日本映像職能連合加盟8団体「自由な創作表現活動に関する要求書」への賛同ついて
一般社団法人 日本劇作家協会は、日本映像職能連合加盟8団体が文化庁長官に提出した、「自由な創作表現活動に関する要求書」(2019年12月11日付)に賛同いたします。
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文化庁長官
宮田亮平殿
自由な創作表現活動に関する要求書
「あいちトリエンナーレ」への助成金不交付に始まる一連の出来事、映画『宮本から君へ』への助成金取り消し、KAWASAKIしんゆり映画祭の映画『主戦場』上映中止騒動、オーストリア・ウィーンで開催された展覧会「ジャパン・アンリミテッド」に対する外務省の友好150周年事業認定の取り消し、三重県伊勢市展の慰安婦像使用作品の展示不可等、憲法21条に保障された「表現の自由」が踏みにじられつつある現状を、我々は深く憂慮しています。
とりわけ、2019年9月27日付の「文化芸術振興費補助金による助成金交付要綱」の改定は看過出来ません。
内定や交付の取り消しの条項の一つとして「その他この要綱又はこの要綱に基づく定めに違反したと認められる場合」と記されていた部分に、
「その他公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」
という文言が付け加えられました。
この文言により、「公益性の観点」という極めて曖昧な指針で、申請の段階のみならず、内定後や事業終了後でも交付の取り消しや助成金の返還を要求することが可能となりました。
また、令和2年度の助成金募集案内には『不正行為等に係る処分』に、
「助成対象団体が団体として重大な違法行為を行った場合や、助成対象活動に出演するキャスト又は製作に関わるスタッフ等が
犯罪などの重大な違法行為を行った場合には、『公益性の観点』から助成金の交付内定や交付決定の取消しを行うことがあります。」
と新たに付け加えられています。
何をもって「重大な」違法行為とするのか、キャスト又は製作に関わるスタッフ「等」の範囲はどこまでなのか、過去の違法行為にも遡及するのか等、明確な基準が示されないまま、拡大解釈や恣意的運用ができる文言です。
文化芸術基本法の前文にはこう書いてあります。
「文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心の繋がりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受けいれることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。」
この理念に立ち返り、自由な創作表現活動を妨げる可能性がある助成金交付要綱の改定、ならびに助成金募集案内の改定の撤回を要求します。
2019年12月11日
http://www.jpwa.org/main/statement/approval191215