集団的自衛権行使容認に向けた有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が、海上交通路(シーレーン)を共同防衛するオーストラリア軍や韓国軍が第三国から攻撃された場合、「自衛隊による反撃を認める」方向で検討するという。産経新聞のインタビューでそのリーダー柳井俊二元駐米大使は、「憲法9条で集団的自衛権は放棄していない」と主張。いつの間に、どうして、そんな解釈がまかり通るのか。豪韓両国の艦船防護について「豪州や韓国は同盟国ではないが、非常に緊密な関係にある。(集団的自衛権行使は)まったく当たり前の話であって心配ない」という。心配ないって、自分から言い出しているんだから、当然そうでしょうよ。集団的自衛権行使を認めることにより、シーレーン防衛・海賊対策で外国籍のタンカーなどを守る必要があるという、屁理屈という以上の、ためにする無理矢理な展開も出てきて、ついには公海上で米艦船が攻撃された場合は、自衛艦が「離れた場所にいても防護すべき」だと。どういう意味だその「離れた場所」というのは。それは「世界中どこでも」というふうに恣意的に広げられるということなのか。「せめてグアムぐらいは守ってくださいと米国がいってきたら、憲法上はできる。政策的にやるかどうか判断すればいい」と言い放った。「憲法上はできる」って、ちょっと前までは明確に「憲法上ではできない」だったはずだ。「集団的自衛権」を大前提にした構想が平然と語られるこの現実には、眩暈がする。今の若い人たちに言いたい。これは「常識」なんかじゃない。こんな論議はそもそも存在し得なかったんだよ、と。前提のハードルがどんどん下げられているこの現状の歪みをどう伝えていけばいいのか。……稽古場以外でもやることが多すぎる。問題山積。ともかく向かっていく。
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