っている。
雨音しか聞こえないはずの部屋。
いや、雨音しか聞こえてほしくない。
…なのに、隣の部屋からはイチャつくアベックの声が聞こえてきてしまう。
幻聴ではない。
隣人は、毎週土曜日、部屋に連れてきた彼女とイチャつくんである。
毎週毎週。

高校時代の思い出と隣人のイチャつき声。

私は暫し考えた。
世の中の回転に乗り遅れている自分を。
しかし、格段、それを恥じたり焦ったりする気持ちが私にはない。
気力がないのだ。
毎週末、他人と接触したりする気力が。
こうして横になって思い出に浸っているだけならば、他人から肯定も否定もされない。
気持ちが安定し、安らかに一日を終えることができるのだ。
これが、高校時代の私が思い描いていた人生なのだろうか。
自ら問うてみても、何とも言えない。
そうかと言われればそうかもしれないし、そうじゃないと言われればそうじゃないかもしれない…。

雨音と隣人のイチャつき声を聞きながら、いつの間にか私は転寝をしてしまったようだ。
あの「高校生クイズ」に出場していた眩しい若者たちは、どんな大人になるんだろう。

寝起きの頭でそんなことを思った。


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ほっと一息

2007年05月18日 23時22分52秒 | Weblog
決算発表が終り、ほっと一息。あとは説明会を無事に終えるだけだ。
まずは自分にご褒美。途中下車して一人飲み。
冷たいジントニックが体に凍みる。最高のひとときだ。

今日は社長宅に書類を届けた。
玄関から見える居間。そこからは、あたたかな光が漏れていた。

「ありがとう」
そう言いながら手を差し出す社長。
彼の背後から漏れる居間の光にも負けないぐらいあたたかそうな指。
ゴツゴツとした、職人らしい指。
私は彼の指が好きだ。
きっと私には想像もできぬほどの苦労が、彼のあの指には刻まれているに違いない。

社会に出れば社長。
でも、あのあたたかな灯の下では、彼はお父さんであり旦那さんなのだろう。

「では、失礼します」急いで会社に戻る。

この乾いた喉にアルコールを注ぎたいと、ふと思った。

今宵の酒は絶対に美味しい…そう確信した。

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普通の日に

2007年05月17日 21時48分04秒 | Weblog
朝から大雨。
昼過ぎから晴れ。

初夏の眩しい光が、さっきまでの大雨は嘘だったんだと言わんばかりに降り注ぐ。

隣の建物に書類を届けに出かけた。

家々の花壇に咲き誇る花や葉。
被った雨の雫に太陽の日差しが反射してキラキラ輝いている。
空は青。
乾き始めたアスファルトの臭い。
爽やかな風。

水溜まりを避けながら五感で雨上がりを堪能した。

ふと何の脈略もなく「生きてて良かった」と思った。

こんな普通の日に。


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♪あの頃は~ハッ

2007年05月16日 23時17分17秒 | Weblog
心療内科デー。
風邪薬ストナのお陰でカウンセリング中の鼻水ボンバーは免れた。しかし、ストナの副作用だろうか、喉が渇いてしまい、困った。
声も鼻声というか、和田アキ子みたいな野太い声になってたし…。今、「古い日記」をカラオケで歌ったら絶対に高得点をキープできるであろう…ハッ!

とまあ、早く家に帰りたいモードであった。

今宵も
「最近どうですか?」
というクマ医師の声でカウンセリングがスタートされた。
ここ2週間の気持ちの浮き沈みをありのままに報告。
電子カルテに私の病状を書き込むクマ医師の様子を眺める。
見る度にクマっぽさが増していく。
今宵は、彼の顎に無精髭がザラザラと生えているのを確認できた。

この心療内科に通い始めてもうすぐ一年だ。クマ医師とは良い関係を築いてきたと思う。親にも言えぬことを話せる、私にとっては大切なヒトだ。

そんな彼との意見の食い違いを初めて感じた。
新部長降臨から私は会計関係の勉強を始めている。
私的に無理はしていないつもりなんだが、クマ医師的には反対らしい。
「もう少し気楽にいきましょう」
と、リラックマみたいなことを言うではないか。
せっかく強迫性障害とうつが改善してきたのに、生活リズムを変えることには賛同できぬということらしい。…ごもっとも。

「まぁ…無理しない程度にやります」
私は和田アキ子声で答えた。

今宵もパキシル、パリエット、ソラナックス、マイスリーを処方された。

もっと器用に生きられたらいいな、と思う。薬で脳の伝達物質を支配して、やっと私は人並みの生活を手に入れられる。感情、睡眠のコントロールも薬がないとできない。

そんな自分を情けなく思う…。


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茶碗3杯分の昔話

2007年05月16日 23時13分28秒 | Weblog
「昔はモテたな」
だいぶ以前に受信したメールを削除しながらそう思った。

「今度、ぜひ映画でも」
の「映画」が「食事」に変わっただけのメールが複数の殿方から立て続けに来ていた時期があった。
そう、あったのだ。


新宿の中村屋にて開催された某会合に、上司の代わりにたまたま出席した。名刺を交換し、その後、何通かのメールをもらったのだ。
23歳のあの時の私こそ人生ピークであったように思う。
何人かの殿方とは食事をしたが、何故か私が煙草を吸い始めると、途端に彼等の顔色がサッと変化する。そして、その後、我々の関係は発展することもなく終焉を迎えたのである。
そんな決まりきったパターンを何回か繰り返し、何事もなかったように静かな日常に戻った。そして今に至る。

