Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

第25回劇作家協会新人戯曲賞 受賞作 は、『泳げない海』三吉ほたて

2019-12-16 | Weblog

第25回劇作家協会新人戯曲賞 受賞作は、三吉ほたてさんの『泳げない海』と決まった。

私は今年は一押しできる作品がなく、初動では、奥村千里『Gloria』、方丈栖『郊外組曲』、三吉ほたて『泳げない海』の三作がほぼ同格、という感じで審査会に臨んだ。最終的に『泳げない海』を推した。

作者の三吉ほたてさんは長編第一作で受賞の快挙。授賞式後に話していたら、なんと思いがけず拙作『屋根裏』について、「(自分が)戯曲を読んで演劇というものがわかったという気がしたのは、唯一『屋根裏』です」と言われて、びっくり。ありがたいことである。『泳げない海』と『屋根裏』には相似部分はないのだが、何らかの意味で彼女の背中を押せたのであったら、よかった。自分がやってきたことは間違っていなかったんだ、と思えるのは、幸せなことだ。

在原彩生さんの『月漸く昇る』も、日本の「女性史学」の創設者・高群逸枝を調べられる限り調べ尽くす細やかさで描いた作品として、印象を残した。というか、今年の審査会のことは未来に「あの、高群逸枝の作品が出た年」として語られることだろう。

審査員の皆さんも初司会の横山拓也さんも、お疲れ様でした。

 

この、第25回劇作家協会新人戯曲賞・最終候補作全文掲載の「優秀新人戯曲賞2020」は、全国の書店でお求めになれます。

「優秀新人戯曲賞2020」(ブロンズ新社) 1900円+税

収録作品 第25回劇作家協会新人戯曲賞 最終候補作品 (応募戯曲到着順)

『宮城1973 −のぞまれずさずかれずあるもの』 大西弘記 (神奈川県)
『月漸く昇る』   在原彩生 (千葉県)
『Gloria』      奥村千里 (東京都)
『郊外組曲』    方丈栖 (愛知県)
『泳げない海』   三吉ほたて (神奈川県)
『盲年 (もうねん)』 藤井颯太郎 (京都府)


[最終審査員] 坂手洋二 篠原久美子 瀬戸山美咲 佃 典彦 土田英生 マキノノゾミ 渡辺えり

[司会] 横山拓也

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日本劇作家協会は「自由な創作表現活動に関する要求書」に賛同します

2019-12-16 | Weblog

日本映像職能連合加盟8団体「自由な創作表現活動に関する要求書」への賛同ついて    

一般社団法人 日本劇作家協会は、日本映像職能連合加盟8団体が文化庁長官に提出した、「自由な創作表現活動に関する要求書」(2019年12月11日付)に賛同いたします。

文化庁長官

宮田亮平殿

 

自由な創作表現活動に関する要求書

 

「あいちトリエンナーレ」への助成金不交付に始まる一連の出来事、映画『宮本から君へ』への助成金取り消し、KAWASAKIしんゆり映画祭の映画『主戦場』上映中止騒動、オーストリア・ウィーンで開催された展覧会「ジャパン・アンリミテッド」に対する外務省の友好150周年事業認定の取り消し、三重県伊勢市展の慰安婦像使用作品の展示不可等、憲法21条に保障された「表現の自由」が踏みにじられつつある現状を、我々は深く憂慮しています。

 とりわけ、2019927日付の「文化芸術振興費補助金による助成金交付要綱」の改定は看過出来ません。

内定や交付の取り消しの条項の一つとして「その他この要綱又はこの要綱に基づく定めに違反したと認められる場合」と記されていた部分に、

「その他公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」

という文言が付け加えられました。

 この文言により、「公益性の観点」という極めて曖昧な指針で、申請の段階のみならず、内定後や事業終了後でも交付の取り消しや助成金の返還を要求することが可能となりました。

