里山

2005年12月02日 | 出来事 -
今夜の段階で・・・
やっと父の精神状態は、落ち着いてきた。

昨日の午前中は、本当に「どうしようか」と思ったけれど・・・
どうにか“いつもの状態”になってきたようだ。
(ふぅ~、ヒヤヒヤしたなぁ)

阿波踊りを一緒に踊ったヘルパーさんは、父の内在するものを引き出してくれた。
そのために結果として「徳島スイッチ」が入ってしまったけれど、それはある意味では
ヘルパーさんが“素晴らしい仕事をしてくれたからだ”とも言える。

昨日は、その彼女を前に、父は興奮状態で不平不満を叫んだ。
「叔母は迎えに来ない。もう信用できない」「お前も信用できない」などなど・・・。

あまりにも大きな声でどなったので、私自身もかなり“あたふた”としてしまった。
“危ない”と判断した私は、すぐに精神安定剤を飲んでもらった。
(そうしないと、ストレス状態で、胸が苦しくなってしまうのだ)
「薬は毒じゃ~」と叫びながら、父はどうにか服薬してくれた(ので、よかった)。

そして、ヘルパーさんに話題を変えてもらうように頼み、私はそそくさと外出したのだ。
何故なら、父が激しく反応して、攻撃してくるのは“私だけ”だから・・・。
親子の甘えだろうか。
私以外の人に、父が悪態をつくことは、ほとんどない。
本来の父は、生真面目で穏やかだから、暴力性などはまったくない。


しかし、私は・・・外出したものの、心配で心配で・・・
「どないしようか」と思った。
アポが午後からだったので、それまで「どうしようか」と・・・悩んでしまったが・・・
すぐに帰宅できる場所に短時間だけでも身を置いて、“その後の結果”を聞こうと決めた。
それだけ、心配だったのだ。


それで、(私自身もストレスをためて、かなり疲れていたので)
すっきりするために、自宅から徒歩10分ぐらいの「里山」に入って行った。
厳密に言うと、「森の中に泣きに行ったのだ」。
お天気の良い一日で、日差しも心地良く、紅葉も美しい色合いを呈していた。
しばらく歩いて、山に押し入って、「さぁ、ここいらで泣くかなぁ」と思っても・・・
泣けなかった。

    ~えっ、どうして?~

いつもなら、すっきりと泣けるのに・・・。
昨日は、一粒の涙も流れず、心が乾ききってしまったような感じだった。
~凍り付いてしまっている~
ある意味で、「ヤバイ!」―そう思った。

仕方がないから、泣くのをあきらめて(笑)、行き交う人と挨拶を交わしながら、
里山の自然を精一杯浴びるように歩いていた。
そのときだった。
下界から、一匹の犬の遠吠えが聞こえてきたのだ。
「キュィ~~ン」「ウゥ、クィ~ン」
しぼり出すような鳴き声で、あまりにも切なかった。
それは、私の胸に、するどく刺さるような哀しい鳴き声だったのだ。

やがて、鎖につながれた犬の様子が頭の中に浮かんできて、
意味もなく「どど~~っ」と、とめどなく涙が溢れてきた。
「縛り」という状況の中で、切なく遠吠えをしている犬の姿が、
今の自分自身とダブったのだろうか。
瞬時に、自分の姿をかさねたのだろうか――。
それとも、つながれた犬の気持ちを、勝手に想像して、切なくなったのだろうか。

どちらにしても、
私自身は思いっきり泣いて、泣いて、泣きあげて・・・すっきりとした!
あの“切ない犬”に「感謝」である。

カサカサと落ち葉を蹴散らして、一歩一歩踏みしめるように歩いていく。
歩みをすすめていくうちに、頭の中はすっきりと澄んでいくような感覚になる。

ちょうど一時間の里山散策だったが・・・
やっぱり「山は最高だ」。
父の問題も、私自身の人生も、すべて“どうでもよくなってくる”。
不思議だなぁ。
自然の中に、吸い込まれていくような感覚―同化していくようなイメージだった。

「辛いときには、里山に限る」・・・これこそ究極のストレス解消法である。

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