煙草の煙はある意味、男避けの蚊取線香である。
女性の喫煙を嫌がる殿方が多いという現状がある限り、この理論はあながち間違いではないと思う。

もはや私と煙草は切っても切れない関係にある。
そのことを隠蔽しつつ殿方と付き合いを続ける自信はない。

あの頃の私は、煙を嫌がり去っていった殿方の背中に切ないという感情をぶつけていた。
「もしかしたら、損したかな?」
ぐらいのことを考えていたと思う。

しかし、今は違う。
超自分主義。
もー、我慢とか忍耐とか無理。したいようにしたい。

一番強烈な男避け蚊取線香は、煙草の煙ではなく、私の生き方がにじみ出ているオーラなのであろう。

いいんだ、別に。
「昔はモテた」
その思い出だけで、茶碗3杯はいけるから。

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風邪のプレゼント

2007年05月15日 22時37分25秒 | Weblog
目の前の席にいる吉熊上司から、風邪のプレゼント。
鼻水ボンバー…。そして微熱。
煙草が不味い…これ、一番切ない。

決算発表前、経費分析、制服の件で忙しい。それに明日は心療内科デー…。

今宵はストナとリポビタンスーパーを服用して、さっさと寝てしまおう。

おやすみなさいまし。

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玉入れの籠

2007年05月14日 23時01分59秒 | Weblog
言葉にできない、この気持ち。
でも、できるだけ言葉にしてみよう。

色々と考えなければいけないことが次々と押し寄せてくる。

まるで運動会の玉入れの籠になった気分だ。
…しかも小さめの。
だから私に色々任せてくれる…玉を投げ入れてくれた人のがっかりする様子が怖い。
競技の最後、玉を数えている人々の、私を見る視線が嘆いているを直視できない。

つまらないことで悩んで頭が痛くなる私って、いったい何なんだろう…。

私にはあの仕事、向いていないのかな。

できるならば、どんな玉でも飲み込みたい。
飲み込んで平気な顔をしていたい。
…なんていう前向きさは、今の私にあるかないのか、それすら判断できぬ。

でも…
大丈夫。

ただちょっと疲れただけだから。

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母の日

2007年05月13日 21時58分04秒 | Weblog
衣替えをした。
半年以上前にしまった夏服と再会する。
「ああ、こんなワンピースあったっけ…」
などブツブツ口にしながら手を動かす。
手持ちの洋服を把握しつつ、買い足すものをあれこれ考えるのは楽しい。
脳が購買意欲に満ちたので、夕方、さっそく池袋に赴く。
デパートをぶらぶらしていたら、母親から着信アリ。
彼女は携帯電話を解約すべきか否かを悩んでいるらしい。
買い物を邪魔された苛立ちで
「自分でよく考えてみれば」
と冷たく言ってしまった。
「じゃあ、よく考えてみるよー」
という母親の声を聞き、電話を切った。

気持ちが一気に萎えていった。萎えるどころか、もう何もしたくなくなった。
買い物どころではない。
自分は冷たい娘だという自己嫌悪が胸を締め付ける。心が苦しい。…でも歯ぎしりしたいぐらいイライラする。
生憎、ソラナックスを忘れてしまったため、薬に頼ることができない。
喫茶店で気持ちを落ち着けて、買い物再開。
カーネーションの特別販売がそこらかしこで開催されていた。「母の日セール」のPOPもよく目に着く。そして、今日が「母の日」だということに、私はようやく気づいた。

物欲がなくなった母親には、物ではなくて旅をプレゼントしたいと思っていた。
だから母の日のプレゼントは、夏恒例の現金プレゼントとの抱き合わせでいいかな?と意思確認をしたのは先週の連休だ。
「ありがとう。うれしー」
という先週の母親の笑顔が頭をちらつく。
携帯電話を取り出し、即座に実家に電話をする私。
「今日さあー、母の日だったよね?ごめんね。さっき気付かなくて…」
と言う私に母は、いかにも寝てました…というような声で
「はぁ…うん。むにゃむにゃ」
と言った。

なんだかどっと疲れた一日だった。
購買意欲も、サティのピアノ作品集のCDと林真理子先生の新刊「グラビアの夜」を手にしたら満足してしまった。…洋服購入には至らず。

まあ、そんな日もあるわな。
明日になれば、今日の不快感なんてお互いに忘れているに違いない。
そこが我々母子の良いところである。

今宵はサティを傍らに、読書をして過ごそう。

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今日の日は記念日

2007年05月13日 01時43分41秒 | Weblog
大学時代の友達兼マイミクのハナ殿と飲み会。
ハナ殿は、高校教師。
彼女の元同僚であるA先生(殿方)と吉熊とで飲んだ。
いやー。緊張した。
初対面の、しかも素敵な殿方とお酒を飲むだなんて…!
久々にドキが胸胸した。
A先生に手相を見てもらう時なんざ、「ひっさびさに殿方との肉体的接触を果たした…今日の日は記念日~♪」って、脳内でユーミンが歌っていたからね。
どんだけ男日照りが長いんだっちゅう話。