 また、令和2年度の助成金募集案内には『不正行為等に係る処分』に、

「助成対象団体が団体として重大な違法行為を行った場合や、助成対象活動に出演するキャスト又は製作に関わるスタッフ等が

犯罪などの重大な違法行為を行った場合には、『公益性の観点』から助成金の交付内定や交付決定の取消しを行うことがあります。」

と新たに付け加えられています。

 何をもって「重大な」違法行為とするのか、キャスト又は製作に関わるスタッフ「等」の範囲はどこまでなのか、過去の違法行為にも遡及するのか等、明確な基準が示されないまま、拡大解釈や恣意的運用ができる文言です。

 文化芸術基本法の前文にはこう書いてあります。

「文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心の繋がりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受けいれることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。」

 この理念に立ち返り、自由な創作表現活動を妨げる可能性がある助成金交付要綱の改定、ならびに助成金募集案内の改定の撤回を要求します。

 

   20191211


http://www.jpwa.org/main/statement/approval191215

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どの口が言っているのだろう

2019-12-15 | Weblog

安倍総理による、驚天動地、史上最悪、厚顔無恥の発言を、動画で見た。

「昨年はモリカケ問題、今年の春は統計問題、この秋は桜を見る会。政策論争以外に審議の時間が割かれてる事を、国民の皆さんに申し訳なく思っています」

ほんとうにそう言っている。

どの口が言っているのだろう。

誰のせいで国会審議が進まないと思っているのだろう。そもそもちゃんと開いてさえいない。

自分がやって来たひどい行いをことごとく非難されている現実があるのに、言いがかりを掛けられたためにそうなっているかの如く嘯く。いったい誰のせいに転嫁できるというのだ!

 

これから、「開き直り」という言葉を辞書で引くと「安倍晋三の妄言」と出るように、辞書を変えないといけない。

これから、「盗っ人猛々しい」という言葉を辞書で引くと「安倍晋三の譫言」と出るように、辞書を変えないといけない。

これから、「自分に落ち度があるまさにそのことを、それを批判することで誤魔化そうとする」という概念を辞書で引くと、「安倍晋三の偽言」と出るように、辞書を変えないといけない。

 

許しませんよ。

 

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『憲法くん』、ラップのシーンがあるというのは、ほんとうです。

2019-12-14 | Weblog

『憲法くん』ラップのシーンがあるというのは、ほんとうです。

演劇は、なんでもあり、なのです。

総合芸術、ということでもありますが、お客様と一緒に作り上げるものだから、です。

ラップという表現は、知己の梶原阿貴さんシナリオ担当の日本初のラップ映画『WALKINGMAN』を見てもそう思ったけど、一人でぶつくさやっている時間が聴衆を前にしたときに「表現になる」ということが徹底していて、そこは極めて演劇に近い部分があるのです。

俳優たちは楽しんでいますが、決して「ノリ」でやってはいけない、ということも、一般的な印象と違って、やってみていて面白いところです。

…… …… …… …… …… …… 

 

演劇版『憲法くん』は、ただいま伊丹公演中(明日まで。今夜7時の回は余裕あり、見やすくなっています)。

このあと、岡山、名古屋でも公演します。

年の瀬のせわしい季節ではありますが、お近くの方、ぜひ、お越しください。
 

[ 伊 丹 ]12月13日(金)〜15日(日)AI・HALL

[ 岡 山 ]12月17日(火)岡山市立市民文化ホール

[名古屋]12月19日(木)・20日(金)愛知県芸術劇場

 

http://rinkogun.com
 
撮影・姫田蘭。
 
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「桜を見る会」が安倍首相の総裁選に向けた党員票固めに使われていた。トランプを弾劾追訴したアメリカに続け!

2019-12-14 | Weblog

毎日新聞によれば、自民党が総裁選を5カ月後に控えた昨年4月、都道府県会議員を対象にした研修会を東京都内で開催し、希望者を翌日の「桜を見る会」に出席させていたことが、関係者などへの取材で判明したという。毎日新聞が自民党都道府県連などに確認した調査では、少なくとも大阪や岐阜で「研修会に出席すれば『見る会』に出られた」との回答があった。党内から「総裁選に向けた党員票固めだ」との指摘もあったといい、安倍晋三首相の桜を見る会の「私物化」が、改めて浮き彫りになった形である。

