森友学園をめぐる決裁文書の改ざんを命じられたことを苦に自ら命を絶った、財務省近畿財務局職員だった、赤木俊夫さん。
妻の赤木雅子さんが2021年に財務省や近畿財務局が検察に任意で提出した文書などを開示するよう求めたが、財務省側は文書が存在するかどうかも明らかにせず「文書不開示」とした。
国の決定に対し、捜査の関連資料を開示するよう求めた裁判で、本日、大阪高裁は、不開示とした国の決定に対して、あらためて「取り消し命令」を出したのだ。
雅子さんが控訴し、高裁にあがっての、逆転判決である。
法廷内で拍手が巻き起こったという。
これで赤木俊夫さんが、どのような指示系統で改ざんを強いられたかが明らかにされる。
これ以上無駄に時間を費やすべきではない。国は上告せず判決に従うべきである。
一昨年9月、大阪地裁は「将来の刑事事件の捜査に支障が及ぶ恐れがある」として訴えを退けていた。
国が「見せない」「出さない」と決めることが、誰の利益になるのか。
再発を防ぐことこそ、国民の利益であり、弱者である、労働する現場人を守ることになる。
公文書の開示のあり方じたいが見直されていく契機ともなる、記念すべき判決として、評価すべきである。
財務省の調査報告書では、安倍元総理の「私や妻が関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員も辞めるということをはっきりと申し上げておきたい」という国会答弁の後、当時の佐川宣寿理財局長が近畿財務局に決裁文書の改ざんを指示したとされている。
間に立つ官僚たちも「歯車」だから責任をとれないというのは、おかしい。
何よりも、真実を明らかにするのを遮ることが、正当化されてはならない。
財務省や近畿財務局が検察に任意で提出した文書などが開示されれば、そうしたメカニズムが白日の下にさらされれば、再発を防ぐことに繋がる。
俊夫さんの無念を晴らすためにも、きちんと裁かれねばならない。
写真は、『拝啓天皇陛下様 前略総理大臣殿』、2020年上演。
左より、円城寺あや、杉山英之。
撮影・姫田蘭。
同作は、半分は、岡山出身の作家・棟田博の代表作『拝啓天皇陛下様』に基づいている。かつて渥美清主演・野村芳太郎監督で映画化され、「国民的喜劇」として成功を収めた。棟田博氏は私の遠い姻戚である。『拝啓天皇陛下様』を劇化することが、私の永年の夢であった。
左より、円城寺あや、杉山英之。
撮影・姫田蘭。
同作は、半分は、岡山出身の作家・棟田博の代表作『拝啓天皇陛下様』に基づいている。かつて渥美清主演・野村芳太郎監督で映画化され、「国民的喜劇」として成功を収めた。棟田博氏は私の遠い姻戚である。『拝啓天皇陛下様』を劇化することが、私の永年の夢であった。
『拝啓天皇陛下様』の愛読者である、現代を生きる官僚が、「玲和」を迎える世の「生きにくさ」「宮仕えの辛さ」を、かつての時代に思いを馳せながら耐えていく物語であった。
そう。その官僚のモデルが、赤木さんだったのだ。
二日前のフジテレビのロングラン会見についても毀誉褒貶があるだろうが、少なくとも「真実を知る」ことを求めることが正当であることは、確かめられたと思う。
「真実が味方してくれる」と信じれば、死を選ばずにすんだはずの人たちが、いるのだ。