そんなA先生の左手中指には絆創膏が貼付してあった。ささくれを剥いてしまったらしい。
なんだか可愛いらしかった。すかさず写メ。

今宵の飲み会のプロデューサーはハナ殿。
A先生と私のブローカーをしてくれた。

そんな彼女が好き。
…終電が来るまでずっと、駅で手を繋いじゃうぐらいに。


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星の光

2007年05月12日 15時50分28秒 | Weblog
昨夜の星空は、真冬の如く綺麗だった。
一昨日から昨夜の宵の口まで続いていた強風が空気中の塵を吹き飛ばしたからだろうか。
東京で輝く星を見る機会は本当に少ない。

昨日は、小学校時代からの友達兼マイミクのmica殿と飲み会@上野。
会うのは8年ぶり。

彼女とは小学校3、4年生のときに同じクラスだった。

聡明で寛大。尚且話題がワールドワイド。淡々とした口調、そしてスパイスの効いた表現力。
美味しい刺身と楽しい話で和んだ。

以前、マカロンを食べたことがないとこのブログに記載したことがあった。
mica殿はそのことを覚えていてくれ、マカロンのお土産をくれた。
ジョヌ・デ・アトリエのマカロン。表参道にあるお店のようだ。
今、これを書きながら吉熊とマカロンを食しているんだが、かなりトレビアーンな食感!美味しい!

夜空に輝く星は、広大な宇宙に当たり前のように存在しているふうに見える。
しかし、光を放つ一つ一つの星は、壮大なエネルギーを秘めているに違いない。

久々に会ったmica殿から、それと似た広く強い光を感じた。


それにしても、マカロンは美味しい。
この世にこんな美味しいものがあるだなんて。

mica殿。
ごちそうさま。
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夏心

2007年05月10日 22時18分00秒 | Weblog
画像は、先の連休で訪れた森林公園。
緑のグラデーションが本当に綺麗だった。
早いものであれから一週間が経つ。

気分的にはもう株主総会を越えて、次の連続休暇である「夏休み一人旅With吉熊」に向かっている。

夏になると恋しくなるあの場所、…広島県尾道市。

旅の準備をするのは楽しい。
尾道関連の旅行本だけでも5冊所持している。
それらをパラパラ捲っていると、イメージが膨らむ。
今年の旅のコンセプトは何にしようかな。
(昨年の旅は、自分の現在・過去・未来の模索がコンセプトだった。その名も「トリロジーの風に吹かれて」)

路地裏のノスタルジーを夢見て、明日も頑張ろう。

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恋愛株主

2007年05月09日 21時43分18秒 | Weblog
あなたの長期フォルダーになって、もう、どのぐらい経つのだろうか。

成長性や割安さなんてどうでもいい。

デイトレのように売り買いできぬ無器用な私だから、日々、あなたのチャートや開示を見ては一喜一憂するだけ。
秘めた想いをタンス株券として、心の見えない場所に隠し持っているの。

もう少し綺麗で、
もう少し若かったなら、
私はあなたを買い占めたい。

「そんなの不毛なことだよ」
と友達は笑う。

それでもあなたという銘柄を損切りできぬ私は…夢見る株主。


…なんてね。



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小股の切れた…

2007年05月08日 22時01分34秒 | Weblog
夏日を思わせるような気だるい午後。
隣の建物に書類を届けるため外に出る。

会社の前は公園になっている。
連休前より、樹木の緑が一層濃くなったと思う。
ライラックの強い香りを鼻孔に感じつつ歩いた。


この時期、私のハートを擽るのは殿方の腕である。
捲られたワイシャツの袖からちょろっと見える腕。

その昔、殿方が肌の露出が少ない芸者を見定めるとき、踵の形の良し悪しを判断材料としたらしい(「小股の切れた女」の所以)。

踵の形を見て色々妄想していた当時の殿方のような趣味を私は持っていないが、でもワイシャツの袖から出ている腕を見ると萌えてしまう。
半袖では駄目。
羽田さんが普及しようとしていた省エネルックでも駄目。

長袖ワイシャツから出ている腕が良い。
仕事していて邪魔だからさりげなく捲ったんだ…という無邪気さかつ無意識が作用した雰囲気があれば、もっと良い。

ここまで書いて気付いた。
私は殿方の腕そのものに萌えているのではない。
きっと真剣に仕事に取り組む殿方に好意を寄せるんだ。

だったら、半袖や省エネルックでもいいじゃないか?

…うーん。
やっぱ違う。
違うんである!
強いて言うならば、やはりチラリズム効果だろうか。

これ、強い。

見えそうで見えない。でも、ちょっとだけよ~みたいな。

って、こんなこと考えているOLなんてそんなにいないだろうな。


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