「希望すれば見る会に出席できる」「奥様も一緒に」と呼び掛けられていたともいい、3選を目指す安倍首相の陣営が、党員票に直接働きかけることができる地元議員らを「招待」したとみる関係者もいたと聞く。これはもうどこからどう見ても「公共行事の私物化」のみならず、「税金の個人目的利用」であり、会計検査院が調べなければならない事案のはずなので、名簿はもちろん資料は全て出させるべきだし、前日の宴会の計算書も開催場所のホテルが持っていると自分から言っているのだから、提出させない方がおかしい。安倍総理の議員資格は剥奪されるだろう。

米議会下院の司法委員会は、「ウクライナ疑惑」でトランプ大統領を弾劾訴追する決議を野党・民主党の賛成多数で可決した。トランプ氏が大統領再選のためにウクライナ外交を悪用した「権力乱用」がちゃんと告発されている(2020年の大統領選で優位に立つため民主党の有力候補バイデン前副大統領について不正調査をするようウクライナ政府に働きかけた)。弾劾調査に協力を拒否した「議会妨害」も根拠に明記されているという。合衆国憲法が規定する政権監視の役割が果たせなかったということが根拠だという。

安倍総理が野党の追及に答えないことも「議会妨害」にあたり、もちろん日本国憲法に違反している。

 

現在上演中の舞台版「憲法くん」には、「来年開催される桜を見る会」が登場します!

演劇版『憲法くん』は、ただいま伊丹公演中(明日まで。今夜7時の回は余裕あり、見やすくなっています)。

このあと、岡山、名古屋でも公演します。

年の瀬のせわしい季節ではありますが、お近くの方、ぜひ、お越しください。
 

[ 伊 丹 ]12月13日(金)〜15日(日)AI・HALL

[ 岡 山 ]12月17日(火)岡山市立市民文化ホール

[名古屋]12月19日(木)・20日(金)愛知県芸術劇場

 

http://rinkogun.com
 
撮影・姫田蘭。

 

 

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おそるべき店名に、たまに出会う

2019-12-13 | Weblog

本番前で落ち着かないので気分転換の投稿。

関西のラーメン店、恐るべし。伊丹公演の宿舎近くで見かけた。「ノーカントリー」という店名だ。ほんとうに意味がわからない。無国籍ラーメンということか。コーエン兄弟の映画に憧れたのか。もちろん入って確かめる勇気は、ない。

おそるべき店名に、たまに出会う。

昨年末高松で遭遇した、ゴッドハンドという名の讃岐うどん屋。自らゴッドハンドを名乗るのはすごいと思ったが、それに負けないインパクト。ゴッドハンドという名の讃岐うどん屋は、しかし、「地上最強のうどん屋」を名乗り、「しっかり手で捏ねた」という意味はあるはずだから、まだ根拠はあるのだが。

https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/769928d5e565ad5d63f9b0dc2d7ae245

とにかく目の前のこととなんの関係もない書き込みをしてみたかった今の私。 

 

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伊丹アイホール、舞台版「憲法くん」、本日初日です。

2019-12-13 | Weblog

伊丹アイホール、舞台版「憲法くん」、本日初日です。

客席つくりました。場当たりをして、本番前の稽古をして、初日に備えます。

 

本日13日(金)19:00 ・ 14日(土)14:00/19:00 ・ 15日(日)14:00  

http://rinkogun.com/Kenpo-kun_Itami.html    

 

なにしろ、「憲法くん」です。  

ふだん演劇と馴染みの薄い方も、ぜひお誘いください。  

お待ちしています!   

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日本映像職能連合加盟8団体が「自由な創作表現活動に関する要求書」を文化庁長官に提出。

2019-12-13 | Weblog

日本映像職能連合加盟8団体が「自由な創作表現活動に関する要求書」を文化庁長官に提出。

日本映像職能連合(映職連)は、映画に関わるスタッフ8団体(監督協会、撮影監督協会、照明協会、美術監督協会、録音協会、編集協会、スクリプター協会、シナリオ作家協会)の連合体。

