Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

犬猫会 『トップ・ガールズ』は、26日 (日)まで

2025-01-25 | Weblog
私の演出助手を何度かしてくれている文学座の水野玲子さんが演出する、犬猫会 『トップ・ガールズ』が、入谷のSOOO dramatic! で、上演中。
26日 (日)まで。

出演は、石村みか、いまい彩乃、及川詩乃、下池沙知、seico、名越志保、山下智代。
全員が健闘している。

『トップ・ガールズ』はキャリル・チャーチルの代表作。
今回のテキストは、常田景子さんの新訳。
初演からもう40年が過ぎているという。

開演前に「写真を撮ってSNSで広めて下さい」ということなので、そういたします。写っているのは、ウェイトレス役兼任の、山下智代。

ロンドンのキャリアウーマンの役員昇進パーティーに、歴史上や文学、絵画の世界で名を残した古今東西の女性たちが続々集い、宴を始める、という設定。
「世界中を旅した女性探検家、イザベラ・バード。日本の帝の寵愛を受けたが尼僧となった、二条。ブリューゲルの絵に描かれる女傑、フリート。男装し法王の地位を得た、ヨハンナ。「カンタベリー物語」に登場する従順な妻、グリセルダ。時空を超えて集う女たちの弾丸トークに、本音が見え隠れする」という、紹介あらすじの通り。
ただ、物語はその後、キャリアウーマンの職場、家庭と、現実世界に場面を変えて展開してゆく。

「パーティー」場面、とてもがんばっている。登場人物全てのセリフが聞き取れることに安堵するのは、セリフが聞き取れない出演者が多い若者たちの芝居を、さいきん何本も見てしまったからでもあるかもしれないのだが。ただ、「パーティー」という特殊な場面なので許される、という部分がある。そこをどこまで自覚的にできているかどうかを本気で考えると、俳優にとってはハードルの高い芝居だ。それでも、がんばっている。というか、押し切ってくれる。それは、良いと思う。
不思議な上演会場だが、ステージングも果敢に挑戦している。

私なんかは戯曲じたい「パーティー」だけで芝居にしてしまった方がいいのではと思ったりするへそ曲がりなのだが、現実世界の物語になってくると、見せ方が難しい。というか、現実世界であることに説得力を与える「リアル」が必要になってくるので、演技スタイルも変わらなければならない。相手役のセリフが全部聞き取れていないといけない。リアクションのためのスイッチは全て書かれているからだ。かっちりとした常田景子訳ゆえに、きちんと演じることが要求される。「パーティー」とは違うリアリティーが求められる。手強い戯曲である。真摯な俳優どうしの関係は、本番を重ねるごとに、より深まってゆくのではないかと思う。

一年後には、水野玲子演出作品を、プロデュースします。
私の戯曲ではありません。
詳細は、まもなく公表します。

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