『主戦場』は観るべき映画だ。
日系アメリカ人で YouTuber でもあるという監督が、「慰安婦問題」を捉えたドキュメンタリー。
「両論併記」的に始まるのだが、筋道を確実に通してゆくことで、とくに後半、結果として方向性が導き出され、「真実」であり「現状」を浮かび上がらせることに成功している。ある意味、当然のことをやっているようだが、独自の手法でもある。
この国に住んでいる人間たちが、いかに現実を見ないか、あるいは見過ごす振りをして誤魔化しているかを、あらためて思わざるを得ない。
この国の大マスコミは、日本会議の存在を批評的に扱えずにいるし、昨今の神社等の国家主義の流れの異様さを正当に批判できてもいない。個々の人間も、また然りだ。少なくとも言挙げすることから始めなければ。
監督・脚本・撮影・編集・ナレーション = ミキ・デザキ MIKI DEZAKI
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以下は、11月に加筆。
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川崎市の妨害と映画祭の蒙昧によっていったん上映中止に追い込まれたが、『主戦場』の〈しんゆり映画祭〉での復活上映が決まって、それはめでたい。
10月以来の騒動は、「表現の自由は守られた」「表現の自由を妨害することは、必ず市民・表現者によって粉砕される」という教訓として、記憶されるべきだ。
今後、表現の自由を守る側が検閲する側に対して「しんゆりと同じことになっていいのですか。表現の自由を守る人たちが黙っていませんよ」と抑止力として言えるだけの成果を、きょう、『主戦場』の上映の盛り上がりによって、より確実に獲得できたら、すばらしいことだ。
この件で尽力された皆さんに、感謝します。