プロデューサーと俳優の協会以外がこうしてまとまって表明したのは珍しいことであるが、映像関連業界団体が結束したことは、ほんとうに素晴らしいことだと思う。

それほどまでに、「「あいちトリエンナーレ」への助成金不交付に始まる一連の出来事、映画『宮本から君へ』への助成金取り消し、KAWASAKIしんゆり映画祭の映画『主戦場』上映中止騒動、オーストリア・ウィーンで開催された展覧会「ジャパン・アンリミテッド」に対する外務省の友好150周年事業認定の取り消し、三重県伊勢市展の慰安婦像使用作品の展示不可等、憲法21条に保障された「表現の自由」が踏みにじられつつある現状」は、ひどいものだからだと思う。

そして、2019927日付の「文化芸術振興費補助金による助成金交付要綱」の改定、内定や交付の取り消しの条項の一つとして「その他この要綱又はこの要綱に基づく定めに違反したと認められる場合」と記されていた部分に、「その他公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」という文言が付け加えられたことは、創作者に対して「恣意的に助成金の返還を要求する可能性がある」と言い放ったに等しい。

要求もまた、「自由な創作表現活動を妨げる可能性がある助成金交付要綱の改定、ならびに助成金募集案内の改定の撤回」と、きっぱりとしている。

今回問題になった対象ジャンルが映画であるとはいっても、表現者として、演劇関係団体も続くべきだと思う。

 

自由な創作表現活動に関する要求書

日本映像職能連合加盟8団体は、以下の「自由な創作表現活動に関する要求書」を文化庁長官に提出いたしました。

以下、要求書全文

201912月11日
 
 

文化庁長官

宮田亮平殿

 

自由な創作表現活動に関する要求書

 

「あいちトリエンナーレ」への助成金不交付に始まる一連の出来事、映画『宮本から君へ』への助成金取り消し、KAWASAKIしんゆり映画祭の映画『主戦場』上映中止騒動、オーストリア・ウィーンで開催された展覧会「ジャパン・アンリミテッド」に対する外務省の友好150周年事業認定の取り消し、三重県伊勢市展の慰安婦像使用作品の展示不可等、憲法21条に保障された「表現の自由」が踏みにじられつつある現状を、我々は深く憂慮しています。

 とりわけ、2019927日付の「文化芸術振興費補助金による助成金交付要綱」の改定は看過出来ません。

内定や交付の取り消しの条項の一つとして「その他この要綱又はこの要綱に基づく定めに違反したと認められる場合」と記されていた部分に、

「その他公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」

という文言が付け加えられました。

 この文言により、「公益性の観点」という極めて曖昧な指針で、申請の段階のみならず、内定後や事業終了後でも交付の取り消しや助成金の返還を要求することが可能となりました。

 また、令和2年度の助成金募集案内には『不正行為等に係る処分』に、

「助成対象団体が団体として重大な違法行為を行った場合や、助成対象活動に出演するキャスト又は製作に関わるスタッフ等が

犯罪などの重大な違法行為を行った場合には、『公益性の観点』から助成金の交付内定や交付決定の取消しを行うことがあります。」

と新たに付け加えられています。

 何をもって「重大な」違法行為とするのか、キャスト又は製作に関わるスタッフ「等」の範囲はどこまでなのか、過去の違法行為にも遡及するのか等、明確な基準が示されないまま、拡大解釈や恣意的運用ができる文言です。

 文化芸術基本法の前文にはこう書いてあります。

「文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心の繋がりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受けいれることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。」

 この理念に立ち返り、自由な創作表現活動を妨げる可能性がある助成金交付要綱の改定、ならびに助成金募集案内の改定の撤回を要求します。

 

   20191211

 

日 本 映 像 職 能 連 合

 

協同組合 日本映画監督協会

理事長 崔洋一

 

協同組合 日本映画撮影監督協会

理事長 浜田毅

 

協同組合 日本映画・テレビ照明協会

会長 望月英樹

 

協同組合 日本映画・テレビ録音協会

代表理事 小野寺修

 

協同組合 日本映画・テレビ美術監督協会

理事長  竹内公一

 

協同組合 日本映画・テレビ編集協会

理事長 只野信也 

 

協同組合 日本映画・テレビスクリプター協会

理事長 小林加苗

 

協同組合 日本シナリオ作家協会

理事長 佐伯俊道

 

 

日本映像職能連合とは

映画・映像の仕事に携わる人達が、監督、撮影など各パートごとに集まり、それぞれ協同組合を結成しています。その8団体、監督、撮影監督、照明、録音、美術監督、編集、スクリプター、シナリオの各協会が集まった連合体です。〈略称「映職連」〉1980年に設立され、総会員数は約2500人です。

155-0044 東京都渋谷区円山町3-2 5階 日本映画監督協会内 03-3461-4411 https://eishokuren.jimdo.com/

 
 

 

https://eishokuren.jimdo.com/活動報告/自由な創作表現活動に関する要求書/?fbclid=IwAR34IDl2PqguOcRMegsG5Hy0bkf_il6Nlm_8-y8L2ZzriBvoFSDAV6ePTfI

 

写真は、ロシアの職人技が展示されていた博物館。何を作っているかは、秘密にしておこう。見てわかる人にはわかるだろうけど。

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演劇版『憲法くん』も含めた世論の高まりが政府の詭弁を崩した。「未婚の出産を助長しかねない」として反対していた 自民党を突き動かし、未婚のひとり親支援で、対象外だった寡婦控除の適用拡大が認められた。

2019-12-12 | Weblog

未婚の親に対する「寡婦控除」不適用の問題を描いた場面がある、全国ツアー上演中の演劇版『憲法くん』も含めた改革世論の高まりが、政府を動かした。

未婚のひとり親に対する支援をめぐって、対象外となっていた寡婦控除の適用拡大について、自民党は「未婚の出産を助長しかねない」として反対していた。これがついに崩れた。未婚のひとり親についても、配偶者と死別・離婚したひとり親の税負担を軽くする「寡婦(寡夫)控除」の対象とすることが、決まったのだ。

時事通信によると、自民、公明両党の税制調査会は10日、2020年度税制改正の焦点の一つとなっている未婚のひとり親支援について、配偶者と死別・離婚したひとり親の税負担を軽くする「寡婦(寡夫)控除」の対象とし、所得税などを軽減することで合意した。年間所得500万円以下の世帯が対象となる。本12日に決定する20年度与党税制改正大綱に盛り込まれたはずである。
自民は当初、寡婦控除とは別の新制度を設けることを検討していたが、根負けしたようだ。ただ、住民票で事実婚であることを届け出ている場合は対象外となる。

松元ヒロさん原作の演劇版『憲法くん』の中で、演劇版オリジナルとして新たに付け加えられた部分に、 この題材を真正面から捉えた場面がある。市の職員と、寡婦控除の対象にしてもらうことを求める未婚の母の対決、そこに憲法くんが現れる、というシーンだ。悲痛なたたかいである。

寡婦控除の対象になるのは、民法上婚姻関係があった者だけという理不尽を追及し、公営住宅の家賃や保育料保険料、いろんな住民サービスで所得の基礎計算に使われる寡婦控除額の算定が、死活問題になる層があることも描かれる。来年四月から始まる給付型奨学金も、給付額は住民税額によって決まる仕組みになっているため、同じ年収のひとり親家庭でも寡婦控除を受けてなかったら、給付額は税額に反比例するから、少なくなり、年間54万円の差が出るケースがあることも、指摘される。ドイツでは子どもの人権が第一で、ひとり者の子どもはむしろ手厚く保護される。だから産むことを迷わない、ということも言及される。

この場面では、憲法第13条、 第14条、第27条について話されている。なぜ27条?と思われる向きには、とくに御覧いただきたく思う。展開の中で話題は、労働者の誇りというテーマにも、なってくるのだ。真摯に働く非正規労働者たちから見て、ろくすっぽ仕事をしない国会議員たちの姿はどううつっているのか、ということでもある。

10分に満たないシーンだが、その中にちょっとしたどんでん返しが二段階にわたってあり、短編劇の作劇の例として、戯曲を書こうとしている人にも、きっと参考になるはずである。

私たちが演劇で描いたことが現実に反映されることは、これまでも、あった。初演はもう三十一年前になる『OFFSIDE / 危険な話』では、再演の翌年に、私たちが推理し克明に描いたとおり、中曽根政権時代の自民党本部放火事件の被告とされた藤井高弘さんの無実が証明され、釈放された。同じように冤罪を主張してきた『ブラインド・タッチ』の星野文昭さんは、新たに無実を証明する機会を与えられないまま、今年、獄中で亡くなってしまったが……。少なくとも、彼のたたかいを伝える努力は、した。

二十代の私は、冤罪弁護士の異名をとった後藤昌次郎さんたちと「陪審裁判を考える会」などでご一緒していた。私が岸田國士戯曲賞を受賞したとき、後藤先生が授賞式でトレードマークの草笛を披露してくれたことは、忘れられない。そういう時代だったし、それは今も続いているのだと思う。現実は、「演劇の素材」ではない。演劇も又、「私たちの現実」そのものであり、一つのジャーナリズムである。決して社会に対して無力ではない。そうした双方向性こそが演劇の特質であるとさえ、いえる。

 

写真 左・木下祐子、右・樋尾麻衣子。撮影・姫田蘭。

 

演劇版『憲法くん』は、これから年内、伊丹、岡山、名古屋でも公演します。

年の瀬のせわしい季節ではありますが、お近くの方、ぜひ、お越しください。
 

[ 伊 丹 ]12月13日(金)〜15日(日)AI・HALL

[ 岡 山 ]12月17日(火)岡山市立市民文化ホール

[名古屋]12月19日(木)・20日(金)愛知県芸術劇場

 

http://rinkogun.com
 
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私の最寄り街はまだまだ大丈夫と思います

2019-12-12 | Weblog

「私の最寄り街はどうなってしまうのだろう」という私の三日前のブログが(ご近所的に)波紋を呼んでいるので、いちおうお伝え致しますと、私の最寄り駅の街は、まだまだ大丈夫と思います。

店がなくなってしまっているのも事実ですが、あたらしい店も出来ています。

写真のガレットを出す店は、昨日初めて入りました。新宿で打ち合わせを終えて最寄り駅の店でランチ、そのまま二時間強いて、ノートパソコンで仕事をさせていただきました。線路に面していて、二面の壁が完全ガラス張りなので、秘密の会合には向いていませんが、とても感じがよかったです。そば粉を使ってメキシカンにも挑戦しているようです。写真はランチセットのメキシコ風ガレット、飲み物付き。長居させてもらえることがわかったので、混んでいなければまた二時間くらいはパソコン逗留したいと思います。もちろんランチの時はランチ終了ぎりぎりに行くのでなければ長居はしません。

家で仕事する人間もたまに近所でも外で気分転換的に仕事をしたいときはあるのですが、あのケーキ屋兼喫茶店さんの穴は埋まりそうです。

二年くらい前にやはり踏切近くに出来たパーは、一年に一回くらいしか行かないけれど、とてもこだわりのある、ご夫婦でなさっている暖かみのある店です。

松本清張さんが通っていたという老舗の大衆中華料理屋は健在だし、学生たちとの打ち合わせでこの町に来てくれたときにその学生諸君を思わず案内してしまった「ザ・街の本屋さん」というべきこだわりの強い書店も、ばっちり経営できているはずです。

まあ、まだまだ大丈夫でしょう。

そして、もちろんこの駅をいちばんよく使うのだけれど、私の「最寄り駅」は実は三つあって、それぞれ良いとところがあります。「最寄り駅三つ」ということは、まあ、私の住居がどの駅からも遠いということなのですが!

三日前ブログで紹介したケーキ屋兼喫茶店さんは昨日今日ガレージセールということで、いろいろなものを売っていました。私はその職人オーナーの方が使っていた小さな包丁と、店で使っていたグラスを買いました。なんだか安くて申し訳なかったです。

 

三日前のブログ

私の最寄り街はどうなってしまうのだろう

https://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/fa85bc2180ce59aff1b8a3c2364193e9

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トルストイ『イワンのばか』の思想にも憲法精神はある

2019-12-12 | Weblog

トルストイ『イワンのばか』オペラ版の準備もしている。

というか、いよいよ時期が迫っている。

 

この間、あらためて思うことは、トルストイ『イワンのばか』の思想にも、憲法精神があるということだ。

 

『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』。多くの大河小説を書いたトルストイは、帝政ロシア末期、伯爵家に生まれ、若いときには放埒の限りを尽くし、そして戦争から帰り着き、生活を一変させた。長編小説からも離れたトルストイは、自分が生まれ育ったヤースナヤ・パリャーナの地で、農民たちのための学校を開き、その教材「アーズブカ」に書いた物語こそが自分のライフワークだと考えるようになる。その物語の筆頭が、『イワンのばか』なのである。

そこでは、戦争や経済に価値を求める考え方と対立するものとしての、生活者のあり方への評価がある。

 

写真は、わたしが今年初めて、ヤースナヤ・パリャーナを尋ねたときのものである。

 

『憲法くん』と『イワンのばか』が繋がっていることは、偶然とは思われないのだ。

 

 

『憲法くん』情報 

http://rinkogun.com/index.html

 

『イワンのばか』情報

http://www.konnyakuza.com/syusai.html#ttl04

https://www.owlspot.jp/events/performance/post_154.html

 

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「桜」問題による解散総選挙で自民党勝利なら「禊ぎがすんだ」になるというストーリーや「代わりがいない」論以前に、あてどのない「現状維持」は民主主義の破壊である。

2019-12-10 | Weblog

「桜を見る会」問題による解散総選挙で自民党勝利なら「禊ぎがすんだ」になるというストーリーは、罪を犯しても選挙に勝てば無罪放免ということであり、間違っている。

自民党は会見で「よいお年を」と言い放ったというが、「桜を見る会」の情報を何も示せないまま、無事に年が越せるとは思わないでいただきたいが、解散総選挙で勝てばすむと思っているからふてぶてしいのであれば、最悪である。 

解散総選挙の噂は、「桜を見る会」問題以前からあった。与党はそもそもはじめっから勝てる気でいる。カードの一つでしかないのだ。

現野党がしっかりしなければならない。しかし、現在のていたらく。

憲法に手を出すことよりも、いまの小選挙区制の選挙を変えなければならない。

しかしじっさいにはそんなストーリーはないだろう。それ以前に、野党はまったく相手にされていないのだ。

「ポスト安倍」が与党内で争点として浮上してくることを、現総理がただただおそれている、ということだろう。

 

それにしても、世論の現首相支持の理由のトップが「代わりがいない」という異常さは、いったい、なんなのだ。

いずれにしても、あてどのない「現状維持」は、民主主義の破壊である。

 

かのように現在の日本は、ひどい。ひどすぎる。

自衛隊の中東派遣の新聞記事を見ても、世間の反応は鈍感に思える。このまま「調査・研究」の名目で自衛隊の海外派兵が常態化するなら、既成事実を作りたい政権と制服組の独走を許し、「戦争」が既成事実となりかねない。憲法改悪以前に実質的な憲法破壊が行われている。(舞台版『憲法くん』では、この問題を取り上げています)

 

平常心を保つために、先の8日の「障がい者辺野古のつどい」に寄せたメッセージをここにも載せます。(『憲法くん』上演中のため憲法ネタになってます)

今の世の中、あんまりといえばあんまりな出来事ばかりです。
少なくとも、この七十二年、日本が直接の戦争の加害者にならずにすんでいた根拠のルールである「憲法」がないがしろにされている、と思うことが多々あります。
そして憲法は、徹底して個人を守るためのものです。現実として、今、ここにいる、「一人一人の人間」を尊重するために、言葉が尽くされているのです。その個人が「社会」に出会うさいの諸問題に対応するために、憲法が必要なのです。
私が憲法のルールを解説する「前文」で一番好きなのは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」の、「「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という部分です。今の総理大臣が「みっともない憲法」と言った箇所です。あの人には何もわかっていないのです。
「諸国民」は、あらゆる国の人々、です。そして一つ一つの国の中に、実に多くの、さまざまな人たちがいるのです。
その一人一人が、また、「平和を愛する諸国民」どうしが、お互いの「公正と信義による信頼」によって結ばれれば、戦争は決して起きません。
戦争や、人間を戦争に向かわせることは、そうしたお互いを大切にするという精神から、最も遠いものなのです。
この国は、ここまで民主主義から遠ざかってしまいました。おかしいと思うことにはおかしいと、許せないものは許せないと、言い続けていきたいと思います。



※   ※   ※   ※   ※   ※

 

舞台版『憲法くん』。

これから年内、伊丹、岡山、名古屋でも公演します。

年の瀬のせわしい季節ではありますが、お近くの方、ぜひ、お越しください。

撮影・姫田蘭

 

http://rinkogun.com/index.html

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『憲法くん』今週末、伊丹アイホール公演です!

2019-12-10 | Weblog

『憲法くん』今週末、伊丹アイホール公演です!

13日(金)19:00 ・ 14日(土)14:00/19:00 ・ 15日(日)14:00

じつはアイホールと東京・座高円寺は劇場サイズが似ていて、同一作品のツアーにはぴったりなのです。(座高円寺が一回り大きいですけれども)

 

考えてみると、やる方は当たり前と思っていましたが、内容的には、かなりがんがん飛ばしています。わかりやすく、面白い、が、モットーです。

 

同時に、なにしろ、「憲法くん」です。

ふだん演劇と馴染みの薄い方も、ぜひお誘いください。

 

劇場でお待ちしています。

 

写真は、手前・猪熊恒和。後ろ・左より、杉山英之、西村順子、鴨川てんし、町田敬介  、中山マリ、 花美えりぃ、 武山尚史、吉村直。撮影・古元道広。

 

http://rinkogun.com/Kenpo-kun_Itami.html

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一事が万事

2019-12-10 | Weblog

シュレッダーで裁断されたってどこかにデータは残っている。当たり前のことだろう。ほんらい秘密にする必要がないデータだからだ。「桜を見る会」を来年やらないとか言っているが、裁断したときにはやらないと決めていなかったはずだ。来年にご案内を送るときにデータがなかったらどうするのだ。いちから集めるのか。常識以前。子どもだってわかる。安倍政権の愚かさが伝染していて、シュレッダーで裁断されてデータが全てなくなったということを、あり得ないわけではないかもしれないと少しでも考えてしまう人がいるらしいことに、この国全体がぼけてしまったと思う。

毎年新たに招待する「功績者功労者」を選ぶのだとしても、「この人は既に招いたことがあるか」とか、「この程度の功績の人は呼ぶかどうか」という判断のために、残してなければおかしい。絶対におかしい。

 

「桜を見る会」のことは、それだけで安倍政権退陣必須だが、たんに一お花見会の話ではない。

嘘と誤魔化しと厚顔無恥。自浄能力、判断力のなさ。正しいことを行おうという情熱の欠如。

一事が万事、という言葉がある。

彼らはこの考えかた、やり方で、国政をやっている。

任せていいはずがない。

だから退陣しろと言っているのだ。

 

 

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私の最寄り街はどうなってしまうのだろう

2019-12-09 | Weblog

午前からの用を終えて私の最寄り駅に電車で戻り、以前に二度くらいは来たことのあるパン屋に寄ると、バゲット的な長いパンとかが売っていない。「今日は三時に閉めるのです」と、お店の方。

馴染みの整骨院の表には、明後日閉院という張り紙が。オーナーが急にやめると決めたのだという。整骨院にしては安いところなのだが、これから常連はどうすればよいのだろう。

ごくたまに寄る、公営自転車置き場に近い、喫茶店を兼ねたケーキ屋に寄ると、これまた、明日に閉めるという。片隅でコンセントを使っても許してもらえる席があって、年に何度かは来てパソコン仕事をさせてもらっていた。地元の人達に愛されていた店なのだが、名残を惜しむお客が次々に立ち寄っている。まだ明日があるとはいっても、ショーケースに並んだもの(写真)が売り切れると今日は閉店だという。ケーキなど滅多に食べないのだが、「ボムボム」というケーキをいただく。初めてだがなかなか。ラムレーズンが入っていればおいしいと思うということではないのだが。

それにしても、いろいろな店がなくなっていく。銭湯がなくなったのが一番のショックだったのだが。マクドナルドやまいばすけっともなくなったのは別にいいのだが、何か経営しにくい要素があるのだろうか。

私の最寄り駅の街は、どうなってしまうのだろう。

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